カモミールとは
カモミールはキク科の植物です。ギリシア語で「大地のりんご」という意味を持つ「カマイーメロン」が名前の由来とされ、りんごのような甘い香りがします。デイジーに似た白い花がかわいらしく、観賞用としても親しまれていますがヨーロッパでは古くから薬草として用いられてきました。本記事ではカモミールについて、ハーブティーとしての効能や飲み方を中心にご紹介します。
カモミールの種類
カモミールにはいくつか種類があり、ハーブとして用いられているのは2種類です。見た目がよく似ていて同じような薬効があることから混同されがちですが、別の属に分類される別種の植物です。
ジャーマンカモミール
ジャーマンカモミールはキク科コシカギク属の一年草で、花期は3月~6月です。草丈は高く60cmほどにまで育ち、花は成熟すると中心部が盛り上がってきます。寒さに強く丈夫で育てやすい品種です。芳香があるのは花だけで、茎や葉からは香りがしません。苦みが少なく飲みやすいのでハーブティーによく利用され、一般的にカモミールティーとして流通しているのはジャーマンカモミールです。
ローマンカモミール
ローマンカモミールはキク科ローマカミツレ属の多年草で、花期は5月~6月です。花の中心部は扁平のままで、ジャーマンカモミールのように盛り上がることはありません。耐暑性が低く、高温になる日本の夏では対策をとらないと弱ってしまうこともあります。花だけでなく茎や葉にも芳香があるのが特徴です。苦みが強いのでハーブティーに用いられることは少なく、アロマテラピーや化粧品によく利用されます。
カモミールティーの効能
カモミールの利用方法としてもっともポピュラーなのは、お茶として飲用することです。カモミールティーはカフェインが含まれていないので子供にも安心して飲ませられ、ヨーロッパでは古くから家庭薬としてさまざまな場面で用いられてきました。おもな効能についてご紹介します。
ボタニ子
効能①リラックス・安眠効果
カモミールティーの香り成分には鎮静効果があり、興奮をしずめ精神をリラックスさせてくれます。カフェインが含まれていないので睡眠を妨げることもありません。寝る前に飲むと安眠効果が得られるといわれています。子供の夜泣きにも効くとされ、その効果は小さな子供がいるドイツやフランスの家庭には必ず常備されているといわれるほどです。
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ノンカフェインなので授乳中のお母さんも飲めますよ!
効能②鎮痛・血行促進効果
身体の筋肉は横紋筋と平滑筋という2種類の筋肉で構成されています。横紋筋は骨格を動かす筋肉で、平滑筋は胃腸や子宮などの内臓を動かす筋肉です。カモミールティーには平滑筋の緊張をやわらげて緩める効果があり、胃けいれんや生理痛、肩こりからくる頭痛などを改善効果が期待できます。血管も平滑筋で構成されているので血管の緊張を緩めて血行が促進され、冷え性にも効果的だといわれています。
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ホットで飲むことで温かさによる血行促進効果も加わってさらに効果があがります。
効能③胃腸を整える効果
カモミールは消化不良や食べすぎによる胃腸の疲れにも効果を発揮します。炎症をしずめ胃粘膜を修復する効果が期待できるため、傷んだ胃が正常に働けるようにサポートしてくれます。吐き気を抑えてくれる効果も。さらに胃腸の働きはストレスに大きな影響を受けるため、カモミールのリラックス効果も有効です。過敏性腸症候群にも効果があるといわれています。
次のページでも引き続きカモミールティーの効能についてご紹介します!
ローマンカモミールは苦みが強く、お茶として流通しているものはまれです。一般的に「カモミールティー」と呼ばれているジャーマンカモミールと区別して「ローマンカモミールティー」と呼ばれます。