旅人の木とは
旅人の木という植物をご存じですか?バナナやヤシに似ていますが、そのどちらとも違うゴクラクチョウ科に属するマダガスカル原産の植物です。近年はエキゾチックプランツとしても人気がある、旅人の木の特徴をご紹介していきます。
旅人の木の基本情報
別名 | オウギバショウ、旅人木(りょじんぼく) |
英名 | Traveller's Tree |
科名 | ゴクラクチョウ科 |
属名 | タビビトノキ属 |
原産地 | マダガスカル |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 弱い |
名前の由来
旅人の木にの名前の由来は2通りの説があります。一つは、扇状の葉が東西に広がるため、旅人にとってコンパスの役割をしていたことから名づけられたという説です。もう一つは葉柄に雨水が溜まり、乾燥地帯の旅人がこの水分を利用したという説があります。
利用法
旅人の木は、乾燥地から湿地帯まで幅広い環境への適応性があるため、世界中の熱帯、亜熱帯地方で栽培され、街路樹として利用している地域が多いです。日本では沖縄地方で庭木として育てられ、それ以外の地域でも観葉植物として人気があります。
種が青い
旅人の木の種は、まるで着色したかのような、真っ青な色をしています。バナナの皮をむいたような状態の形をし、まさに自然の芸術品です。近年ではインテリアとしても非常に人気がありますが、残念ながら流通量が少ないのが現状です。
旅人の木の育て方
旅人の木は環境への適応性が強く、育て方もそれほど難しくはありません。しかし、間違った育て方をしてしまえば、そんな旅人の木も枯れてしまうこともあります。こちらでは、旅人の木の育て方のコツをご紹介していきます。
育て方①用土・鉢
旅人の木を育てるためには、排水性と保水性を兼ね備えたものが最適です。初心者の方は、あらかじめ配合してある市販の観葉植物用の用土を利用するのが、手軽でおすすめです。ただし、品質が悪いものもありますので、あまり安価すぎるものは避けたほうが無難です。
肥料
使用する用土にもともと肥料が配合されている場合は、別途混ぜる必要はありません。肥料が配合されていない用土を使用する場合は、市販の粒状の緩効性肥料を、規定量混ぜて使用します。
鉢
旅人の木は、それほど鉢の材質を選ばずに育てることができます。しかし、背丈が高くなり、葉も大きいため重心が高くなりやすいため、バランスを崩して倒れやすくなります。そのため、ある程度重量があり、安定性のある鉢を選ぶようにしましょう。
育て方②植え替え
旅人の木の植え替えは、春と秋が適しています。真夏の暑すぎる時期と、休眠している冬の間は植え替えを控えましょう。また、秋の後半に植え替えをすると、冬になるまでに十分に根が張れないため、なるべく避けてください。
植え替え方法
古い鉢から苗を抜いたら傷んだ根や古い土を落とし、ハサミを使って値を一回り小さくします。新しい鉢に鉢底石を入れ、用土を半分ほど入れます。鉢の中央に苗を仮置きし、隙間に用土を足していきましょう。箸など棒で土を挿し、沈んだ分の土を追加して完成です。
植え替え後の管理
植え替えが終わったら、たっぷりと水やりをします。いきなり日当たりのよい場所に置くとダメージが出ますので、数日は日陰で管理をし、徐々に明るい場所へと移動していきます。1週間ほどしたら通常の管理に戻しても大丈夫です。半月もすると、根が活着して成長を再開します。
育て方③置き場所
旅人の木は暖かい地域の植物ですので、置き場所には日当たりがよく、暖かい場所が適しています。冬は休眠してしまうため、暖かい時期になるべく屋外に置いて太陽の光を浴びせましょう。しかし、真夏の直射日光に当てると葉焼けしてしまう恐れがあるため、注意してください。
冬の置き場所
旅人の木は耐寒性が弱く、冬でも10℃を下回らない環境で育てましょう。園芸用の温室があれば理想的ですが、そうでない場合は、南向きの部屋の日当たりのよい窓辺に置いてください。エアコンや暖房の風が直接当たらないように注意しましょう。
育て方④日々の管理
水やり
水やりは、春から秋は週に1、2回程度、用土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。鉢底から溢れるほどの水やりをして、鉢内の隅々まで水と酸素を行きわたらせるのがポイントです。あまり頻繁に水やりをしすぎると、根腐れ病を発症しやすくなるため、注意してください。
冬は葉水を与える
旅人の木は、冬になると生育がとまり休眠します。秋の終わりに気温が下がるとともに、水やりを減らしていきましょう。10℃を下まわるようになったら断水し、週に一度程度、霧吹きを使って葉水を与える程度にします。特にエアコンの効いた室内は乾燥しすぎるため、適度に葉水を与える必要があります。
追肥
生育期である春から秋にかけて、市販の粒状の緩効性肥料を与えましょう。用土上に規定量を転がしますが、苗には触れないように注意してください。また、冬場は肥料分を吸収できず、逆にダメージになってしまうため、与えないでください。
育て方⑤病害虫対策
旅人の木は、基本的には病害虫に強い植物です。もちろん、間違った栽培環境では病害虫の被害に遭うこともあるため、適切な育て方を心がけましょう。特にハダニと根腐れ病には注意が必要です。
ハダニに注意
ハダニは、葉の表面に付いて汁を吸い、旅人の木の生育を妨げます。予防として、定期的に霧吹きで葉水をかけることが効果的です。葉水をかけると、滴る水と一緒にハダニも流れていきます。万が一、手遅れになってしまった場合は、市販の殺虫剤を散布しましょう。
根腐れ病に注意
水やりのしすぎや、寒い時期に無理に水やりをすると、鉢の中が湿りっぱなしになり、根腐れ病が発症しやすくなります。季節ごとに適切な水やりを心がけることで予防することができます。万が一根腐れ病になってしまった場合は、一度苗を抜いて腐った根を処理してから植えなしてあげましょう。
旅人の木の増やし方
旅人の木の増やし方は、種から育てる「実生」が一般的です。大きくなるまでには時間はかかりますが、種から育てればより愛着も湧くのではないでしょうか。こちらでは、種からの増やし方をご紹介していきます。
種まきの方法
用土
実生には市販されている種まき用土や、バーミキュライトなど、無菌の用土を使用すると手軽です。ご自身で配合される場合は、事前に熱湯や殺菌剤を使って用土の消毒をしましょう。雑菌が多いと、発芽する前にカビが発生しやすくなってしまいます。
種のまき方
種まきの前に、種が発芽しやすいように、種を一晩水に浸して吸水させておきます。吸水が終わったら、湿らせた用土の上に種をまき、種がうっすらと隠れる程度に覆土をしましょう。その後、乾燥防止に鉢にラップで蓋をし、暖かい場所に置いて発芽を待ちます。
種まき後の管理
旅人の木は発芽まで数か月かかることもあります。その間、用土が乾燥しないように注意してください。しかし、常にラップをしたままではカビが生えることがあるので、数日に1回程度、鉢の中の空気を入れ替えましょう。発芽したらラップをとり、日当たりのいい場所へと移動して、通常の管理を始めます。
まとめ
旅人の木の栽培についてご紹介しました。旅人の木は冬の間の管理に少しコツがいりますが、病害虫に強いため初心者の方でも育てやすい観葉植物です。独特の姿形になるには時間がかかりますが、機会があればぜひ旅人の木の栽培にチャレンジしてみてください。
出典:写真AC