ネモフィラとはどんな花?
ネモフィラは爽やかな青い花びらが特徴の花です。例えば、広大な敷地に地植えされたネモフィラが青い絨毯のように咲く『国営ひたち海浜公園』は、人気観光スポットとして知られています。知名度の高い花ともいえるでしょう。
ボタニ子
ここでは、ネモフィラの基本的な知識に触れていきましょう。
4~5月に美しい花が楽しめる
一年草のネモフィラの開花時期は4~5月です。品種としては、中央が白く花びらが青い『ネモフィラ・メンジェシー(別名・インシグニス)』が広く知られています。このほか、濃い紫の『ペニー・ブラック』、白い花びらの中心部に黒い無数の点が入った『スノーストーム』などがあります。青一色で統一感を、白や紫を織り交ぜてグラデーションを楽しむなど、植え方のアイデアも豊富です。
種からも苗からも育てられる
コンテナや地植えなど植え方を選ばないネモフィラは、種からも苗からも育てられます。初心者であれば、すでに育っている苗からチャレンジするのがおすすめです。苗を選ぶときは、茎がしっかりとしていて徒長していないものを選びましょう。できるだけ花がなく、若い苗を選ぶのがポイントです。移植に敏感な花のため、植え方には細心の注意を払いましょう。
ネモフィラの種の取り方は?
花を育てる醍醐味ともいえるのが『種から育てる』ということではないでしょうか。来年もネモフィラを楽しむために、種を収穫します。咲き終わったネモフィラからの種の取り方をチェックしましょう。
種の収穫はいつ?
花が咲き終わってすぐに種取りできるわけではありません。ネモフィラの花が咲き終わった後、小さな緑色の実を付けます。この実の中で、種が育っているのです。緑色の実が茶色くなったタイミングで種取りしましょう。種は1~2mm程度の、小さな黒い色をしています。
種の取り方は工夫しよう
緑色の実を早く茶色にしたいときは、ネモフィラの茎を倒しましょう。倒すことで日光が実に当たり、早く茶色に変色します。実を収穫したら新聞紙やキッチンペーパーの上で乾燥させ、種を取り出しましょう。新聞紙などの紙は、種の余分な水分を吸い取ってくれます。余分な水分はカビの原因になるため、このひと手間を惜しまないのがポイントです。
こぼれ種とは?
種取りのときに取り切れなかった種を『こぼれ種』といいます。自然にこぼれ落ちた種は、秋ごろに発芽してやがて春に花を咲かせます。しかし、必ず咲くわけではないため、きちんと種取りして保存しておくのがおすすめです。地植えでグランドカバーのようにしたい場合は、こぼれ種からの開花を利用するのもよいアイデアです。
ネモフィラの種の保存方法は?
ネモフィラから種とりをしたら、種まきに適した時期まで保存します。採取した種を、適当に放置しておくのはNGです。どのような保存方法が望ましいのか見ていきましょう。
種は何に入れて保管する?
種を保管する上で気をつけたいのが『湿気』です。カビが生えないように湿気を抑えることがポイントです。密閉性の高いビンや茶筒、チャック付き密閉袋に入れましょう。さらに、乾燥剤(シリカゲル)を入れて湿気をできる限りシャットアウトします。
保管場所はどこがいい?
種は適当な場所に放置せず、きちんと場所を決めて保管しましょう。種は高い温度を嫌います。日光が当たるような場所は避け、冷暗所で保管します。保管場所としておすすめなのが冷蔵庫の『冷蔵室』です。冷凍室では、種の細胞を壊してしまうおそれがあり、野菜室では保管してる野菜が放出する『エチレンガス』で種の寿命が短くなってしまうかもしれないからです。
ネモフィラの種の蒔き方
湿気から守って保存した種の蒔き方をチェックしていきましょう。種はいつまいてもよいわけではありません。
ボタニ子
種まきの時期や発芽前後の注意点を解説します。
種の蒔き方のポイント
ネモフィラの種まきは秋、9~10月に行います。この時期に種をまくと、4~5月に花を咲かせます。地植えで育てる場合は、15cm程度の間を空けてまき、2mmほど土をかけましょう。ポットで育てるなら3~4粒まき、同じように軽く土をかぶせます。水はけのよい土、日当たりのよい場所にまくのがポイントです。
春まきをするケースとは
一般的にネモフィラの種まきの時期は秋ですが、春まきをしなければいけないケースがあります。それ(春まき)が必要なのは、寒冷地です。暖かくなってきた3~4月、ちょうど桜が咲く時期に種まきしましょう。春まきのネモフィラの開花時期は、5月ではなく6~9月です。
発芽してからの注意点
ネモフィラの発芽温度は20℃程度です。種まきをしてから10日ほどで発芽するでしょう。ネモフィラは丈夫で耐寒性があり、-3℃までは積雪があっても枯れることはありません。しかし、育っている途中の苗が霜柱で浮いてしまわないように、霜よけを施すことをおすすめします。肥料も特別必要なく、葉色が悪くなるなどしたときに液肥を与えましょう。
病害虫には気をつけて
育て方が難しくない点がネモフィラの魅力ですが、病害虫の対策は怠らないようにしましょう。春先は『アブラムシ』が付きやすくなります。アブラムシは葉や茎の汁を吸い、ネモフィラを枯らせてしまいます。見つけたら殺虫剤などで駆除するのがよいでしょう。また、『灰色カビ病』は葉が混みあって多湿状態に陥ると発生します。風通しをよくするために、適度に間引いて防ぎましょう。
ネモフィラを咲かせて理想の春の庭づくりを!
育て方が簡単でいながら、ネモフィラは可憐な花を咲かせます。植え方を工夫すると、自慢したくなるような春の庭が実現するでしょう。咲いた花から種取りをしてしっかり保管すれば、毎年ネモフィラを楽しめます。種から育てる喜びを味わってみましょう。
出典:写真AC