ハナミズキとはどんな植物?
ミズキ科の植物
ハナミズキはミズキ科ヤマボウシ属の落葉樹で、漢字では「花水木」と書かれます。アメリカから伝わってきて、ヤマボウシに似ているため、別名「アメリカヤマボウシ」ともよばれます。ヤマボウシとは少し違う種類ですが、よく似ています。日本では庭木や街路樹によく使われています。地植えでは樹高は4〜10mに育ちます。比較的栽培しやすい植物ですが、耐寒性、耐暑性ともに少し弱いです。
ボタニ子
原産地は北米東部からメキシコ北東部です。
ボタ爺
樹皮の煮汁を犬の皮膚治療につかったことから、英名では「Dogwood」(犬の木)とよばれるそうだ。
ハナミズキの花
ハナミズキは4月〜5月に花を咲かせます。花の色は白、赤、ピンクです。しかし実は花びらのように見える部分は総苞片(そうほうへん)とよばれるものです。苞(ほう)とは蕾(つぼみ)を包むように葉が変形したもののことをいいます。真ん中のまるいかたまりの部分が花序(かじょ)です。花のようにみえる部分は葉ですので開花期(花びらのようにみえる部分が散り落ちるまで)が長いのが特徴です。
ボタニ子
花序(かじょ)とは枝の上での花の並び方のことだよ。
白い花びらみたいなものは、葉の変形したもの。それが花が並んだ部分のねもとから出ているということです。
ハナミズキの育て方
ハナミズキは比較的栽培しやすい樹木ですが、耐寒性、耐暑性が少し弱いです。半日陰でも育ちますが、日当たりがよく、西日を避けた場所で育てます。
地植えでの育て方
ハナミズキを地植えで栽培するには、苗を買ってきて休眠期に植え付けます。苗の植え付け時期は11〜3月が適しています。苗木の根鉢よりも深さ、広さとも2倍くらいの穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土などをよく混ぜ込んで植え付けます。根鉢の表面と地面が同じ高さになるように植え付け、水鉢を作ってたっぷり水やりします。植えてすぐはしっかり根がはっていない状態ですので、支柱などで支えてやるとよいです。
ボタニ子
水鉢とは、植え穴のまわりに溝を掘って水がたまり苗木を乾燥させないようにすることだよ。
ボタ爺
植え穴の縁に土を盛るんだよ。
鉢植えでの育て方
ハナミズキの鉢植えでの栽培は、地植えと同様に休眠期の11月〜3月に植え付けます。用土は水はけのよいものが適しています。赤玉土7:腐葉土3などの配合土がよいです。ウォータースペースがとれる高さに苗をおいて植え付けます。また鉢植えの場合、根がつまらないように2〜3年に1回は植え替えをします。植え替えの時期は2月 下旬〜3月上旬におこないます。
ボタニ子
ウォータースペースとは水やりの際に、一時的に水がたまる鉢の上部の空間のことです。
地植えでも鉢植えでも、大切なのは適期に苗木を購入して植え付けることです。
ハナミズキの水やり
ハナミズキは比較的乾燥に強いです。地植えの場合、植え付けて根がはっていない状態のときをのぞいて、ほとんど水やりは不要です。真夏の日照りの強い日などのみ、状態をみて朝のうちに水やりします。鉢植えは夏には水やりが必要です。土が乾燥していたら朝の涼しいうちに水やりします。
ボタニ子
乾燥に強いけれど、植え付けて根がはるまでは、しっかり水やりしよう。
ハナミズキの肥料の与え方
ハナミズキの肥料をあたえる時期は花が咲いたあとです。お礼肥料として化成肥料をあたえます。肥料不足になると花が咲かなかったり、紅葉が美しくなかったりします。庭植えの場合、枝がのびているあたりまで根が広がっているので、その付近に肥料をほどこすと効果的です。
ボタニ子
根の先から肥料を吸収するから、幹の近くに肥料をまくのではないんだね。
ボタ爺
だいたい枝ののびているあたりまで根が広がっているぞ。
ハナミズキの剪定
ハナミズキは自然に樹形が整うので、剪定はほとんどしなくてもよいです。気になる枝を切りたいときは11月〜3月の休眠期に剪定をおこないます。
ボタニ子
次はハナミズキの植え替えの方法について紹介するよ。
ハナミズキの植え替えの方法
ハナミズキを鉢植えにした場合、根がつまるので2〜3年に1回は植え替えが必要になります。植え替えの時期は2月下旬〜3月上旬の新しい芽が出るまでにおこないます。
ボタニ子
植え替えは根を切るので、木の体力があるときにおこなわないと回復が遅れます。
ボタ爺
若い苗木のほうが回復がはやいぞ。
鉢から株をぬいたら、古い土を落とし、黒くなった根や長い根を切り詰めます。ひとまわり大きな鉢にウォータースペースがとれる高さに植え付け、棒などでつついてしっかり埋め込みます。根が落ちつくまでは乾燥させないように水やりします。
ハナミズキの増やし方(挿し木、つぎ木)
ハナミズキは挿し木で増やすことができないことはありませんが、難しいです。ハナミズキは挿し木から発根させることが難しいので、つぎ木で増やすことが一般的です。つぎ木は芽のある若い枝を穂木にします。穂木は下から1〜2cmのところを斜めに切り落とし、2cm程度の切れ込みを入れた台木にさしこみ、つぎ木テープをまきつけて固定します。
ボタニ子
つぐほうの植物を「穂木」、つがれるほうの根のついた植物を「台木」といいます。
ボタ爺
穂木は切りとったら乾かないように、湿らせたキッチンペーパーなどに包んでおこう。
木の断面をみると、細胞のはたらきが活発な薄みどり色の層(形成層)があります。穂木と台木の形成層をぴったりあわせることで、つぎ木が成功します。両側があわなくても、一ヶ所があっているだけでもよいです。あわせた部分がずれないようにつぎ木テープで巻いて固定します。
ハナミズキの病気や害虫
ハナミズキは紋羽病(もんぱびょう)、うどんこ病などの被害にあうことがあります。害虫ではコウモリガ、アメリカシロヒトリなどの被害にあいやすいです。それぞれの症状と対策についてご紹介します。
紋羽病(もんぱびょう)
紋羽病は菌の一種が根に寄生することでおこる病気です。これにかかると、ハナミズキは元気がなくなって、ひどくなると葉が落ちて枯れてしまいます。土を掘ると根にカビがついています。地上部だけでみわけることは難しいですが、他の要因がなく元気がなくなったら、この病気のことがあります。発病すると治療が難しいとされている病気です。土が固くなったり加湿になったりするとかかりやすいので気をつけましょう。
うどん粉病
うどん粉病はうどん粉をまぶしたような白いカビが生え、放置すると葉全体がカビにおおわれてしまいます。梅雨のころに発生しやすいです。カビの胞子が風で飛散して伝染するので、発生した葉をみつけたら早めにとりのぞきます。また日当たりと風通しをよくして発生を予防するようにします。
害虫(コウモリガ、アメリカシロヒトリ)
コウモリガ、アメリカシロヒトリは幼虫が幹や枝を食害します。みつけたら早めに捕殺駆除します。コウモリガは枝や幹にもぐりこんで食害し、穴をあけます。アメリカシロヒトリは蜘蛛の巣のように糸を出して巣をつくり、葉を食害していきます。どちらもみつけやすいので、早めに捕殺駆除するとよいです。
ハナミズキの花言葉
ハナミズキの花言葉は「返礼」、「永続性」、「私の想いを受けてください」です。「返礼」という花言葉は、1912年に東京市長から米国へ「ソメイヨシノ」(桜)を寄贈した際に、返礼としてハナミズキが日本に送られたときからいわれています。
まとめ(ハナミズキの育て方)
ハナミズキは花期が長く紅葉が美しいので、庭木やシンボルツリーとしてもおすすめの樹木です。接ぎ木での増やし方も難しくはありませんので、挑戦してみませんか。
ハナミズキの育て方
- 植え付けの適期は11月〜3月
- ハナミズキは挿し木が難しいのでつぎ木で増やす
- 植え替えは2月下旬〜3月上旬の新しい芽が出るまでにおこなう
- 日当たりがよく、西日の当たらない場所が最適
- ハナミズキは乾燥に強い
- 紋羽病、うどんこ病、コウモリガ、アメリカシロヒトリの病害虫に注意
出典:写真AC