コマクサとは?高山植物の女王ともいわれる花の特徴・見分け方を解説!

コマクサとは?高山植物の女王ともいわれる花の特徴・見分け方を解説!

コマクサ(駒草)は高山植物の女王ともいわれ、白根山や燕岳など高山に分布する植物です。他の植物が生えることができない砂れき地帯に可憐で美しい花を咲かせます。そこでコマクサの花の特徴と生息地、似た植物との見分け方、家庭での育て方のポイントを詳しく解説します。

記事の目次

  1. 1.コマクサとはどのような植物
  2. 2.コマクサの特徴
  3. 3.コマクサの生息地
  4. 4.コマクサの見分け方
  5. 5.コマクサの育て方
  6. 6.コマクサの歴史
  7. 7.まとめ

コマクサとはどのような植物

出典:BOTANICA

コマクサとは、高山の荒涼とした場所に咲く花です。「高山植物の女王」や「アルプスの名花」とも呼ばれ、荒れ地に咲く姿に相反する力強い生き方が人気の理由です。そこで、コマクサとはどのような植物なのか?コマクサの特徴や名前の由来、薬草として使われた歴史、分布している場所や似た植物との見分け方などを詳しく解説します。

コマクサの基本情報

学名 Dicentra peregrina
科名 ケシ科
属名 コマクサ属
和名 駒草
別名 カラフトコマクサ(樺太駒草)
花期 7~8月
分布 北海道~本州中部地方の高山の砂れき地帯

コマクサの名前の由来

出典:写真AC

馬の顔に似た花の形

コマクサは漢字で「駒草」と書きます。駒とは「馬」を指し、花の形から「馬の顔のよう」と名付けられました。よく見ると、花弁の伸びた部分が馬の鼻のようにも見えますね。花言葉は「高嶺の花・気高い心・誇り・貴重品」です。過酷な自然環境の中で健気に咲くコマクサは、高山植物の女王といわれるにふさわしい花言葉を持っています。

日本原産

コマクサを含むケシ科コマクサ属は約20種類の仲間がありますが、日本に自生している種はコマクサのみです。大半の種が北アメリカに分布しており、アフリカや東アジアに数種類自生しています。近年は園芸化が進み、色違いの品種を掛け合わせたものも見られますが、日本原産のコマクサはとても希少価値の高い植物といえます。

コマクサの特徴

出典:BOTANICA

コマクサは、高山地帯のような冷たい風の吹く、寒くて乾燥した厳しい自然の中で咲く花です。他の高山植物が生えることができない砂れき地帯に咲く姿は、まさに「高山植物の女王」です。では、なぜこのような過酷な自然の中で咲くことができるのか、コマクサの性質や特徴について解説します。

根が長い

コマクサは草丈が10~15cmほどの小さな花ですが、地下の根は1m以上伸びています。高山地帯の厳しい環境の中で生きられるように、根を地下に長く広げているのです。地上に見える花の姿からは想像もできませんが、生きる強さは根にあるといえます。コマクサの長い根を踏むと切れて枯れてしまうため、自生しているコマクサの側には近寄らないようにしましょう。

出典:BOTANICA

水滴を集める

コマクサの葉は、土際から出て細かく分かれたパセリのような形をしています。この細かく分かれた葉に水滴がつきやすく、霧の多い高山地帯で貴重な水を集めるために、このような形になったと考えられています。白っぽい緑色の葉は、日に当たると銀色に輝いて見えます。

出典:写真AC

花の色

自生しているコマクサの花の色は、白っぽいピンクが多いですが、濃い赤色や白色の花もあります。花びらは4枚あり、そのうちの2枚の花びらの先がくるりと外側に反り返る形をしています。この花の形がかわいらしく特徴的ですね。花の咲く時期は7~8月の短い期間ですが、群生して咲くコマクサはとても魅力的です。

コマクサの生息地

出典:BOTANICA

コマクサは高山の砂れき地帯で群生します。特に北海道から本州中部地方の高山に分布し、岩手山や燕岳、白馬岳などで多く見ることができます。花の見ごろは、だいたい7月~8月にかけてですが、標高の低い場所では5月下旬~6月中旬に見られるようです。標高の高さと寒暖の違いによって花の見ごろが異なると覚えておきましょう。

砂れき地帯に咲く理由

他の植物との競争

コマクサは砂れき地の斜面などに多く咲きます。高山地帯の砂れき地の斜面は、冬の豪雪のほか強い雨や風が当たり植物にとって住みにくい環境といえます。しかし、他の植物が生きることができない岩や石の多い環境は、小さいコマクサにとっては植物競争が少なく太陽の光をたっぷり浴び生きることができます。これがコマクサが砂れき地に咲く理由です。

ボタニ子

ボタニ子

とても寒そうな場所に咲くんだね!

ボタ爺

ボタ爺

コマクサは砂や岩の多い、過酷な環境に咲く花なんじゃ!

コマクサの咲く場所

Photo by i-saint

白根山

群馬県の草津白根山では、本白根山の火口付近や尾根にコマクサが咲き誇ります。5月~7月に見ごろを迎え、ロープウェイに乗りハイキング気分で出かけることができます。他にも 道の駅運動茶屋公園内でもコマクサを見ることができるため、ドライブに立ち寄る人で賑わっています。

燕岳

コマクサが多く咲く場所で有名なのが北アルプスの燕岳です。燕岳は風化した花崗岩が特徴的な山ですが、その花崗岩が広がる場所にコマクサが群生しています。7月中旬~8月中旬頃に見ごろを迎えるため、一目見ようと登山客が多く訪れて人気の観光スポットになっています。

Photo by Kabacchi

木曽駒ケ岳と甲斐駒ヶ岳

中央アルプスに位置する木曽駒ケ岳(中央アルプス)と甲斐駒ヶ岳(南アルプス)にも、以前はコマクサがたくさん咲いていました。しかし薬草として採取され絶滅してしまったといわれています。残念ながら、現在は自生のコマクサは見ることはできないようです。

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コマクサの見分け方

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