アキレアとは
アキレアは伸びた茎の先に小花がまとまって咲き、洋風や自然な雰囲気の庭植えに適した品種です。葉がノコギリのようにギザギザしている点が特徴で、「ノコギリソウ」の名で親しまれています。また、解熱や止血効果があることからハーブとして利用されており、その際は「ヤロウ」という名で流通しています。
アキレアの特徴
科属名 | キク科ノコギリソウ属(アキレア属) |
形態 | 多年草 |
原産地 | 北半球の温帯地域 |
草丈 | 5cm~120cm |
花色 | 白色、赤色、黄色、ピンク色、オレンジ色 |
開花期 | 5月中旬~8月中旬 |
耐暑性 | 強い~普通 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性は強くありますが蒸れに弱い品種が多いため、多湿である夏の時期を乗り越えれば、毎年きれいな花を咲かせてくれるでしょう。花色は白色が一般的ですが、品種によっては赤色や黄色などさまざまな色が存在します。
アキレアの花言葉
アキレアの花言葉は多く、主なものでも「戦い」「勇敢」「勇気」「治療」「君の微笑み」「悲哀を慰める」「隠れた功績」などがあります。ギリシア神話に登場する英雄アキレスの活躍により長く続いたトロイ戦争に勝利し、傷ついた兵士たちをアキレアを用いて治療したことから「戦い」「勇敢」「勇気」「治療」の言葉が生まれたとされています。
アキレアの品種
アキレアは100種類以上が北半球に自生しており、草丈も1m以上の大型の品種や小型の品種までさまざまです。特徴である葉の形も、縁がギザギザなものだけでなく、銀葉や緑葉、柔らかな毛で覆われているタイプのものもあります。
セイヨウノコギリソウ
数多くある品種の元となっている原種で、ヨーロッパ、アジア、北米に分布しており、日本では本州と北海道の一部地域で野生化しています。草丈は20cm~100cm、色は白色ですが、園芸品種では赤色や黄色もあります。止血や健胃作用目的のハーブや、発汗や食欲増進目的のハーブティーとしても利用されています。
キバナノノコギリソウ
大型種で草丈は100cm~120cmまで成長します。コーカサス地方原産で中央~南西アジアに分布しており、昔からハーブ目的ではなく観賞目的として栽培されています。茎が固く花房が密であることから、ドライフラワーとして人気があります。
オオバナノコギリソウ
ヨーロッパや西アジアの広い範囲に分布しています。花は1.5cmほどの大きさで八重咲き、花色が白色であることから大輪のカスミソウのように見えます。草丈は30cm~60cmで、茎は倒れやすいですが、倒れても咲き続ける様子が風情をもたらします。
アキレアの育て方
アキレアの育て方について、以下の5つの点に絞ってご紹介します。多湿を苦手としており、乾燥気味に育てる必要があるため、水やりの頻度には特に注意が必要です。また、肥料を多く必要としないことも育てやすい点の一つでしょう。
アキレアの育て方①用土
水はけのよい用土を使用しましょう。水はけが悪いと湿度の高い季節に立ち枯れをおこします。用土の配合は赤玉土:鹿沼土:腐葉土を4:3:3で混ぜるか、市販の草花向け培養土でも育ちます。小型や高山性の品種には山野草向け培養土を使用しましょう。
アキレアの育て方②植え付け時期と方法
春まきは3月~4月、秋まきは9月~10月に行います。苗を植え付ける際には30cmほど間隔を空けるように注意しましょう。成長した時に風通しが悪くなってしまったり、根詰まりを起こしてしまったりする可能性があるからです。種を蒔く際は一晩給水させ、用土を入れたポットや箱にまきましょう。覆土は種が隠れる程度でよいでしょう。
アキレアの育て方③置き場所
日当たりがよくやや乾燥している場所がよいでしょう。高温多湿に弱いため、風通しのよいことも重要です。耐暑性がやや弱い品種の場合は、午後になると日陰ができる場所へ植えましょう。鉢やプランターは、夏には半日陰の場所へ移動させるとよいでしょう。
アキレアの育て方④水やり
庭植の場合は水やりをする必要はほとんどありません。降雨程度で充分です。鉢植えの場合は用土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりを行いましょう。乾燥に強く高温多湿が苦手なため、水やりをしすぎると枯れてしまいますので注意しましょう。また、花に水がかかるとしぼんでしまうので、葉や株元にのみかけるようにしましょう。
アキレアの育て方⑤肥料
庭植の場合は、肥料をやる必要はほとんどありません。鉢植えの場合は、植え付け時に元肥として緩効性の化成肥料をやります。その後は成長具合に応じて、春と秋に同じく緩効性の化成肥料を追肥しましょう。少しやせた土地でも育ちますので、肥料をやりすぎると倒れやすくなったり花が咲かなかったりします。
アキレアの植え替え方法
庭植の場合、数年も経てば株が込み合い、成長に影響が出るので植え替えを行います。鉢植えの場合は1年~2年に1回のペースで植え替えを行います。暖地では水はけが悪くなりますので、毎年植え替えを行うとよいでしょう。植え替えは新しい用土を準備し、3月~4月または9月~10月に行いましょう。
アキレアの増やし方
アキレアの増やし方は、「株分け」「挿し芽」「種まき」の3通りの方法があります。それぞれやりやすい増やし方に挑戦してみてください。なお、「種まき」での増やし方の方法は「育て方②」で述べていますのでここでは割愛します。
株分けでの増やし方
同じ個体を増やす確実な方法です。3月~4月または9月~10月の植え替えと同時に作業するとよいでしょう。1株あたり4芽~5芽は付くように株分けし、新しい用土へ植え付けましょう。
挿し芽での増やし方
5月~6月に行いましょう。春に新しく伸びた芽を先端から8cm~10cm切り取ります。下の葉を取り除き水揚げを行ったら、挿し木用の用土に挿しましょう。明るい日陰に置き、水が枯れないよう注意しましょう。
アキレアのかかりやすい病気
アキレアのかかりやすい病気に、うどんこ病と灰色かび病があります。どちらも高温多湿による蒸れが原因の病気です。成長に影響が出ますので、風通しをよくし涼しい環境を整え病気の予防に努めましょう。
アキレアの剪定・手入れ方法
開花後は花がらを摘み取りましょう。花がらが残っていると種に栄養が回ってしまうことで、蕾が作り辛くなり次の花に影響が出てきます。こまめに作業しましょう。また、増えすぎた芽はその都度摘み取ります。花が終われば一度切り戻し、秋になり地上部が枯れれば地際で切りましょう。
アキレアの夏越し・冬越し方法
アキレアのそれぞれの季節に応じた対策をご紹介します。冬は問題ありませんが、夏は湿度が高いためいくつか気を付ける点があります。
夏越しの方法
アキレアは暑さや湿度に弱い性質がありますが、夏越し出来ないわけではありません。混み合っているようであれば株や葉を間引きし、風通しをよくします。水のやりすぎには充分に注意し、気温の高すぎる日が続くようであれば半日陰に移動させることで夏越しができるでしょう。
冬越しの方法
アキレアは耐寒性に強い性質を持っているため、冬越しの対策は特に必要はありません。冬が近づくにつれ新しい芽が出てきますが、これに対しても霜よけなどの対策は必要なく冬越しができるでしょう。
まとめ
アキレアは地植えや鉢植えだけでなく、切り花やドライフラワー、ハーブなど用途は多岐に渡っています。草丈が伸びると花の重さで倒れやすくなりますので、支柱を立てる必要があります。または、ある程度の花を残して切り取り、切り花として楽しむことも一つの方法です。