生石灰の読み方は?
生石灰は「せいせっかい」もしくは「きせっかい」「なませっかい」と読みます。「しょうせっかい」という読み方だと勘違いされることが多いのですが一般的に「しょうせっかい」と言えば消石灰を指します。読み方が消石灰と混ざってしまうことが多く農業で使用するときに同じものだと考えられがちな生石灰。実は取り扱いには注意が必要です。
生石灰は危険
生石灰は水と反応して激しく発熱します。この発熱はとても高温になります。また空気中の水とも簡単に反応してしまいます。よって生石灰は園芸用というよりは工業用に使用されることが多いんです。消石灰と同じ読み方をしてしまい安易に大量の生石灰を園芸用に使うととても危険です。
生石灰の作り方
生石灰は酸化カルシウムとも呼ばれ石灰岩や貝殻、サンゴなどから作られます。炭酸カルシウムである石灰岩を高温で焼成することで二酸化炭素が発生し、生石灰(酸化カルシウム)が残ります。日本では石灰岩が豊富にあるので石灰の自給率はほぼ100%に近い資源です。生石灰の歴史は古く先史時代から使われていたという説もあります。
生石灰の生成過程
生石灰の作り方の化学式はCaCo3=CaO+CO2です。すなわち、石灰岩を砕いた炭酸カルシウム(CaCo3)を高温で熱することで生石灰(CaO)と二酸化炭素(CO2)が生成されるわけです。1000℃以上の熱が必要なので個人で簡単に作ることは難しいでしょう。
消石灰との違いは何?
成分は同じ石灰石
前述したように石灰石(炭酸カルシウム)を1000℃ほどの熱で加熱すると二酸化炭素と生石灰になります。この生石灰に水が加わることで消石灰が生成されます。水を加えるときに激しく発熱するため一般的に大量の生石灰を園芸で使うことありません。農業用として広範囲の土壌を消毒するために使われることはありますが発熱には注意が必要です。
化学式は違う
- 生石灰の化学式は酸化カルシウム(CaO)
- 消石灰の化学式は水酸化カルシウム(CaOH2)
消石灰は園芸用に使える
なぜ、生石灰が園芸用途で使えるのか
生石灰はその性質上、水を加えると発熱が激しく危険ですがそこから生じた消石灰は手軽に園芸用として使うことができます。消石灰は水と混ざるとアルカリ性になりますので酸性土壌の中和に適しているからです。雨によってpHが酸性に傾きがちな日本の土壌改良には消石灰が有用なんです。
生石灰の用途や使い方
生石灰の用途は
生石灰は建材や製紙の工業用に使われるほか、乾燥剤や加温剤として使われています。お煎餅や海苔の乾燥剤には酸化カルシウムの名で生石灰が使われていることがあります。また駅で販売されているカップの熱燗や駅弁を温めるために火の出ない生石灰が活躍しています。
生石灰は土壌改良に使えるの?
生石灰を土壌改良に使うこともできます。大規模な畑への土壌改良や殺虫に効果的です。ただし生石灰に水を加えると煮えたぎるくらいの発熱を生じるので慎重に取り扱わなりません。熱を利用した堆肥の発酵促進に使われることもありますがいずれもプロの農家が使うことが多いようです。
市販されているの?
生石灰は乾燥剤や発熱剤として市販されています。また大型のホームセンターや農協、ネット通販などでは生石灰そのものを手に入れることも可能です。保管場所や取り扱いには注意しましょう。
人体への危険は?
生石灰は皮膚に付着すると炎症を引き起こします。また吸い込んでしまうと水分と反応して熱を発し痛みや呼吸困難を起こすことがあります。使用時はマスクや手袋、防護メガネが必須となります。誤った使い方をしないように注意しましょう。
生石灰を使った消石灰の作り方
用途を謝ると危険な生石灰ですが乾燥剤として私たちの身近に存在しています。乾燥剤はシリカゲルか生石灰(酸化カルシウム)が多いですが捨ててしまうのはちょっともったいないですよね。手元にある乾燥剤が石灰乾燥剤だった場合、再利用することができるんです。
そのまま土にまいてみましょう
乾燥剤として活躍して十分湿気を吸った生石灰。すでに小袋の中で消石灰に変わっている場合もあります。やけど防止のため手袋をして土にまき、よく混ぜ合わせましょう。土の中の水分とゆっくり反応して消石灰となり土壌のpHをアルカリ性に中和してくれます。まいてから10日ほどで苗を植えることができます。
水をかけないように
生石灰を使った消石灰の作り方はあくまでゆっくりと水分と反応させることが必須となります。水をかけたり水に落としたりしないようにしましょう。生石灰の乾燥剤に生ゴミの水分がかかりゴミ袋が発火した例もあります。
まとめ
いかがでしたか?読み方も似ていていかにも同じものに見える生石灰と消石灰。成分は近いですが生石灰の用途は乾燥剤として使われることが多いようです。誤った使い方をすると発熱してとても危険な生石灰。土壌のpHを中和する際は手軽に取り扱える消石灰や苦土石灰を使うことをおすすめします。また石灰乾燥剤の再利用は手軽で家庭菜園にはぴったりですよ。
新しい乾燥剤は固くざらざらしていましたが十分吸湿した乾燥剤は生石灰が消石灰に変化していました。袋の外からさわるとふかふかしています。