コマクサとは?高山植物の女王ともいわれる花の特徴・見分け方を解説!

コマクサとは?高山植物の女王ともいわれる花の特徴・見分け方を解説!

コマクサ(駒草)は高山植物の女王ともいわれ、白根山や燕岳など高山に分布する植物です。他の植物が生えることができない砂れき地帯に可憐で美しい花を咲かせます。そこでコマクサの花の特徴と生息地、似た植物との見分け方、家庭での育て方のポイントを詳しく解説します。

記事の目次

  1. 1.コマクサとはどのような植物
  2. 2.コマクサの特徴
  3. 3.コマクサの生息地
  4. 4.コマクサの見分け方
  5. 5.コマクサの育て方
  6. 6.コマクサの歴史
  7. 7.まとめ

コマクサの見分け方

出典:BOTANICA

花の見分け方を知ると楽しみ方も変わってきますね。コマクサによく似た植物に「ケマンソウ」や「ハナケマンソウ」があります。どちらも小さいピンクや白色の花を咲かせますが、よく見ると花の形と葉の生え方がコマクサと違っているため見分けることができます。見分け方のポイントは、花の形と葉の生え方、そして花が釣竿のようにぶら下がっているかどうかです。

コマクサに似た植物

ケマンソウ

出典:BOTANICA

ハート形の小花を咲かせるケマンソウは、別名「タイツリソウ」や「ディセントラ」とも呼ばれます。コマクサと同じケシ科に属し、寒さに強く暑さに弱いなど寒冷地向きの性質をもっています。見分け方のポイントは、釣竿のような茎にハート型の花をいくつもぶら下げて咲く姿です。どちらの花も長さが1cmほどで可憐な姿がよく似ていますが、花の形と咲き方が違います。

ハナケマンソウ

ハナケマンソウは、別名を「アメリカコマクサ」と言い、北アメリカ西部原産のケマンソウの仲間の園芸植物です。草丈はケマンソウとコマクサの中間で50cmくらいに育ちます。コマクサのようにピンクや白色の釣り鐘型の花を咲かせ、花の先が反り返っているため、間違えることが多い花です。見分け方のポイントは、花よりも葉の形が違っていることです。

ボタニ子

ボタニ子

花が馬の顔じゃないね!ハート型になってるよ!

ボタ爺

ボタ爺

葉も、パセリのように細かく分かれておらんのじゃ!

コマクサの育て方

出典:BOTANICA

「高山植物の女王」と呼ばれるコマクサですが、育てやすい園芸用の苗や種子が多く販売されています。コマクサは寒冷地の砂れき地帯に咲く花のため、育て方が難しい植物といわれています。しかし、特徴をよく知り育て方を覚えれば、素敵な花を自宅で鑑賞することができるようになりますよ。

場所

半日陰

コマクサは冬の寒さには強いですが、夏の暑さに弱い植物です。夏の暑さをうまく乗り切ることが、育て方の大きなポイントになります。直射日光を避けて半日陰になる場所に植えることがおすすめです。完全に日陰になるとしっかり育たないため、少し日が当たる場所を選ぶようにしましょう。

用土と肥料

Photo by salchuiwt

軽石を混ぜる

コマクサは高山の砂れき地帯に自生する植物です。砂れき地帯は砂や岩の多い足場の悪い場所になりますが、水はけのよい場所とも言えます。植え付けをするときは、培養土に砂や軽石を混ぜ水はけをよくします。培養土は山野草用を利用すると便利ですよ。春から秋の間は1~2週間に1回、薄めた液体肥料を与えるようにしましょう。

ボタニ子

ボタニ子

砂れき地帯のように花崗岩質の砂利が向いているよ!

水やり

一年中水やり

コマクサは乾燥も過剰な湿度も嫌う植物です。冬の間も含め一年中、水やりをする必要があります。観葉植物は、一般的に土の表面が乾いた頃に水やりを行うことが正しい育て方といわれています。しかし、コマクサは地上部が枯れているように見える冬の間も水やりを行い管理をしなければなりません。このことが、コマクサの育て方の難しさと言われる一つの理由です。

植え替え

年1回

鉢植えの場合は、半年から1年に1回は植え替えをする必要があります。時期は芽が出る前の2~3月上旬がおすすめです。コマクサは根を長く伸ばす植物のため、根詰まりを起こすと枯れてしまいます。鉢は株より一回り大きめのものを選び、主根を傷つけないように、鉢底に絡まった根をほぐして植え替えるようにしましょう。

病気

軟腐病

コマクサが注意しなければいけない病気は、軟腐病です。6月~9月に発生することが多く、茎の根元が腐ってしまいます。風通しのよい場所に移し、水はけのよい土に変えましょう。また、茎の付け根あたりに粗い砂利を敷くだけで予防することができます。

コマクサの歴史

出典:BOTANICA

高山植物の女王と呼ばれるコマクサは、昔は薬草として使われていた植物です。かつて木曽の御嶽山では霊草「オコマグサ」と呼び、御嶽神社に参拝した人々に乾燥したコマクサを授けていたそうです。美しい花の希少価値よりも、薬草としての利用が優先された歴史をもつことを忘れないでおきましょう。

薬草

鎮痛剤として

現在、コマクサは見て楽しむ花として知られています。しかし、かつては薬草として人々に使われていた植物です。特に胃の健康や腹痛によく効く鎮静剤として利用されたため、木曽駒ケ岳のように採り尽くされ絶滅してしまった場所もあります。乱獲により北アルプスの穂高や槍ヶ岳では自生したコマクサは見ることはできなくなってしまいました。

採取禁止

絶滅の恐れ

自生するコマクサは、生息する各都道府県において「絶滅の恐れのある野生生物」に指定されています。上信越高原国立公園、中部山岳国立公園など条例によって採ることは禁止されているため、持ち帰ることはできません。登山をしていると、そのかわいい花に触れたくなると思いますが、遠くから眺めるだけにしましょう。

まとめ

出典:BOTANICA

高山植物の女王と呼ばれるコマクサは、他の植物が生えることができない砂れき地帯に咲く貴重な花です。寒く風の強い荒涼とした高山に咲く特徴があり、その凛とした花の姿とは対照的に、葉や根に過酷な環境で生き残る知恵が詰まっています。近年は園芸用に自宅で育てることも可能になっているため、素敵なコマクサを育ててみるのもよいのではないでしょうか。

sacchi
ライター

sacchi

子育てと介護に励む主婦ライターです。信州の豊かな自然の中で、たくさんの植物に囲まれて育ちました。娘のアトピー改善のために、薬膳料理に奮闘中です。

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