イワシャジンとは
イワシャジンは夏の終わりから秋にかけて釣鐘型の紫や白い花を咲かせる山野草です。とても美しい花で、育ててみたいと思う方も多いのではないでしょうか。イワシャジンの置き場所や水やり、肥料など基本的な育て方や、植え替え時の株分け、種まきなどの増やし方をご説明します。
イワシャジンの特徴
名称 | イワシャジン(岩沙参) |
学名 | Adenophora takedai |
分類 | キキョウ科ツリガネニンジン属 多年草、山野草 |
分布 |
関東地方南西部、中部地方南東部 |
開花時期 | 9月中旬〜10月上旬 |
イワシャジンは山地の多湿な岩場などに生える多年草です。茎が長さ30~70cmほどあり、垂れ下がります。花柄が長く釣鐘型の紫の花を咲かせます。岩の間から下がるように咲く姿は特徴的で風情があり、人気があります。春と花後に栄養葉を伸ばし、冬は冬枯れします。
イワシャジンの育て方
イワシャジンは湿気の多い山地の滝や沢に育つ特徴を持っているため、植える場所や置き場所、水やりには工夫が必要です。できるだけ自生する環境に近い湿り気や日当たりを作るようにしましょう。
基本的な育て方
用土 | 鹿沼土5:軽石砂5 |
水やり | 表土の乾きを見て与える。夏は葉水を与える。 |
肥料 | 春:固形肥料を置肥 秋:同じ肥料を追肥 |
植え替え | 3月上旬〜4月中旬 |
植える場所、置き場所 | 夏に半日陰程度の日当たりと風通し、乾燥しない場所。 |
春の管理方法
春、芽が出るとスペード形の栄養葉を広げます。その中心から細い茎や糸のように細い葉を伸ばし、茎の先端から花芽を伸ばします。株に力をつける時期なので、日当たりのよい置き場所を選ぶようにしましょう。茎が伸び始めたら、遮光し、乾燥や葉焼けにより株が痛むのを防ぎます。
夏の管理方法
梅雨明けごろから夏の間に花芽が成長します。50%〜70%の遮光をし、風通しもよくしておきます。乾燥させないよう水やりも朝夕行います。真夏の蒸し蒸しした暑さで株が弱るので、気を付けます。西日に当たらないような工夫もしてください。
秋の管理方法
8月の終わりごろ、夕方から涼しくなってから秋かけて花を咲かせます。開花時期も遮光を続けます。花後は茎は枯れて、再び栄養葉を広げます。遮光を外し、来年の株を育てます。花が終わると結実しています。11月~12月ごろには種が取れるでしょう。
冬の管理方法
冬に入る前には栄養葉も枯れて休眠期に入ります。冬は、鉢が凍るような地域では軒下などで寒さをふせぎましょう。2月の終わりから株分けや植え替えができます。
イワシャジンの増やし方
イワシャジンは花後にたくさん種ができます。育てていくと株も大きくなります。増やし方はどのようにすればよいのでしょうか。種まきや株分けによる増やし方をご説明します。
株分けからの育て方
イワシャジンの株分けは植え替え時期の3月〜4月に行います。イワシャジンは白っぽく太目の根をしています。無理に分けようとせずに用土をていねいに落とし、手で分けられるところを分けます。そのときに、分けたところに芽がついているようにしてください。植え付けの用土は山野草用の土を用意してください。
種まきからの育て方
イワシャジンの花が咲き終わると子房が少し膨らみます。子房が茶色く変色する10月後半〜12月ごろに採取します。種が細かいので子房ごと採取し、種子をこぼさないように子房を取り去ります。植え付けの用土は山野草用の用土を使用します。種子をとってそのまま用土にまくか、2〜3月にまきます。発芽は1~2か月ですが、開花までには2~3年かかります。
イワシャジンの種類
イワシャジンと同じツリガネニンジン属の植物はアジアやヨーロッパに約50種ほど分布しています。日本には12種が自生したり帰化したりしています。
ソバナ
山地の草原や林のふちなどに自生します。高さ1mほどになる多年草です。春の若い芽が山菜として食用になります。
タマシャジン
ヨーロッパアルプスの山地の日当たりの良い岩場に自生します。園芸種として流通していて、比較的丈夫で育てやすいでしょう。イワシャジンとは違い玉状の花を咲かせます。
ツリガネニンジン
日本では北海道、本州、四国、九州、他に樺太、千島列島に分布しています。花は釣鐘型です。山地の草原、田んぼの畔や河川堤防などの日当たりのよい場所に自生します。
イワシャジンの花言葉
イワシャジンの花言葉は「感謝」「誠実」です。「感謝」は、花の釣鐘型が教会の鐘をイメージさせることからつけられたといわれています。
まとめ
イワシャジンは釣鐘型の美しい印象的な花です。植える場所や遮光が必要など、気をつけることはありますが、風情のある花で庭の秋を彩ってくれます。ぜひロックガーデンや鉢植えで楽しんでみてくださいね。
出典:写真AC