蚊よけになる植物とは?
夏場になると発生する「蚊」。虫刺されによる痒みや羽音による睡眠の妨げなど、蚊がもたらす煩わしさは決して小さくない問題です。しかし市販の防除用スプレーに頼りすぎるのも、決して体によいことではありませんね。今回は、蚊よけに役立ち、からだにも優しい「蚊よけになる植物」をご紹介します。
蚊よけになる植物の特徴
蚊よけとなる植物はハーブ系統のような強い匂いを発するものが多くあります。ミントやラベンダー、ローズマリーなど人間からするとアロマオイルなどで親しまれている植物たちです。強い匂いを発するハーブ系統の植物は虫や動物が苦手とする匂い成分が含まれています。天然成分ではレモンバームなどに含まれるシトラールという成分を蚊は嫌い、寄り付かなくなるといわれています。
蚊よけに効く成分
蚊よけに効く成分は化学成分、天然成分とともに多くの種類があります。その中でも一般的によく知られている名前は「ディート」「イカリジン」「シトロネラール」の三種類です。他にもゼラニウムやレモンユーカリ、カンファーなどのエッセンシャルオイルにも蚊が嫌う成分が入っていることがわかっています。
最もポピュラー「ディート」
著者らは、これらの幅広い研究結果から、DEET の忌避メカニズムが、ヒトの臭気成分のマスクキングやカの嗅覚メカニズムの妨害といった相互作用であるとすることは不自然であり、むしろ DEET が直接的にカの嗅覚システムに影響を与え、忌避行動を引き起こすとした方が妥当であると結論した。これをわかりやすく表現すると、「カにとってDEETは嫌な臭いだから逃げる」 ということになる。
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/magazine/103/mgzn10308.html
ディートは化学薬品の一種であり、蚊はこの匂いを避けることがわかっています。なぜなら、ディートはヒトが発する二酸化炭素などを感知する蚊の機能を阻害することがわかっているからです。ディートは忌避剤として有効ですが、人体に対する副作用も兼ね備えています。皮膚の炎症、神経障害などの副作用が発症してしまう可能性があります。
子どもでも使える「イカリジン」
人体用忌避剤としての適用範囲を拡大し、デング熱、ジカウィルス感染症、チクングニア熱等の蚊媒介感染症に対する効果的な予防対策を提供できるもの
http://www.pestcontrol-tokyo.jp/img/pub/073r/073-05.pdf
イカリジンはディートと同じくらいの効力を持ち、子どもでも使用可能な虫除け剤です。皮膚への刺激が弱く、年齢制限なしで使用できます。また、汗や呼吸量の多い人でも安心して使用でき、蚊を媒介してかかる病気などを予防することができます。山や川、公園など自然が多い場所には虫も多く滞在しているため、普段から使用することが大切だとされています。
天然成分「シトロネラール」
蚊よけの香りに「シトロネラール」というレモンの香りが含まれている
https://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/ronnbunshu/103082.pdf
シトロネラールは天然成分として知られています。効果は化学成分であるディートやイカリジンよりも弱いですが天然成分のため、安心して使用できます。肌に直接塗布をすることで虫を寄せ付けない効果を持ちます。また、原材料はハーブを主として製造されています。庭にハーブを植えることで虫が嫌がる匂いを発するので、ベランダに植えても虫除けとして十分使えます。
ディート=イカリジン>シトロネラール
ディートとイカリジンは化学成分であり、同じくらいの効力を持ちます。しかし、シトロネラールは上記2つよりも効力が低いですが天然成分のため安心して使用する人もいます。それぞれの成分にはメリットとデメリットがあることを考慮することが必要です。目的や場所、使用する人の年齢や体質によって使いわけることが重要になります。
虫除け対策にはハーブ
ハーブが有効
ハーブには虫が嫌う多くの成分が含まれています。虫が嫌う成分はいくつかの種類があり、カンファーやシトロネロールなど、冒頭で紹介した以外の天然成分も嫌います。それらの成分を含むのはハーブであり、植えているだけでその成分を発生してくれるので、毎回虫除け剤を買う必要がなく、お財布にも良心的です。
ハーブの活用法
ハーブは虫を寄せ付けないという効果とともに私たちの食卓を豊かにしてくれます。虫が嫌がる香りも人にとってはよい匂いとして、アロマオイルであったり、寝る前の枕元に置くサシェとして使われたりします。ローズマリーやペパーミントをお茶や香草として使う人もいます。また、殺菌作用もあるので虫除けとしてだけではなく、有効活用できる優れた植物です。
蚊除けとなる植物①レモンバーム
レモンバームの特徴
レモンバームには精神を安定させる作用があるので、ストレスやイライラ、うつなどの気分の改善に効果を発揮する。
レモンバームの最大の特徴は寒さに強く、繁殖力がとても強いことです。丸みを帯びた柔らかい葉には葉脈がしっかりとついており、手で葉をこするとレモンの良い香りが辺りに漂います。荒れた場所でも育ち、肥料なども特に必要としません。夏には最盛期を迎え、抜いても抜いても生えてきます。夏の終わりが近くなると、小さく白い可憐な花をつけます。
レモンバームの使い方
虫が来ないハーブとしてレモンバームはとても有名です。しかし繁殖力があり、1年もベランダや庭で育てると大量に生えてきます。その活用方法としてレモンバームの生茶がオススメです。大量に消費でき、気分を変え、美味しく飲むことができます。レモンバームの葉を10枚弱摘み取ると2杯くらいのお茶を楽しめます。生茶を作るときには少し蒸らすと美味しく仕上がります。
蚊よけとなる植物②レモングラス
レモングラスの特徴
レモンの香りのひとつ「シトラール」を持つレモングラスの香りを蚊が嫌った
https://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/ronnbunshu/103082.pdf
レモングラスはレモンバームと同様、レモンの香りが特徴的です。細長い葉をしており、手を切ってしまう可能性があるので取り扱いには注意が必要です。シトラールという虫を寄せ付けないレモンの香りの成分を含みます。東南アジアで多く栽培され、その細長い葉は1mを超える高さにまで成長します。その見た目からただの雑草に勘違いする方も多いですが、料理によく使われます。
レモングラスの使い方
レモングラスは細長い葉のため、その姿をシンプルに楽しむためにリースなどに使用できます。葉の間にドライフラワーなどを差し込むと見た目もよく、虫が来ないような匂いも発してくれます。リースを作るときにはレモングラスの小束を作り、吊るして庭などで乾燥させてから作るととても作りやすいです。三つ編みにしたり、編み込んでみたり、幅広く楽しめます。
出典:著者撮影