京芋(たけのこ芋)の概要
京芋(たけのこ芋)は、九州の宮崎県をおもな生産地とする野菜です。名前の由来は昭和30年頃、当時の業界関係者が、この芋を売り込みに県外へ出たことがきっかけでした。その際に京都で、とてもおいしい里芋を使った精進料理を食べたのです。「このおいしい京都の料理にあやかりたい」という気持ちから「京芋」という名前を用いるようになったといわれています。
市場に出回っている京芋の9割以上が、宮崎県産なんだよ。
京芋には2種類ある
じつは「京芋」と呼ばれている野菜は2種類あります。1つはこの記事で紹介している京芋、そしてもう1つは、京野菜として有名な海老芋です。海老芋は曲がった形状が海老を連想させることから、「海老芋」と呼ばれるようになりました。しかし、京都で生産されていることから「京芋」と呼ばれる場合もあります。同じ名前でも、この2種類はまったく別の野菜です。間違えないように注意しましょう。
京芋を調べる際のネット検索でも、海老芋が出てくることがあります。
同じ名前を持つがゆえの弊害だね。京芋に限らず、野菜や植物の分野ではわりと多い話だから注意しようね。
京芋の特徴
特徴①たけのこに似た外見
京芋の特徴で真っ先にあげられるのは、別名の由来にもなった外見です。京芋の別名は「たけのこ芋」といいます。色も形も、たけのこに似ていることから名づけられました。京芋は里芋の一品種ですが、里芋と比べると大きくて長いです。直径は約6cm~7cm、長さは約20cm~40cmほどですが、大きいものだと長さ60cmにもなります。
特徴②煮崩れしにくい
京芋は、ほかの芋類に比べると身がよくしまり、肉質もしっかりしている品種です。このため煮崩れしにくく、おでんなどの煮物料理にうってつけの芋といえるでしょう。芋類特有のホクホクした食感や、優しい甘味もあるので、煮物に使えばおいしい料理を堪能できますよ。
特徴③旬の時期は11月~3月
京芋が市場に出回る時期は9月~3月です。しかし、ほとんどが宮崎県産の野菜である京芋の旬の時期は、宮崎県のブランド基準が目安となります。宮崎県ブランドでは、11月~3月に出荷する完熟品を「旬の時期の京芋」と定めています。このため、京芋の出回る時期は9月~3月ですが、旬の時期は11月~3月となるのです。
次は「里芋との違い」です。
京芋と里芋との違い
京芋は里芋の一品種です。このため少しねっとりとした食感や、ほんのりとした甘味など、里芋に似ている点が多くあります。しかし形はかなり違います。また、京芋のほうがぬめりが少なく、形も大きくて長い円筒状なので、皮が剥きやすく調理しやすいです。この点も、里芋とは大きく異なるでしょう。
京芋のおいしい食べ方
京芋のおもな食べ方
京芋のおいしい食べ方として、真っ先にあげられるのは煮物です。京芋は煮崩れしにくいため、煮物に最適の食材といえます。芋類特有の甘味と食感を活かして、焼いたり揚げたりしてもおいしいですよ。京芋は味にクセがなく、いろいろな食べ方を楽しめる野菜ですが、味と食感を楽しめるシンプルな食べ方が向いているでしょう。
京芋の保存方法
京芋をおいしく食べるためには、正しい保存方法を知ることも必要ですね。新聞紙などで包んだ後、段ボール箱などに入れて、冷暗所で保存するのが京芋の保存方法の基本です。京芋は秋~冬にかけて出回る野菜ですが、乾燥と寒さに弱いという弱点があります。特に真冬の時期は、京芋が冷え過ぎたり、乾燥したりしないように注意しましょう。
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京芋という名前から、京野菜の一種と思われがちですが、実際は宮崎県の特産品です。