カラスザンショウとは?新芽がタラの芽にも似ていると噂の樹木をご紹介!

カラスザンショウとは?新芽がタラの芽にも似ていると噂の樹木をご紹介!

カラスザンショウという木を、ご存知ですか?実は日本のいたるところに生育しています。花も目立つ花ではないので、見逃している方が多いかもしれません。今回はこのカラスザンショウの特徴や生息地、食べれるのかどうかについてご紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.カラスザンショウとはどんな植物?
  2. 2.サンショウ(山椒)とカラスザンショウ(烏山椒)
  3. 3.カラスザンショウの生息地は?
  4. 4.カラスザンショウはタラの芽に似ている?
  5. 5.カラスザンショウの新芽は食べられる?
  6. 6.カラスザンショウの活用方法は?
  7. 7.まとめ

カラスザンショウとはどんな植物?

カラスザンショウの特徴

カラスザンショウ(烏山椒)とは、ミカン科サンショウ属の落葉樹です。木の高さは約15m、直径は約60cmにまで成長し、幹や枝にはトゲがあります。トゲは古くなると脆くなりますが、新しいトゲは鋭く生えており、注意が必要です。

弱い毒性?名前の由来はカラス?

名前の一部にもなっている「山椒」とは違い、アルカロイドを含みます。そのため、弱い毒性ですが、樹液に触れるとかぶれることがあります。また、大きく利用価値がないことや、カラスが実を食べるところから、カラスザンショウと名付けられたと言われてます。

カラスザンショウの花は?

カラスザンショウは雌雄異株(しゆういしゅ)の樹木です。雄株は7月~8月に、緑白色の小ぶりの花を枝先に咲かせます。同様に、雌株も花を咲かせますが、淡い緑色で両者ともあまり目立ちません。径7mmほどの緑色の果実をつけますが、熟すと紅紫色になります。秋から冬にかけてこの紅紫色の果実が破裂し、黒い3~4mmの種子がでてきます。

カラスザンショウとアゲハチョウ

出典:写真AC

カラスザンショウの葉は、アゲハチョウ科の食草でもあり、4月から9月ごろにクロアゲハ、カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、モンキアゲハなどの幼虫が食べている姿を見ることができます。アゲハチョウを育てるために、カラスザンショウの苗木が販売されています。

サンショウ(山椒)とカラスザンショウ(烏山椒)

サンショウ(山椒)とは

出典:写真AC

山椒は、ミカン科のサンショウ属の落葉低木です。同じミカン科ということでカラスザンショウとは同じですが、雌雄異株で、実をつけるのは雌株のみです。山椒の実といえば、うなぎの蒲焼を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。香りがよいため、うなぎの臭消しとして用いられます。また七味唐辛子の材料として調合されています。山椒は実だけの活用だけではありません。若芽、若葉、花(花山椒)、木材も利用価値があり、人々の生活の中で有効利用されています。

カラスザンショウと山椒との違いは?

出典:写真AC

一番の違いは、木の大きさです。山椒の樹高は3~5mほどで、カラスザンショウの方がはるかに大きく育ちます。上の写真は山椒の木ですが、冒頭のカラスザンショウの木の写真と比較すると、小柄で葉も小さいことがわかりますね。また、山椒は古くより雌花から採れる果実を香辛料として親しまれてきましたが、カラスザンショウの実は香りが悪く、辛味がありません。両者とも鋭いトゲがありますが、カラスザンショウの方がトゲの数は多いです。

カラスザンショウの生息地は?

本州から九州、沖縄にかけて生息しており、海外では中国、台湾、フィリピン、朝鮮南部でも見られます。あたたかい海に沿った陸地から山まで、幅広く生息しています。先駆植物(せんくしょくぶつ)のため、伐採地などの土がむき出しになっている土地では、一番乗りで育ちます。また、カラスが実をつつくように、小鳥たちも大好物で実を食べます。実を食べた鳥たちのフンを経由して、いつの間にか庭に生えていた、ということもあります。

カラスザンショウはタラの芽に似ている?

カラスザンショウの新芽に似ている植物に「タラの芽」があります。おそらく、タラの芽の方が聞き覚えもあり、有名でしょう。中には、カラスザンショウの新芽を「タラの芽」と間違えて食べてしまっている方もいるようです。

タラの芽とは?

出典:写真AC

タラの芽とは、ウコギ科のタラノキに生える新芽のことです。このタラの芽を、山菜として楽しむことができます。「山菜の王様」と呼ばれるように、多くの人から親しまれ、全国の山に自生していますが、最近では栽培も進んでいます。もっちりした食感とほのかな苦み、さわやかな香りが特徴です。(※上の写真は、タラの芽)

毒タラってなに?

また、毒タラというワードがありますが、タラの芽には毒はありません。毒タラとは、漆(うるし)の芽の呼び名です。タラの芽と間違えて、漆(うるし)の芽を採ってしまうとかぶれるために、注意喚起の意味を込めて「毒タラ」というワードが生まれました。ちなみに漆の芽も毒はありません。

タラの芽とカラスザンショウの新芽の違い

タラの芽は、全体的にやわらかい毛が生えており、葉には光沢がありません。一方で、カラスザンショウの新芽は、葉に光沢があり、赤みを帯びています。両者の共通点としては、トゲが生えているところです。(※写真は、カラスザンショウの新芽)

簡単な見分け方は?

また、カラスザンショウの新芽を採取すると、独特な柑橘系の香りがします。タラの芽は、さわやかな香りがするので、香りで判断するのが一番簡単に見分ける方法です。

カラスザンショウの新芽は食べられる?

出典:写真AC

カラスザンショウは独特な香りがあり、あくが強いため、一般には食用とされておりません。毒性のあるアルカロイドが含まれていますが、カフェインなどと同様に比較的安全な成分となりますので、少量なら問題ないようです。あえて、食べるならば、てんぷらなどが挙げられますが、大量の摂取は控えた方がいいでしょう。

カラスザンショウの食べ方① てんぷら

新芽のトゲは柔らかいので、そのままあげても大丈夫ですが、えぐみを取るために先に下ゆでをしてから天ぷらにしたほうが良いでしょう。

カラスザンショウの食べ方② 和え物

上の写真は、カラスザンショウの新芽をゆでた後に、タルタルソースで和えたものです。カラスザンショウの香りを生かした和え物といえるでしょう。カラスザンショウをゆでただけでは、香りがきつく、えぐみがありますが、ソースを使ったレシピなら美味しくいただけそうですね。

カラスザンショウの食べ方③ はちみつ

最近では、カラスザンショウのかわいらしい花から採れるはちみつが販売されています。ふつうのはちみつとは違い、スパイシーで独特な風味があり、柑橘系のさわやかな香りが特徴です。一味違ったはちみつが味わいたい方は、試してみてはいかがでしょうか。

上の写真は、いちじくとクリームチーズ、チーズとナッツのオープンサンドにカラスザンショウのはちみつをあわせたレシピです。カラスザンショウのさわやかな香りが、素材を引き立たせます。甘いパンケーキなどに合わせる他に、お料理に合わせた使い方ができ、さまざまなお料理に幅広く活躍してくれるでしょう。

カラスザンショウの活用方法は?

カラスザンショウの活用方法① リース

カラスザンショウの実をたくさん使用したリースです。深みのある黒い種子とすっかり渋い色に変わった果皮が、秋や冬のリースにぴったりですね。食べることはできませんが、カラスザンショウの実を見つけたら、装飾の素材として集めてはいかがでしょうか。

カラスザンショウの活用方法② プラントアート

写真は、葉をパウチしたプレートです。植物の標本をアートとして取り入れる「プラントアート」というものがあります。今回は、カラスザンショウをプラントアートとして取り入れた作品です。鮮やかな緑がさわやかさを醸し出していますよね。お部屋のインテリアに取り入れれば、カラスザンショウを身近に感じることができますよ。

カラスザンショウの活用方法③ すりこぎ

山椒の木材は、すりこぎを作る際に用いられています。擦ったときに出てくる木材の粒子が、解毒の作用や香りをもたらしてくれるため、古くから使用されてきました。また最近では、カラスザンショウの木を使用した製品もあります。「山椒の木を使用」と書かれて販売されることも多いです。山椒の木とカラスザンショウの木はトゲの数が違うので、トゲを削った箇所が多いものが、カラスザンショウの木を使用しているすりこぎとなります。(写真は山椒の木を使用したすりこぎ)

まとめ

カラスザンショウは、日本のいたるところに生育しています。山椒のように香辛料として実を利用するには難しいですが、観賞用として実を利用することが可能です。また、通常は食用としての利用はされませんが、新芽を発見されたら、てんぷらや和え物にチャレンジされるのもいかがでしょうか。カラスザンショウを触る際は、毒(かぶれる程度)とトゲに注意してくださいね。一味違うはちみつも、ぜひお試しください。

いぐみ
ライター

いぐみ

今年はハーブの栽培に挑戦予定です。

関連記事

Article Ranking