山茶花(サザンカ)の概要
サザンカは日本に古くからある植物のひとつで、ツバキ科の常緑樹です。ツバキ科のため、椿ととてもよく似た花を咲かせます。生垣や庭木によく使われることの多いサザンカは、とても育てやすい植物です。正しい剪定方法で風通しや日当たりをよくすることで病気や害虫を避け、サザンカの木を長く楽しみましょう。
サザンカの開花時期
サザンカの開花時期は11月~1月で、花の少なくなる寒い季節に咲きます。次から次に花を咲かせるため、花を長く楽しめるのがうれしいポイントです。花の色も赤や白、ピンクのものから、色が入り混じったものまで数多くの品種があります。サザンカは花をたくさんつけるため、また病気や害虫対策のためにも剪定はとても重要です。
山茶花(サザンカ)と椿の簡単な見分け方
「そもそも、家にある木は山茶花だろうか、椿だろうか?」と疑問に思う人もいるようです。簡単な見分け方としては、花が落ちるときの様子に注目することです。椿は花ごとぽとりと落ちるのに対し、山茶花は徐々に花びらを散らせて落ちていきます。また、葉の縁でも見分けられます。椿の葉よりも、山茶花の葉のほうがギザギザとした鋸歯です。山茶花か疑わしいときは、違いを観察してみましょう。
山茶花(サザンカ)の剪定時期
庭木の中でも成長がゆっくりなサザンカですが、風通しをよくするために剪定がとても重要です。風通しが悪いと害虫の温床になったり、過湿で病気が発生しやすくなったりします。また、内部を剪定して透かすことで、日光がまんべんなく当たり花のつきもよくなります。
剪定の適期
サザンカの剪定時期は3月~4月です。夏の季節に枝が伸びるため、その前に剪定をして風通しや日当たりをよくしておきましょう。夏の枝が伸びすぎてしまった場合は、9月にも追加で剪定しても問題ありません。ただし、9月の剪定は、つぼみができているのを確認しながら行います。適切な時期に剪定し、葉の茂りをよくして花つきを増やすようにしましょう。
タイミングを誤らない!
サザンカの開花時期は11月ですが、品種によっては春先まで咲いていることもあります。3月~4月に行う剪定は、花が咲き終わってから数日あけて行いましょう。花が終わったあとすぐ強い剪定をすると、木の勢いを弱めて花つきが悪くなってしまうため注意が必要です。
ボタニ子
花が咲き終わった後の花がらはこまめに摘んでね!
剪定に向いていない時期
サザンカは初夏の季節に枝を伸ばし、冬に咲く花のつぼみを作り始めます。そのため、新枝が出た後である夏の剪定は避けましょう。木が弱ってしまうと花芽がつかないだけではなく、真夏の日差しに負けてしまうこともあるため要注意です。
山茶花(サザンカ)の剪定回数・頻度
剪定回数はMAXで2回
サザンカの剪定回数は、3月~4月の春先と、夏が終わる9月の2回です。自然樹形で育てている場合は3月だけでも大丈夫です。成長が遅いサザンカは、多少剪定を忘れてしまっても形が崩れることはありません。しかし、風通しや日当たりが悪くなると生育に影響してしまうため、3月の剪定は忘れないように行いましょう。
9月の剪定は軽めに
9月には、その冬に咲く花のつぼみがつき始めています。剪定するときは、たくさんのつぼみを落とさないように注意しながら行いましょう。9月の剪定は、あくまでも軽く行うことを心掛けておくのがポイントです。
剪定でよく聞く「強剪定」とは?
強剪定とは、樹形の形を大きく変えるような強い剪定のことを指します。例えば、自然樹形で育てていたものを生垣に変えたり、半分以上の低さになるように切り込んだりするといったときはが強剪定にあたります。強い剪定はどうしても植物を弱らせてしまうため、剪定の後はしっかり様子を見ましょう。
ボタニ子
サザンカの場合は、数年に一度の頻度で強剪定を行うことが望ましいといわれているわ。
山茶花(サザンカ)の剪定のやり方【庭木編】
サザンカは、自然のままの樹形を生かした形に剪定するのがおすすめです。楕円形をイメージして、それに近づけるように剪定しましょう。
剪定する枝
サザンカの剪定においては、全体を見渡して不要な枝を間引くような剪定方法をとりましょう。ほかの枝とクロスしていたり、重なっていたりする枝を中心に剪定します。真上に伸びている徒長枝や根元からのひこばえ、先端にかけて葉が少ない枝や、枯れた葉がついている枝も剪定してください。また、理想とする形から大きくはみ出している枝も切ってしまいましょう。
枝のどこを切ればいい?
傷んだ枝でなければ、剪定するときに葉を根元から数枚残した場所を切るように心がけましょう。切った場所から、翌年も新しい枝が伸びることで適度に若返ります。
ボタニ子
枝全体が傷んでいるときは根元から剪定しよう。
こんな枝は根元から剪定を!
木の内部に向かって伸びている枝や下向きに伸びている枝も、無駄な養分を取ってしまうだけのため剪定しましょう。また、幹のまったく同じ場所から出ている枝も、どちらか片方を残して切ってしまうほうが、きれいなシルエットを作れます。
山茶花(サザンカ)の剪定のやり方【生垣編】
何本もサザンカを並べて植えることで目隠しになる生垣。特に内部は枝が密集してしまうため、全体を見ながら枝を剪定していきます。傷んだ枝や葉数が少ない枝を優先的に剪定しましょう。生垣の場合は最後にてっぺんを刈り込みばさみで切りそろえることで、きれいな四角い形が完成します。
生垣の刈り込みは必ず3月に
生垣のてっぺんを刈り込むことは、多くの葉を落とすことになります。庭木同様に、必ず3月~4月に行いましょう。夏の生育が旺盛になり、刈り込んだ部分の成長を促せます。秋の季節の刈り込みは木を弱らせてしまうため避けましょう。
サザンカ(山茶花)の剪定の注意点
害虫のチャドクガに注意
サザンカには、チャドクガという毛虫がついていることがあります。一般的な毛虫と違って、チャドクガに刺されると腫れあがったり、かぶれたりしてとても危険です。また毛が風に乗って飛んでくることもあります。チャドクガの発生時期は4月からのため、剪定の際はチャドクガがいないか確認したり、軍手などをつけたりして作業することをおすすめします。
ボタニ子
チャドクガの卵でも触ったらかぶれてしまうことがあるんだって!
花がら摘みを行う
花後から剪定するまでの間に、花がらも摘んでおきましょう。サザンカは実をつけると、栄養が取られて木が弱ってしまうことがあります。また、花がらの部分は湿っぽく、害虫が育ちやすくなってしまうため適度な花がら摘みが重要です。
太い枝を切ったあとは薬を使う
通常の剪定では不要ですが、太い枝を切った場合は切り口に殺菌剤を塗る作業が必要です。切り口からばい菌が入り病気になるのを防ぐために重要な作業のため、覚えておきましょう。
サザンカ(山茶花)の剪定にチャレンジしよう
病気や害虫の防除として、サザンカの剪定はとても大切な作業です。また、剪定することで木をじっくり観察でき、木の異常にも気づきやすいというメリットもあります。サザンカは剪定頻度も少なく管理しやすい木で、庭木や生垣におすすめですよ。花の少なくなる冬の時期に、可憐な花を咲かせるサザンカをぜひガーデニングに取り入れてみてくださいね。
出典:写真AC