トネリコとは
トネリコの木は高さは15mに達することもあり、幹が立ち、枝は斜めに大きく伸び半円状の樹冠をつくります。5月下旬から7月にかけて枝先に小さな白い花が房のように咲き、その後に白色のタネがつきます。タネは木の上に長くついているので、遠目からは花が咲き続けているようにも見えます。木材としてのトネリコは弾力性があり野球用のバッドや建築資材にも使われ、また樹皮は民間薬で下痢止めや結膜炎時の洗浄剤としても用いられています。
トネリコとシマトネリコ
トネリコとシマトネリコ。どちらもモクセイ科トネリコ族で5mから20mと大きく育つ木です。一見すると似ているように見えますが、トネリコは落葉高木でシマトネリコは常緑高木です。トネリコよりもシマトネリコの方が成長スピードが早いと言われていて、シマトネリコを植える場合には成長を見越して庭に植える場合もあります。斑入りの葉も涼しげな印象で、洋風の庭造りに選ばれることも多いようです。
トネリコの育て方
成長が早いと言われるトネリコの木。幹が太くなっていくスピードは縦に伸びるよりもずっと遅くいつまでも細くしなやかな細木のままです。太い幹にならないのはトリネコの美点のひとつ。細木の状態を長く楽しむことができるので、スペース不足に悩まされることはありません。背はぐんぐんと伸びていくので、剪定をすることが大切です。
トネリコの木の選び方
まずは幹が太く枝ぶりのしっかりしたトネリコの木を選びましょう。そして、根が乾き過ぎていないか、枝に穴があいていたり葉が変色していないかもチェックしてください。植え付けには暖かい4月から6月が適しています。
植える場所
日の当たる場所を好みます。日陰にも耐えますが、乾きにくい場所を選んで植えてください。土壌をあまり選びません。水はけの良い土を好みますが、鉢植えの場合には培養土で問題なく育ちます。また痩せ地でも育つ強健種ですので過肥の必要もありません。地植えの場合には根付いてからは水やりの心配はいりませんが、夏季に高温乾燥が続いた場合にはたっぷりと水をあげましょう。
トネリコの鉢植えで楽しむ
トネリコの鉢植えとして販売されているもののほとんどは、通年葉を保つシマトネリコです。小さな棚におけるようなサイズから大人と同じぐらいの大きさのものまであります。葉の色が濃く艶のあるものを直射日光を避けた明るい場所に置きましょう。土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
植え替えをする
植え替えの目安は2年に1度。4月から6月のあたたかい時期が良いでしょう。2年たたずに鉢の底から根が出てきてしまったら大きな鉢に植え替えてあげてください。
手順
- 植え替えるトネリコとそれよりも一回り大きな鉢を用意する。
- 鉢に鉢底ネットを敷いたうえで、鉢底石と培養土を入れます。
- 根鉢のまわりを3分の1程度ほぐした上で鉢に植え替えます。その時に根が黒っぽくなっている部分があれば切り取りましょう。
- 植え替えが済んだら水やりをし、明るい日陰の場所に置いてください。
挿し木で増やす
トネリコは挿し木でも増やすことができます。最初は発根しにくい場合もありますので何度もチャレンジしてみましょう。手順も少なく、今あるトネリコを使うので費用もかかりません。
手順
- トネリコの枝を10cmほど切り、挿し穂にします。
- 2切り口をすぐに水を入れた容器につけ、1時間程度浸してください。
- 発根促進剤を切り口に塗り土に植えます。挿し木ができたら明るい日陰に置き、土が乾燥したらたっぷりと水やりをし根付くまで管理します。
トネリコの剪定・切り戻し
トリネコの木を害虫から守り、美しく育てていくためには剪定、切り戻しが欠かせません。生育が早いので高さを伸ばさないための剪定か、形を整えるためかを考えましょう。切り落とした葉だけでもかわいらしいので花瓶に飾ってお部屋で楽しむこともできます。ポイントはできるだけ自然樹形を保つように意識することです。木の中にも光があたるよう、枝を透かしながら剪定をすると良いでしょう。
時期
- 高さを伸ばさない剪定:12月から2月頃の落葉期
- 形を整える剪定:3月から4月、6月から7月、10月から12月と定期的に実施
準備するもの
清潔な剪定バサミ
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ガーデニングバサミよりも大きな枝を切ることができる「剪定バサミ」を用意しましょう。剪定バサミは180mm・200mm・225mmの3種類があります。選ぶ目安として、中指の真ん中から手首と手のひらの境目までの長さと、剪定ばさみの全長が同じになるようなサイズを選ぶと良いでしょう。また、使用した後は樹液や汚れを取ることを忘れないよう気をつけましょう。(次回使うときに切れ味が悪くなってしまうこともあります。)
癒合剤
癒合剤:トップジンMペースト100グラム 2個セット[チオファネートメチルペースト剤・殺菌剤・花木・果樹の剪定に!][住友化学園芸]
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癒合剤とは樹木を切った後に塗る薬のことを言います。雑菌や雨水が入り込まないようにするためのもので、昔は墨汁やロウソク、ペンキを塗っていました。チューブ式のものが一番手軽です。きちんと濡れているか、塗り忘れがないか確認できるよう色付けがされています。
トネリコの剪定の手順
1 剪定後のイメージをする
どう切るかではなくどう残すかをまず考えましょう。理想の樹形になるように、高さ、形、枝の混みあい具合をイメージし、どの枝を残すかを決めてなくなる枝をできるだけ目に入れないようにした方がうまくいきます。
2 枯れた枝を切る
まずは枯れている枝から始めましょう。生きている枝に比べて固く切りにくいです。どこまで枯れているか見てもわからなかったら先の方から少しずつ切ってみましょう。樹液が出てきたり薄黄緑色の面が見えてきたらその部分はまだ生きています。
3 ひこばえと胴ぶき枝を剪定
ひこばえは地面からツンツンと生えてくる細い枝のことを、胴ぶき枝は幹から直接生えてくる細い枝を指します。ひこばえは幹の養分を吸い、幹や枝に栄養がいかなくなってしまいます。胴ぶき枝は幹の見た目が悪くなり栄養を吸ってしまうのでどちらも早めに剪定してしまいましょう。
4 逆さ枝、立枝、下り枝を剪定
他の枝と反対に、先の方ではなく幹の方に向かって伸びている枝やまっすぐ上へ、もしくは下へ伸びているを剪定します。他の枝の邪魔になり日光や風の通りの妨げになります。根本から切りましょう。
5 徒長枝を剪定
勢いよく主枝から生えている長い枝のことを指します。幹から近い場所から生えているので先の部分に行くべき栄養を吸い取ってしまいます。他の枝を伸ばさないよう、10cmから30cmほどを残して切りましょう。
6 交差枝、車枝を剪定
他の枝と接触する枝を交差枝、一か所から四方に伸びた枝のことを車枝と言います。他の枝が傷みやすくなり、また見た目も悪くなってしまいます。根本から切ってしまいましょう。重なっている枝のどちらを残すか悩むところですが、元気な方を、もしくは樹形を整えるために必要な方向に伸びている方を残しましょう。
7 切り口に癒合剤を塗る
丈夫な木ではあるもの、切り口から雑菌が入ってしまうと成長の妨げになることあります。切り口の直系が1cm以上のものには塗っておきましょう。市販の薬剤を使用するのが効果的ではありますが、癒合剤の代わりに墨汁、ペンキやロウソクでも代用可能です。
まとめ
枝分かれを鋭角に残すように(3本に分かれていたら端を剪定)すると自然樹形に近づきます。剪定をしていると目の前の枝や葉ばかりに目がいってしまいますが、途中で一度木の全体像を確認し、風にそよぐ枝葉の動きや風の通りもチェックすると切りすぎを防ぎ、理想のに近い樹形に剪定ができるでしょう。正しく切り戻し、お手入れをしてトネリコの木を楽しみましょう。