はじめに
栄養の宝庫としても名高い長芋。すりおろして使用したり、切って使用したりとさまざまな食べ方があります。しかしカットされた状態で時間が経つと黒味がかってきて、ピンク色っぽく色変わりしてしまいます。本来の色から変色してしまうと、食べられるかどうか心配になることはありませんか?変色を防止する方法はあるのか、変色しても美味しく食べられるのかなどをご紹介します。
長芋が変色する原因
長芋には「ポリフェノールオイシターゼ」という成分が含まれています。生活習慣病予防に効果があるとされる、あのポリフェノール成分です。この成分が空気中の酸素と反応し酸化することで、時間が経つにつれて黒色や茶色、ピンク色に色変わりしてしまいます。すぐに使い切るのがおすすめですが、一度で食べ切れない場合は酸化を防ぐために上手に保存することがポイントです。
変色しても食べられる?
ポリフェノール成分が反応してピンク色などに変わっただけであれば、長芋は変色しても安心して食べられます。ポリフェノールにはさまざまな種類があるため、何色に変色するのかも種類によって異なります。また空気中の酸素の量など反応する環境によっても、茶色やピンク、赤色や黒色など変色する色が変わってきます。
こんな場合は腐ってるかも!
長芋が全体的に黒く変色していて、触ると柔らかく異臭を放っている場合は注意が必要です。ドロドロに溶けたような状態も腐敗している証拠なので、絶対に口にせず破棄してください。
長芋の変色は元に戻すことができる?
変色を防止することはできても、変色した長芋を元に戻すことはできません。黒やピンクなどに変色する現象は、ポリフェノールと酸素などが反応してメラニン色素が生成されることによります。そのため一度変色してしまうと、元の色に戻すことはできません。
りんごやごぼうなどの皮をむいて置いておくと、黒っぽく変色して元の色に戻すことができないのと同じ現象ですよ。
長芋の変色を防ぐ方法
長芋が変色する原因がわかったところで、どうしたら長芋の変色を防止できるのかご紹介します。色変わりしたものを元に戻すことはできませんが、防止策が分かれば変色を最小限に抑えられ、最後までおいしく食べられるようになりますよ。
変色防止策①調理器具を選ぶ
金物を使用して長芋を調理することは、あまりおすすめしません。なぜかというと、金属は酸化を促進させてしまうからです。金属に触れることで酸化してしまうことは、色変わりの原因になってしまいます。できれば陶器のすり鉢や、プラスチックの調理器具を使って調理することをおすすめします。色変わりを防止する策として、一番簡単な方法といえるでしょう。
変色防止策②お酢を使う
酸性であるお酢の中には抗酸化成分が含まれており、この成分が黒やピンク色など変色の原因となる酸化を防止する効果があります。やり方はとても簡単で、長芋の切り口や白い部分にお酢を2~3滴かけます。そしてお酢をかけたところをしっかりと密閉するようにラップでくるみ、冷蔵庫で保管します。すりおろした長芋にも有効で、同量程度お酢を加えることで時間が経っても酸化しにくくなります。短冊形などにカットした長芋には、水1Lに対してお酢を大さじ1加えた酢水に浸けるのが効果的です。
お酢は、長芋に含まれるかゆみを引き起こすぬめりの原因でもある「ムチン」という物質にも効果があります。
変色防止策③塩水につける
塩水につけることでも変色を防ぐことができます。食塩や粗塩など種類は問いませんが、水1Lに対して大さじ1程度が目安です。舐めても「しょっぱくない」塩水に5~10分ほど浸けることで、変色の原因でもあるアクを抜くことができ、長芋の色を保ちます。あまりにも濃度の高い塩水に浸けると、長芋の食感を損なうことにつながります。また栄養素が水に流れ出てしまうため、注意が必要です。
変色防止策④レモン汁をかける
レモンにもお酢と同様に抗酸化成分が含まれています。お酢が苦手な人はレモンを使用するとよいでしょう。長芋の皮をむいたあとに、まんべんなくかけることがコツです。レモン汁がかかっていない部分があると、そこから色変わりするので注意しましょう。深めのボールなどの容器に長芋を適当な大きさにカットして入れ、そこでレモン汁をもみこむようにすると、まんべんなく行きわたらせることができます。
長芋とレモンはとても相性がよく、さっぱりとした風味に仕上げてくれますよ。
あまりにも多量にかけすぎると匂いや味がうつってしまい、酸っぱくなります。用途や好みに合わせて分量の調節をしましょう!
変色防止策⑤熱湯につける
沸騰したお湯に、皮がついたままの長芋を10秒ほどくぐらせます。シャキシャキの食感を損なうことなく、変色を防ぐことができます。長い時間くぐらせてしまうと、長芋に火が通り過ぎて生食にはむかなくなりますので気をつけましょう。加熱調理する場合は、2~3分ほど茹でることで下茹でにもなり、調理の時短にもつながります。
変色防止策⑥変色しにくい長芋を選ぶ
成長した長芋
成熟または完熟した長芋は変色しにくい特徴があります。丸々1本の状態ではできるだけ太いものを、カットされた状態では中央に近い部位がよいといわれています。細い長芋はまだ成長途中でアクが強く、先端部分も細胞分裂が活発で変色がおきやすいといわれています。
春採れ、秋採れの長芋
長芋が収穫できる時期は春と秋の年2回とされていましたが、現在では夏でも収穫できるようになり年間を通して流通しています。しかし夏採れの長芋はアクが強く、細胞分裂も活発で変色しやすいといわれています。やはり旬の時期に採れた長芋のほうが、色変わりも少なくおいしく食べられるでしょう。
出典:写真AC