迷彩柄の熱帯植物
「アグラオネマ」とはサトイモ科アグラオネマ属(Aglaonema)の草本の総称であり、熱帯に20種類以上存在します。「属」は「種」よりも一段階上の分類階級であり、アグラオネマ属の中にも様々な種類がいるのです。特にアグラオネマ・ピクタムという種類のうち、葉が迷彩柄になる系統は「トリカラー」と呼ばれ観賞用に栽培されます。
アグラオネマ・ピクタムの「トリカラー」は迷彩柄がよく目立ちます。
アグラオネマ・ピクタム基本情報
- 学名:Aglaonema pictum
- 分類:サトイモ科アグラオネマ属(リョクチク属)
- 分布:南アジア・東南アジア・中国南部
ボタニ子
サトイモ科なんだね!どの辺がサトイモ科なんだろう。
ボタ爺
花の形が、サトイモ科に特徴的な仏炎苞に包まれた集合花じゃ。アンスリウムやミズバショウの花もこのタイプだぞ。
アグラオネマの一種の花序。アンスリウムやミズバショウ など、サトイモ科の種類の花と同じ構造です。
アグラオネマの故郷
ボタニ子
自生地の環境を知るのは、育て方や増やし方を知る基本だよ!
アグラオネマの自生地は熱帯多雨林です。アグラオネマは南アジアや東南アジア、中国南部(雲南省、広西チワン族自治区など)の熱帯多雨林に自生しています。日陰に強く、落葉で保湿された林床に生えます。育て方や増やし方に関係する項目を確認しましょう。
自生地の環境が育て方のヒント
水が豊富
熱帯は激しいスコールに見舞われます。太平洋やインド洋から湿った空気がもたらされるため多量の雨が降ります。年間降水量1,000mm以上の地域が多く、場所によっては3,000mmを超えます。季節風の影響で雨期と乾期がありますが、「乾期」と言っても雨が降らないわけではありません。日光で地表が温められて上昇気流が生じ、雨雲をつくって激しい雨を降らせる「スコール」という現象が通年みられます。このような環境に育つアグラオネマは、多湿や冠水に強い反面、乾燥に弱いのです。
ボタニ子
水やりを忘れないようにしないとね。
温暖な雲霧林
熱帯は年間通して温暖で、最も涼しい月でも平均気温が18℃以上あります。アグラオネマが自生するような地域は気温が高いうえに湿度が高く、夜間に大気が冷えることで水蒸気が凝縮し霧が発生します。温暖湿潤で霧が出る森林なので、雲霧林といいます。
土は貧弱
降水量が多いと、土から様々な成分が洗い流されてしまいます。特に有機物や石灰分が洗い流されるため、熱帯多雨林の土は栄養が乏しく、pHが酸性に偏っています。アグラオネマも肥料をたくさんあげる必要はなく、ミズゴケだけで栽培し必要に応じて追肥をします。
アグラオネマは日陰に育つ
熱帯多雨林ではフタバガキなど樹高の高い照葉樹が生育し、林床にはあまり光が届きません。アグラオネマはこのような薄暗い林床に強く、弱い光でも生育できます。反対に直射日光にさらされると葉が傷んでしまいます。
ボタニ子
じゃあ、屋外に出さないで室内で育てた方がいいね。
アグラオネマの育て方・準備編
まずは道具の準備からしっかり確認していきましょう。
ボタ爺
アグラオネマは熱帯植物。日本で栽培するには温度管理や冬越しの設備が必要じゃ。後悔のないように必要な資材を確認しよう。
アグラオネマ栽培で使う資材
ミズゴケに植える
土を使わずにミズゴケに植えれば、保温と保湿の効果があります。市販の乾燥ミズゴケをほぐしながら水に入れ、5分〜10分間漬けて確実に吸水させましょう。ミズゴケは園芸店の洋蘭コーナーなどで売られています。水を吸ったミズゴケを、根詰まりしないくらいの強さでアグラオネマの根に巻き付けてください。最後に鉢に納めたら完成です。
園芸用土を使う場合
用土は赤玉土を使用します。土の表面に落葉やミズゴケを敷けば、乾燥のリスクを下げられます。
ボタ爺
園芸用土は、粒が細かすぎると根詰まりを起こしてしまう。3mmくらいのふるいにかけて、ふるいの上に残ったものを栽培用土に使おう。
肥料
草花用の緩効性肥料が便利です。肥料はあまり必要としないので、緩効性の化成肥料を2か月に1度施用して様子を見ましょう。市販品では「プロミックス」「マグァンプ」などがあります。
ボタニ子
高濃度の液肥が用土に浸み込むと、根が吸水しにくくなることがあるよ!ゆっくり溶ける固形肥料で様子を見て、葉の色が薄いようなら液肥で補おう。
冬越し中の育て方
アグラオネマ栽培の鬼門は冬越し。特に部屋の温度が低くなるため保温が重要です。後悔のないように、冬越し設備にはしっかり投資しましょう。
冬越し設備
なにはなくとも、温度・湿度の可視化が大事です。
小型温室があれば、急な乾燥や温度低下を避けられます。
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フタ付きの水槽は中を見やすいので、観賞価値を損なわずに温度・湿度を保てます。十分な高さのあるものを選びましょう。
爬虫類用のヒーターは冬越し中、温室や水槽内の温度をあげるのに使えます。冬越し中は保温することが大切ですが、保温に気を取られてカビ対策を忘れないようにしてください。特に水槽や衣装ケースに入れている場合は、毎日フタを開けて空気の入れ替えをしてあげましょう。
ボタニ子
熱帯魚を飼育している人は、水槽やLEDを冬越し設備に流用できるね。アクアリウムが趣味の人たちがアグラオネマ栽培を始めるケースも多いんだよ!
育て方・準備編のまとめ
熱帯植物だからといって、屋外で直射日光に当てるのは禁物。もともと木陰に生える植物だということを意識して、室内で水分多めに育てましょう。
ここまでのまとめ
- アグラオネマは熱帯植物。水やりと保温が重要。
- 直射日光に当てず、室内で育てる。
- ミズゴケに植えて乾燥を防ごう。
- 冬越し時は保温しよう。10℃以上が理想。
ボタニ子
資材を確認したら、いよいよ栽培に挑もう。次ページから紹介するよ。
アグラオネマ・ピクタム「トリカラー」