ローズマリーについて
ローズマリーは鉢やプランターで手軽に育てられるハーブとして、多くの人が生活の中に取り入れています。増やしてみたくても難しそうと思う人も多いようですが、上手に増やすための手順やポイントを知れば、簡単に増やせますよ。
ローズマリーの概要
まずは、いつが開花時期なのかなど、ローズマリーの基本的な情報を知りましょう。
基本情報
学名 | Rosmarinus officinalis |
科名 | シソ科 |
属名 | マンネンロウ属 |
英名 | Rosemary |
和名 | 迷迭香(マンネンロウ) |
原産地 | 地中海沿岸地方 |
開花時期 | 11月~5月 |
収穫時期 | 4月~11月 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
ローズマリーの特徴
ローズマリーは、葉に爽快で力強い香りのある常緑樹です。古代ギリシャでは悪魔から守る神秘的な力をもつとされ、冠婚葬祭の装飾などにも利用されてきました。料理に使えることはもちろん、薬用としても重宝され、近年では抗酸化成分であるロスマリン酸が含有されていることがわかってます。
ローズマリーの用途
飲食用 | 肉魚料理、ハーブティー、焼菓子 |
香料用 | アロマオイル、ポプリ、入浴剤 |
クラフト | リース、ドライフラワー |
ガーデニング | 生垣、グランドカバー |
薬用 | 外傷薬、湿布剤 |
植物を増やす代表的な方法
植物は上手に管理すれば増やしていける方法がいくつかあります。その植物にあった方法で増やすことが成功や失敗につながります。増やし方のポイントをおさえて選びましょう。
増やし方の方法
挿し木 (挿し芽) |
増やす植物の葉、茎、根などの一部を切り取り、 用土や水に挿して発根させて新たな個体を栽培する |
接ぎ木 | 病害に強い個体を増やしたいときに、 植物の一部を切り取り(接穂)、 別の植物に癒着させ(台木)生育し増やす方法 |
株分け | 大きくなった植物の親株から根や茎を切り離し、 用土に植え替え栽培し新しい個体をつくる方法 |
分球 | 親球の横に新しくつく子球を切り離して、 用土や水に移し増す方法。主に球根植物に用いる。 |
ローズマリーの増やし方
ローズマリーの増やし方にはどの方法が適しているでしょう?ローズマリーは一般的には低木が多く出回っています。最長でも50cmほどの大きさです。種類によっては200cmほどになるものがあります。その場合、接ぎ木でも増やすことができそうですが、初心者が成功しやすい方法は「挿し木(挿し芽)」が簡単だと言えます。
挿し木の時期
挿し木はいつ行なってもよいわけではありません。挿し木の適期は気温が生育適温の20~25℃くらいになる、春から初夏にかけた4月~6月頃と秋の9月~10月頃です。
準備するもの
準備するもののチェックポイント
- 鉢
小さく浅めで広口の鉢やセルトレイなど - 用土
肥料の入っていない、バーミキュライトを使用した新しい土 - ハサミ
よく切れるもの(茎の切り口を潰してしまわないため) - 発根促進剤
メネデールは入手しやすい - 水上げ用の容器
コップ位の深さで汚れたり捨ててもよいもの - 水
用意する小さい容器にあった量
挿し木用の挿し穂を作る
挿し木に適した挿し穂
挿し木に使う挿し穂を作るときには、どの部分をカットするかがポイントです。シーズン中に成長した部分(新梢)を選びます。一番健康な部分が挿し穂に一番適しているのです。その新梢の枝部分を15cmほどカットして使いましょう。また、苗の株元は固く木質化していて、丈夫に見えて使いやすそうですが、根が発根しにくいため挿し穂には向いていません。
枝の切り方
枝の切り方は切り口が斜めになるように、ハサミは斜めに入れます。切り取った枝についた下半分ほどの葉を取り除きます。
水あげをする
切った枝は水を入れた容器に挿して、1時間ほど水あげをしておきます。
植木鉢に用土を準備する
鉢に入れる用土はあらかじめ十分に湿らせておきましょう。また、土は少なめに入れておきます。少ない土の方が根を伸ばそうとする働きが促されるからです。挿し穂を挿し込みやすくするため、用土に指先や細い棒で穴を開けておきます。(茎に硬さがあればそのまま挿せるので大丈夫です)
挿し木する時に注意するポイント
- 土は必ず新しいものを使いましょう。古い土には雑菌が残っている場合があり、枝の切り口からその雑菌が入ってしまい、上手く育たない可能性があるからです
- メネデール(発根促進剤)を100倍に薄めて、挿し穂の切り口を5分ほど浸してから用土に挿すと、発根しやすくなります
ローズマリーの挿し木を管理する
植え付けがすんだら半日陰の涼しい場所に置き、1カ月ほど水やりをしながら生育の様子を見ていきます。観察のポイントは根が出るか、根が出ないかです。
挿し木の管理場所
直射日光のあたらない半日陰で管理するようにしましょう。直射日光によって葉焼けしたり、挿し穂が枯れたりしおれたりする原因になります。生育に適した温度より、気温が上がってしまわないように管理することが大事です。室内で管理する場合は風通しのよい場所を選びます。窓辺の場合は西日が差し込む時間はさけるよう注意しましょう。
水やりについて
原産地の地中海はカラッとした気候です。ローズマリーは湿気には弱いため基本的には土の表面が乾燥したら、たっぷりとお水を与えればよいです。土の表面は乾いていても、中の方は充分に湿っている場合があります。気温や気候によって水やりのタイミングをはかりましょう。水のあげすぎは根腐れを引き起こし、根が傷み枯れてしまうため要注意です。
根が出たら植え替え
挿し木用の鉢が小さいものやセルトレイであれば、1カ月もすれば下からのぞくと根が出ているのがわかります。底の見えない鉢の場合は、新しい芽が出てくれば根も育っているという目安になり、挿し木の成功といえます。そこまで育ってきたら一回り大きめの鉢に植え替えをしましょう。
植え替え後の異変について
やり方通りお世話しているのに、葉が枯れたりしおれたりしている!
ボタニ子
葉が枯れる・しおれるなどの原因は、次のようなことが考えられます。思い当たることはないですか?
- 本当に水やりをしすぎていませんか?
- 水をやりすぎていなくても、高温多湿な環境ではないですか?
- 植え替えた鉢が小さすぎて根詰まりしていませんか?
- 根元が密集し風通しが悪く蒸れていませんか?
そういえば、梅雨の時期に雨にあたらないよう風通しの悪い玄関の隅に…
ボタニ子
雨を避ける対策はよかったですね。しかし、梅雨の時期は高温多湿のため、根元が蒸れると枯れやしおれる原因になります。風通しのよい場所に移動させましょう。また、根元が密集していたら葉を剪定して、風通しをよくし様子をみてください。
わかりました…やってみます。それから、育ちすぎて鉢が小さく根が張ってきているものもあるので、植え替えたいのですがいつがよいですか?
ボタニ子
鉢植えの場合、1~2年たっているものなら植え替えが可能です。植え替えの適期は生育期の春や秋です。古い土は絶対に使わず新しい土で植え替えをしてください。春に植え替えて1カ月後に新しい芽が出てくれば安心です。
まとめ
よくまとまっている動画で参考になります。いつ挿し木をすればよいか適期を知り、守るべきことがわかれば、ローズマリーの増やし方は簡単です。ハーブの中でもローズマリーは用途が多く、食用にするもよしアロマオイルや軟膏を作るもよしで、生活にとても役立ちます。ハーブを増やしてみたい人はぜひ挑戦してみてください。
出典:写真AC