クミンとは
クミンは、南アジアやヨーロッパで栽培されています。クミンという名は、ラテン語のクミニムが起源とされていますが、別名キュマンやジーラ、日本では、馬芹(ウマゼリ)とも呼ばれています。主にエスニック料理に使われ、カレー粉に混ぜたり、ガラムマサラに使われたりする香辛料として有名です。
生態
- セリ科の一年草
- 学名 Cuminum cyminum
- エジプト原産
クミンの特徴
カレーのスパイスに使われるため、日本人に馴染みのあるクミンは、数多くあるスパイスの中でも遥か昔から栽培されています。苦味や辛味、強い香りが特徴です。使い方はさまざまで、古代ギリシアや古代ローマでは、料理に加える調味料としてはもちろん、薬用や美容にも使われていました。
おまじないに使われる
クミンは昔、おまじないにも使われていました。匂いをかぐと妊娠しやすくなる効果や、恋人が他の人に恋心を抱かない効果があるとされてきました。結婚式のときには、ライスシャワーにクミンを混ぜたり、少量のクミンをポケットに入れたりする風習がありました。
クミンの栄養
主な栄養分
- ビタミンA
- ビタミンB群
- カルシウム
- ナイアシン
- 葉酸
- 鉄分
- カリウム
豊富なビタミン
クミンはたくさんの栄養分を豊富に含んでいます。特にビタミンが豊富で、皮膚や粘膜をきれいな状態に維持してくれます。また、カルシウムが含まれているので、骨や歯を丈夫にしてくれます。
効能・効果
精神への効能
独特な香りを放つクミンですが、成分の中にリモネンが含まれています。その成分には、疲れた神経を回復させる効能があります。アロマとして使用することでリラックスでき、安眠につながることで、疲労回復やストレス解消が期待できます。
体への効能
栄養素がたくさん含まれているクミンには、鎮痛作用があります。胃痛や腹痛、筋肉痛や関節痛などに効果的です。女性の生理周期を正し、生理痛や貧血にも効果的です。体調にあわせて摂取するとよいでしょう。ほかにも、消化器官の活性化や、血圧をコントロールし、血液の巡りをよくする効果が期待できます。
脳への効能
クミンには、ミネラルもたくさん含まれています。これにより記憶の向上が期待されています。クミンの信頼性はとても高く、インドでは、記憶をなくしてしまった患者の治療方法のひとつとして、クミンを使用することがあります。
ダイエット効果
植物ステロールという成分が含まれていることにより、コレステロール値が抑えられ、体脂肪を減らす働きがあるので、ダイエット効果も期待できます。さらに、クミンは便秘解消の薬としても知られ、消化促進やデトックス効果があるので、お腹の調子を整えてくれます。
注意点
アレルギー・副作用
セリ科の植物に対してアレルギーがあったり、以前、体に異常がでたりした人は、クミンの摂取量に気をつけましょう。副作用やアレルギーを起こしてしまうと、体のかゆみや呼吸困難、ひどくなるとアナフィラキシーショックを起こしてしまいます。
妊娠・授乳中の女性
栄養豊富なクミンですが、妊娠中や授乳中の女性は、なるべく控えたほうがいいでしょう。少なくとも、クミンは刺激物になるので、摂取する場合は、量の調整や体に副作用がでていないか、注意してくださいね。ただ、絶対に避けなければいけないものではないので、摂取する場合は、体の様子をみながらにしましょう。
クミンの種類
クミンパウダー
クミンを使う手段として、パウダーを使用する方法があります。クミンパウダーは、スーパーや100円ショップで購入することができます。パウダーの長所は、香りがまんべんなく広がるところです。また、量の調整がしやすいため、調理方法は難しくありません。
クミンシード
クミンシードとは、クミンの種子のことです。使い方は、油でクミンシードを炒め、香りを引き出して使う方法が一般的です。そうすることで、クミンの香りが際立ち、レベルの高い料理ができあがります。このように、油を使って香りを出すスパイスのことを、「スタータースパイス」と呼びます。
ボタニ子
クミンシードの見た目は、フェンネルやキャラウェイと似ていますが、香りはぜんぜん違います。
黒クミン
黒クミンは、日本ではほとんど栽培されておらず、入手することが難しい、とても珍しい植物です。クミンはセリ科で、黒クミンはキンポウゲ科です。まったくの別物ですが、調理方法はクミンと同じように使えます。スタータースパイスとしても、アロマオイルとしても活用できます。
クミンを使ったレシピ
からあげ
材料
- とりもも肉・・・1枚
- しょうが・・・1かけ
- にんにく・・・1かけ
- 酒・・・大さじ1
- しょうゆ・・・小さじ1
- クミンパウダー・・・小さじ2
- 小麦粉・・・大さじ2
- 片栗粉・・・大さじ2
- 塩こしょう・・・適量
とりもも肉を食べやすい大きさに切り、しょうが・にんにく・酒・しょうゆ・クミンパウダー・塩こしょうと一緒に袋に入れ、揉み込んだら10分おきます。小麦粉と片栗粉を混ぜ、とりもも肉に付けて180度の油でカリッと揚げたら完成です。
チャーハン
材料
- ご飯・・・150g
- たまご・・・1個
- ハム・・・1枚
- 玉ねぎ・・・1/6個
- クミンパウダー・・・小さじ1
- しょうゆ・・・小さじ1
- 塩こしょう・・・適量
- ごま油・・・適量
まずは玉ねぎをみじん切り、ハムを1cm角に切ります。フライパンにごま油を入れて熱し、溶きほぐした卵を入れ、すばやく混ぜます。一度卵を取り出し、同じフライパンで玉ねぎとハムを炒め、次にご飯を入れ、混ぜ合わせます。卵をフライパンに戻し、しょうゆ・クミンパウダー・塩こしょうで味を調えましょう。
ボタニ子
クミンパウダーではなく、クミンシードで作るのもおすすめです。ごま油を熱するときに、クミンシードも入れて作ってみてくださいね。
にんじんサラダ
材料
- にんじん・・・1本
- オリーブオイル・・・小さじ1
- クミンシード・・・小さじ1
- にんにくチューブ・・・2cm
- 塩こしょう・・・適量
にんじんの皮をむき、千切りにします。フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、クミンシードを軽く炒めます。香りがたったら、にんじん・にんにくチューブ・塩こしょうを入れ、全体的に混ぜ合わせたら完成です。温かいうちに食べるのがおすすめですよ。
豚バラ肉と長ネギのクミン炒め
材料
- 豚バラ肉・・・150g
- 長ネギ・・・1本
- クミンシード・・・小さじ2
- にんにくチューブ・・・2cm
- オリーブオイル・・・適量
- 塩こしょう・・・適量
豚バラ肉は食べやすい大きさに、長ネギはみじん切りにします。フライパンにオリーブオイルとクミンシードを入れ、少ししてから豚バラ肉も入れて炒めます。豚バラ肉の色が変わってきたら、長ネギ・クミン・にんにくチューブ・塩こしょうを加え、味を調えましょう。長ネギの食感を残すため、炒めすぎないように注意します。お皿に盛り付けたら完成です。
クミンライス
材料
- 米・・・2合
- クミンシード・・・小さじ1
- サラダ油・・・大さじ1
- バター・・・5g
米を洗って炊飯器に入れ、目盛りまで水を入れます。フライパンでサラダ油を熱し、クミンを入れて香りがでてくるまで炒めます。香りがでたら、油ごと炊飯器に加え、バターも入れて軽く混ぜます。炊飯器のスイッチをいれて、ご飯が炊けたら完成です。カレーと一緒にどうぞ。
いろいろな料理に
クミンを使った、おすすめレシピをご紹介しました。このほかにも、ハンバーグのタネに入れてみたり、野菜炒めの仕上げの香りづけにふりかけてみたり、使い方はいろいろあります。朝に、ヨーグルトの上に小さじ1をかけて食べてみるのもいいでしょう。
ボタニ子
アレルギーや副作用が不安な場合は、料理に少しずつ加えて様子をみてみましょう。一度にクミンをたくさん摂取しないように注意してくださいね。
まとめ
いかがでしたか?クミンは一見、クセがつよいスパイスだと思われがちですが、肉料理や野菜料理にはもちろん、パンやチーズとの相性も抜群です。レシピ次第では、お酒のお供にもなります。栄養分が豊富で、ダイエットにも取り入れられるほど万能なクミンなので、ぜひ試してみてくださいね。
出典:写真AC