とろろは栄養満点の健康食品
とろろに使われる山芋は健康成分が豊かな野菜で、昔から滋養強壮、疲労回復や夏バテ防止に効果があるといわれています。最近では、さらに免疫力アップやアンチエイジング、美容やダイエットに役立つさまざまな成分が解明されています。加熱せずに生のまますりおろすため、貴重な栄養素を全て効率よく摂取できるのもとろろの魅力です。
とろろに使える芋の種類
山芋をすりおろしたものが「とろろ」と呼ばれています。山芋とは、ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草です。山芋の中でも長い形の種類がスーパーなどでよく見かけられる長芋で、自然薯などと比べるとやや水っぽくさらさらとしています。長芋は水分が多く、すりおろすととろっとした食べやすいとろろに仕上がります。
自然薯や大和芋なども山芋の種類で、とろろにすると箸で持ち上げられるほど粘りが強く、甘みもあり味も濃いのが特徴です。ひげ根やひげ根のあとの多い山芋が、粘りがより強いといわれていますよ。
とろろに含まれる栄養とカロリー
とろろの100gあたりの主な栄養素
長芋 | 山芋 | |
カロリー(kcal) | 65 | 123 |
水分(g) | 82.6 | 66.7 |
たんぱく質(g) | 2.2 | 4.5 |
炭水化物(g) | 13.9 | 27.1 |
カリウム(mg) | 480 | 590 |
リン(mg) | 27 | 72 |
葉酸(μg) | 8 | 6 |
ビタミンB(mg) | 0.09 | 0.14 |
ビタミンC(mg) | 6 | 5 |
ボタニ子
とても栄養があるのね、野菜にしてはたんぱく質も多いわ。
とろろのカロリー
とろろご飯にかけるとろろの量は、1食分で100gほどです。ヘルシーな印象のとろろのカロリーは、長芋は100gで65kcal、山芋は123kcalとやや高めです。とろろは食物繊維も多く、長芋は100gのとろろに1.0g、山芋は2.0g以上も含まれており、ダイエットにぜひ活用したい食材といえるでしょう。しかし食物繊維が多いため、摂取しすぎるとお腹がゆるくなる場合があります。
生で食べると栄養が全てとれる!
デンプンを多く含む芋類は、加熱せずに食べると消化できずに下痢をしてしまうことがあります。とろろが生で食べられるのは、消化酵素を豊富に含むからです。また、すりおろして山芋の細胞を壊すことで分解酵素の働きはさらに強まります。多くの栄養素は加熱することで変化したり減少したりします。生で山芋を食べられるとろろは、栄養素を全て摂れるおすすめの食べ方です。
栄養①ムチン
ねばねば食品のねばねばには高い栄養成分が含まれています。山芋のねばねばは「ムチン」という多糖類の水溶性食物繊維です。ムチンは胃壁表面の粘液に含まれていて胃を常に覆い、胃酸から胃を守ります。また腸や気管、目などの表面も常に潤いがあるために正常に働きますが、この潤いの元がムチンです。
栄養②ジオスゲニン
山芋にほんの少しだけ感じるえぐみは「ジオスゲニン」であり、ジオスゲニンは天然のステロイド成分です。「若返りホルモン」とも呼ばれるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)と構造が似ているため、同じような作用が期待できます。
栄養③消化酵素
山芋が生で食べられるのは、消化酵素を豊富に含み、消化を促進するためです。ジアスターゼはダイコンの3倍も含まれています。ほか、アミラーゼ、グルコシターゼやカタラーゼなど、多くのでんぷん分解酵素を含んでいます。酵素は食物の消化を助けるため、食べ過ぎや消化不良など疲れた胃腸にもやさしいです。
栄養④カリウム
山芋にはカリウムも豊富に含まれています。カリウムは、細胞の浸透圧、神経、心臓や筋肉の機能、細胞の酵素作用など、さまざまな身体の機能を調節可能です。また、カリウムは摂りすぎたナトリウムを排泄し、体内の水分量を調節する働きがあります。味噌汁などで塩分を摂るときは、カリウムも意識して摂取しましょう。
栄養⑤ビタミンと食物繊維
山芋にはビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維が豊富です。ビタミンB類はたんぱく質や脂質の代謝を促し、皮ふや粘膜を健康に保つ働きをします。ビタミンCや食物繊維は美容にも欠かせず、またストレスへの抵抗力も強めます。ビタミンは熱によって変化してしまうため、とろろにして食べるのが効果的です。
出典:写真AC