オニドコロとは?葉や根の特徴や他のヤマノイモの仲間との見分け方をご紹介!

オニドコロとは?葉や根の特徴や他のヤマノイモの仲間との見分け方をご紹介!

オニドコロという植物をご存知でしょうか?別名トコロとも呼ばれます。ヤマノイモの仲間で、見た目もよく似ています。しかし、毒性があり注意が必要です。毒はありますが、毒抜きすれば食べることができます。そんなオニドコロの特徴や見分け方、食べ方などをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.オニドコロとはどんな植物?
  2. 2.オニドコロの歴史
  3. 3.オニドコロの食べ方
  4. 4.【豆知識】オニドコロの意外な一面
  5. 5.オニドコロとヤマノイモの違い
  6. 6.まとめ

オニドコロとはどんな植物?

 出典:写真AC

名前からしておどろおどろしい感じのする「オニドコロ」は、漢字では「鬼野老」と書きます。別名「トコロ」や「ナガトコロ」と呼ばれることもあります。見た目はヤマノイモに似ていますが、あまり聞き慣れない名前です。ここでは、そんな不思議なオニドコロという植物について、ご紹介いたします。

名前の由来

オニドコロの名前の由来には、いくつもの説がありますが、いまだ正確にはわかっていません。ここでは、2つほどご紹介します。

由来①:根の形から

根に塊(凝塊)ができることから「凝(とこ)り」とよばれ、それがなまって「トコロ」となり、葉が大きいことから「鬼」がついて「オニドコロ」となったという説です。

由来②:インドネシア語「トンコロ」から

インドネシア語でイモの根・根茎を「トンコロ」と呼ぶことから「トコロ」となり、さらに大きさが大きいため「鬼」がついたという説です。

【番外編】漢字【鬼野老】の由来

名前の由来が不明なのに対し、漢字の由来ははっきりしています。見た目から、海の老人で「海老(エビ)」になぞらえて、根茎から生えている根が老人のヒゲのように見えることから、野山の老人で「野老(トコロ)」となり、【鬼野老】と漢字があてられたとのことです。

分類

分類は、ヤマノイモ科のヤマノイモ属で、ツル性の多年草です。見た目通り、山芋や自然薯と同じ仲間になります。

分布

日本では北海道から九州まで幅広く分布し、山地ややぶに生息しています。他の国では、中国や朝鮮半島にも分布しています。

特徴

特徴①:葉

 出典:写真AC

とんがり部分がシャープできれいなハート型といった感じです。大きさは5センチ~14センチほどで、1節ごとに1枚葉が生え、次の節には逆の位置に、というように互い違いに葉が生え、ツルを伸ばしていきます。

特徴②:花

花は7月~8月に咲きます。特徴としては、雄花と雌花がそれぞれ別の花茎(花だけつく茎、葉がつかない)に咲き、雄花のほうが多くの花をつけることです。花の色は黄緑色で、雄花は葉の横から飛び出すように直立して伸びますが、雌花は下に垂れ下がるように伸びます。上の写真では、左が雄花、右が雌花になります。

特徴③:根

正確には根茎や地下茎という部分に大きな特徴があります。ヤマノイモより細く、ゴツゴツした見た目です。そして、とても苦く、毒性があります。生で食べると、嘔吐や胃腸炎を引き起こす可能性があるため、食べる際は注意が必要です。

オニドコロの歴史

オニドコロは古くから日本に自生している在来種で、昔は救荒植物(飢饉の際などに食料にする、自生している自然の非常食)として重宝されていたとう歴史があります。別名「トコロ」として、江戸時代の書物に記述があるほど昔から親しまれている植物です。毒性があるオニドコロですが、灰汁や重曹で煮ることで毒抜きができます。そのため今でも青森県あたりでは、市場などに並び、嗜好品として食べる地域もあります。

オニドコロの食べ方

調理方法

オニドコロは根茎部分を食べることができますが、毒抜きが必要です。時期としては、11月~12月頃が食べごろです。食べ方は、灰汁か重曹で3時間から4時間煮て、水に晒し、皮をむいてそのまま食べます。煮物としても使われます。

味と香り

香りはさつまいものようで、モチモチした食感ですが、とにかく苦味が強いです。一般的に食用とされている地域では、スーパーなどで販売しており、この苦味が病みつきになるという方もいるようです。

【豆知識】オニドコロの意外な一面

毒があるのに縁起物

オニドコロは別名「トコロ」とも呼ばれます。昔は「所領(ところ)」=領地を意味する植物とされ、正月飾りとして、領地の安泰を願う意味で飾られていました。他にも、ひげ根が老人のヒゲのように見えることから、長寿を祝う意味で正月飾りに使われたという説もあります。

毒草なのに薬草?

毒性のあるオニドコロですが、薬として今でも使われています。生薬名は「菟薢(ひかい)」といい、関節痛などの痛み止めや湿疹などに効果があります。

オニドコロとヤマノイモの違い

毒性のあるオニドコロと、普段から食用とされているヤマノイモは、見た目がよく似ています。しかし、よくよく観察すると違う部分もあります。間違って毒性のあるオニドコロを食べてしまわないよう、わかりやすい見分け方のポイントをご紹介します。

違い①:むかご

 出典:写真AC

見分ける方法として最もわかりやすいのが、むかごがあるかどうかです。ヤマノイモにはむかごがつきますが、オニドコロにはつきません。見ただけで判別できるとても確実な方法ですが、この方法は期間限定となります。むかごは9月~11月頃までしかつかないため、他の時期は別の方法で見分ける必要があります。

【豆知識】「むかご」とは?

むかごとは、葉の根元のツルにできる小さな丸い肉芽です。大豆ぐらいの大きさで、食べることができます。あまり量がとれないため、スーパーなどで見かけることはほぼありません。食べ方は、茹でたり、炊いたりして食べます。栗と似たホクホク感があるとのことです。むかごは種子と同じように、土に植えると芽をだすため、むかごから栽培することもできます。

【注意】むかご=食用とは限らない

 出典:写真AC

むかご自体に少量の毒がある「ニガカシュウ」という植物があります。上の写真がニガカシュウのむかごです。ヤマノイモの仲間で、ヤマノイモと同じようにつるを伸ばし、似たような葉をつけます。ヤマノイモとの大きな違いは、むかごの形です。食用のヤマノイモのむかごは表面がつるっとした球体ですが、ニガカシュウのむかごは表面にゴツゴツした突起があります。むかごで迷ったら、表面の凹凸を確認することがポイントです。

違い②:葉の形とツルの巻き方

オニドコロ

ヤマノイモの葉より幅が広く、丸っこい印象です。しかし、葉の大きさや形には個体差があるので、葉では見分けがつかない場合もあります。ツルの巻き方は右巻き(時計回り)で、ヤマノイモとは逆になります。確実に見分けるなら、ツルの巻いている方向を確認する必要がありますね。

ヤマノイモ

 出典:写真AC

ヤマノイモの葉はとてもシャープな細長い形です。葉の生え方は1つの節に向かい合うように2枚の葉が生えます。ツルの巻き方は左巻き(反時計回り)です。

違い③:実

オニドコロ

 出典:写真AC

オニドコロの実は、ヤマノイモより細長く楕円形に近いです。そして、向きがヤマノイモと真逆の上向きにつきます。実で見分けるなら、向きで見分けるとわかりやすいですね。

ヤマノイモ

 出典:写真AC

ヤマノイモの実は丸っこく、垂れ下がるように下向きに実をつけます。

違い④:種子

オニドコロ

種子も実と同じように細長く、翼(よく)と呼ばれる楕円形の羽のようなものが片方についています。この翼で風を受け、遠くまで飛ぶためと考えられていますが、実際は種子自体が重く、すぐに落ちてしまうとのことです。

ヤマノイモ

ヤマノイモの種子にも翼がついていますが、こちらは丸っこく、種子を覆うように翼があり、オニドコロと見比べると一目瞭然です。

まとめ

葉の形は愛らしいハート型なのに、毒性がある根茎を持つという少し怖い一面を持つオニドコロ、「鬼」の名前はダテではありません。食用であるヤマノイモとよく似ているため、食べる目的の場合は注意が必要です。しかし、葉や花は可愛らしく、実はドライフラワーとしても扱われます。観賞用として育てるのもいいですね。

syk_02
ライター

syk_02

趣味で10種類ほど観葉植物を育ててます。 よろしくお願いいたします。

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