雪割草ってどんな花?
早春の雪が残る山の中で可憐な花を咲かせる雪割草は、どんな植物なのでしょうか。雪割草の特徴や魅力を交えてたっぷり紹介します!
雪割草の特徴
基本情報
分類 | 山野草 |
科/属 | キンポウゲ科/ミスミソウ属 |
形態 | 多年草 |
草丈/花径 | 10~20cm/2~3cm |
花色 | 白、青、紫、赤紫、黄色、黄緑色など |
耐暑性 | 普通 |
耐寒性 | 普通 |
カラフルな山野草
山野草と聞くと、山の中でひっそりと花を咲かせるイメージから白や青、紫色の花を思い浮かべますが、雪割草は桜色や撫子色といった可愛らしい色から黄色、黄緑色と明るい色が存在します。カラーバリエーションが豊富なので見る人の心を楽しませてくれます。
三角形の葉っぱ
雪割草の葉っぱは三角形のような形をしています。そこから、「ミスミソウ(三角草)」とも呼ばれます。
雪割草の名前の由来
雪割草は春先になると、雪の下から花芽を伸ばして小さくかわいらしい花を咲かせます。このように解け残った雪の間から花を咲かせる様子から「雪割草」と名付けられたとされています。
「雪割草」は総称
雪割草はオオミスミソウ、ミスミソウ、スハマソウ、ケスハマソウの4つを総称する際に使われる呼び方です。それぞれの特徴や違いについて説明します。
オオミスミソウ(大三角草)
新潟県を中心に石川県から青森県までの日本海側の山地に自生しています。4種類の中でもカラーバリエーションや咲き方が豊富です。園芸店で多く流通しているのはこのオオミスミソウです。
ミスミソウ(三角草)
関東から中部地方を中心に、西日本の日本海側から九州地方の福岡県まで広範囲にわたって自生しています。オオミスミソウよりも花びらが白色で細弁・多弁のものが多いです。
スハマソウ(洲浜草)
関東地方を中心に太平洋側で自生しています。ミスミソウよりも葉の先が丸みがかり、花弁が薄いものが多いのが特徴です。
ケスハマソウ(毛洲浜草)
本州近畿・中部地方~四国にかけて分布します。茎や葉の両面にうっすらと白い薄い毛が生えていることからスハマソウと区別されます。
雪割草とユキワリソウの違い
植物の中には、同じく雪割草と呼ばれる全く別の植物もあります。どのように違うのか、説明します。
サクラソウ科サクラソウ属 ユキワリソウ
特徴
基本情報
分類 | 高山植物 |
科/属 | サクラソウ科/サクラソウ属 |
形態 | 多年草 |
草丈/花径 | 10cm/1.5cm |
花色 | うす桃色 |
雪割草とユキワリソウの区別の仕方
一般的には表記の仕方で区別します。「ユキワリソウ」とカナカナで表記される場合、サクラソウ科のユキワリソウのことを指します。一方、「雪割草」と漢字で表す場合は、キンポウゲ科の雪割草のことを指します。とてもややこしいのですが、園芸店に問合せたり、誰かに説明する際は「キンポウゲ科の雪割草」「山野草の雪割草」と伝えることに気を付けておきたいですね。
雪割草の開花時期と見られる場所
開花時期は?
雪割草の開花時期は2月から5月です。まだ冬の寒さの厳しいが残り、ほかの植物の姿が見えない早春から花を咲かせるので楽しむことができます。
見られる場所は?
2~5月の山間部で自生の雪割草を見ることもできますが、同じ時期に植物園や国営公園でも見ることができます。雪割草を「県の草花」としている新潟県では、多くの名所が多くあります。
名所①国営越後丘陵公園(新潟県長岡市)
越後の四季の移ろいや自然を感じられる公園です。雪割草は、公園内にある樹林の小径・「自然探勝路」で見ることができます。毎年3月中旬~4月中旬には「雪割草まつり」も開催されるので必見ですね!
名所②大崎雪割草の里(新潟県柏崎市)
春になると小高い丘の上におよそ30万株の雪割草が咲き誇ります。ビニールハウスでは様々な品種を間近で見ることもできるので、雪割草の色や形の違いを楽しみたい!という方におすすめです。
名所③猿山岬灯台(石川県輪島市)
雪割草のスポットの中でも石川県の猿山岬では、野生の雪割草が一面に群生している光景を見ることができます!自生する雪割草を見ることができることもあり、ファンの間では好評です。
雪割草の花の違いを楽しむ
雪割草がマニアを魅了しているのは何といっても花のバリエーションが多いこと!一見、雪割草の花びらのように見えている部分は萼片です。この萼片の形やつき方、模様の入り方が雪割草一つを取ってみても同じものが存在しないので、それぞれの違いを楽しむことができます。
花の咲き方
- 標準型 花弁が6枚あり、雄しべ、雌しべが存在するもの。
- 多弁型 花弁が9枚以上あり、雄しべ、雌しべが存在するもの。
- 二段咲き 雄しべが花弁化し、雌しべを囲むように並んでいるもの。
- 三段咲き 雄しべ、雌しべのどちらかが、あるいは両方が小さな葉のように変化したもの。
- 乙女咲き 雄しべが全くないもの。
- やもめ咲き 乙女咲きの反対で、雌しべが全く存在しないもの。
- シラシベ咲き 雄しべがしゃもじ状に変化したもの。
- 日輪咲き 雄しべが光沢感のある割りばし状に変化し、長さがそろっているもの。
- 纏咲き 雄しべ、雌しべも存在し、大きな花弁の上にその半分の大きさの花弁が重なっているもの。
- 丁字咲き 雄しべが花弁化し、左右によじれたような形になっているもの。
- 妖精咲き 雄しべが光沢感のある花弁に変化したもの。
- 唐子咲き 雄しべ雌しべともに花弁化し、よじれて重なっているもの。
- 千重咲き 雄しべも雌しべも花弁状になり、中心から小さな花びらが何枚も重なっているもの。
花弁の形
- 桜弁 桜の花びらにように、花弁の先がくぼんでいるもの。
- 撫子弁 撫子の花びらように、花弁に切れ込みがあるもの。
- 梅弁 梅の花びらのように、花弁が丸い形になっているもの。
- 細弁 花弁が細長いもの。
- フリル弁 花弁のふちが波打つような形になっているもの。
- 剣弁 花弁の先が鋭く尖っているもの。
花弁の模様
- 玉染め模様 花弁の先端に色濃く模様が入っているもの
- 中染め 白色の花弁の中央部分に縦に色がはいっているもの。
- 爪紅 白色の花弁の先端に筆でこすったように色が入ったもの。
- 網目模様 白色の花弁に網目のように色が浮き出たもの。
- 星模様 白色の花弁に小さな点が星空のように入っているもの。
雪割草を育ててみたい方へ
雪割草が好む環境を知り、近い状態で育てることが綺麗に花を咲かせることができますポイントです。特に、「日当たり」と「水やり」のコツさえつかめば上手に育てられることができます!株の選び方から育て方まで説明します。
雪割草の入手方法
開花時期の2~3月や植え替え時期である10~11月に、園芸店やホームセンターの園芸コーナーなどの店頭に並びます。そこで購入することができます。
選び方のポイント
選び方としては、濃い緑色をしていて、いきいきとした綺麗な葉っぱがついているものを選びましょう。葉の表面がボツボツとしているものや、いびつで縮んでしまっている葉っぱがついているものは状態が良くありません。花が咲く前に枯れてしまう可能性が高いので避けましょう。芽が伸びているものの選び方については、芽がぷっくりと膨らんでいるものを選ぶことがポイントです。
育て方のポイント
水やり
雪割草は水はけがよい環境を好みます。基本的には、土の表面が乾いたタイミングで鉢底から流れ出るくらいの水をたっぷりと与えるようにします。土の表面がまだ湿っている状態で水をあげてしまうと、病気になってしまったり枯れたりする原因になるので注意しましょう。夏場の水やりに関しては、日没後1時間に葉に水をかけてあげます(葉水)。こうすることで気化熱によって鉢全体の温度を下げることができます。
日当たり
山地の日陰に生息する雪割草は、直射日光が当たる環境は苦手です。遮光した環境で育てましょう。特に夏場は注意が必要になってきます。夏の強い日差しに当ててしまうと葉焼けを起こし枯れる原因にもつながるため、80~90%くらい遮光できる日よけの下で管理するのがベストです。
まとめ
「雪割草」の名前からまだ寒さの残る山中でひっそりと花を咲かせるイメージがある一方、色彩や形のバリエーションが豊富で華やな一面も持ち合わせている意外性の高い山野草でした。早春や春先に、雪割草を見つけに山地や名所へ出かけてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC