カンナとはどんな花?
真夏の暑さをものともせず、カンナは色鮮やかな花を咲かせます。夏を代表する植物のひとつといえるでしょう。同じ時期に咲くグラジオラスと混同されることがありますが、カンナの特徴を知ると見分けるのは難しくありません。
基本情報
分類 | 球根・熱帯植物 |
形態 | 球根植物(宿根草) |
原産地 | 熱帯アメリカ |
草丈 | 40〜160cm |
開花期 | 6〜10月中旬 |
花色 | 白、赤、ピンク、黄色、複色 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
名前の由来
カンナは英語で「canna」と綴ります。ラテン語や、ケルト語、ギリシャ語などで葦(アシ)を意味する単語からきているといわれています。カンナの茎の中が空洞になっている点が葦に似ているということから名付けられました。和名の檀特(ダンドク)は、仏教にゆかりのある名前で、北インドのガンダーラ地方にある山「檀特山(ダンドクセン)」が由来です。
開花時期
熱帯地域原産のカンナは真夏に咲くと思われがちですが、意外に開花時期が長いのが魅力です。初夏の6月ごろから秋の10月にかけて咲き続けます。適切に手入れをすれば、季節が変わっても長く庭の主役として存在感を示してくれるでしょう。
花言葉
カンナの花言葉は、「情熱」「快活」「永遠」「熱い思い」です。真夏に色鮮やかな花を咲かせるカンナの見た目がそのまま花言葉に反映されています。カンナにぴったりの花言葉といえますね。
ボタニ子
「妄想」というちょっとネガティブな花言葉もあるよ。
ボタ爺
英語圏での花言葉は、「妄想」や「疑い」じゃ。美しい花と葉が嫉妬や不信を招いたのかもしれんのう…。
カンナの特徴
特徴①花
カンナの鮮やかな花弁は、実はおしべが花弁化したものです。カンナのおしべは6本あるものの1本だけが本来のおしべの機能をもち、残りは花弁になってしまいます。ユニークな特徴といえるでしょう。現在、観賞用として育てられているものは、通称「ハナカンナ」と呼ばれます。改良が進み、花色が豊富なのも大きな魅力です。
特徴②葉
鮮やかな花もさることながら、カンナは葉色が美しい品種が多いです。赤や黄色の縞模様、ポトスのような柄から、魅力的な色合いの銅葉まで存在します。花が咲く季節以外でも、印象的な葉を楽しめるでしょう。
ボタニ子
グラジオラスとの違いは、葉っぱに注目すれば一目瞭然。グラジオラスの葉は剣のように細いんだよ。
カンナの種類
トロピカルシリーズ
トロピカルシリーズは、カンナの中では比較的小さめの品種です。鮮やかな明るい花が特徴で、イエロー、コーラル、ホワイト、ローズ、ブロンズスカーレットなどの花色があります。草丈は50cmほどで鉢植えでも栽培可能です。
ボタニ子
実生系品種として知られているよ。
ストリアタシリーズ
ストリアタシリーズは、鮮やかな黄色の斑の入った葉が特徴的な品種です。真夏の太陽を思わせる美しいオレンジ色の花を咲かせます。茎が赤紫色で葉と茎、花それぞれが異なる色を持ち、まるで絵画のようだど評されています。
アメリカン・レッドクロス
アメリカン・レッドクロスは目が覚めるような緋色で、大きな花が特徴的な品種です。深い緋色の大輪の花は多くの人の目を引き、花壇の主役になる花といえるでしょう。一輪でも十分インパクトがありますが、群生している様は壮観です。
カンナ・オーストラリア
カンナには葉がメインの品種もあります。カンナ・オーストラリアはそのひとつで、草丈は40〜50cmほどと小さめですが、大きくうねる葉が魅力的な品種です。赤く光沢のある大きな銅葉が個性的で美しいといわれています。花は朱に近い赤色で、花期は花と葉の絶妙なコントラストを楽しめるでしょう。
カンナ・ダーバン
オレンジ色の花を咲かせるカンナ・ダーバンは、草丈が大きくブロンズ色の葉に赤い縞模様が入る品種です。特徴として挙げられるのが、葉色の変化です。初めは赤の縞模様ですが、成長していくにつれて緑の縞模様に変わります。
カンナ・トロピカーナ
カンナ・トロピカーナは、葉の中心が緑で黄色の縞模様が入り、葉先が赤という不思議な色合いの品種です。また、カンナ・オーストラリアよりも濃い銅葉の「トロピカーナ・ブラック」や緑と黄色の縞模様が特徴的な「トロピカーナ・ゴールド」という種類があります。
カンナの育て方
カンナの栽培カレンダー
育て方①栽培環境
カンナは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。暖かくなってくる春から花が咲き終わる秋までは、栽培に適した環境で育てましょう。また、暖地では防寒対策を施せば、露地で冬越しさせられます。それ以外の地域では雪や霜を凌げる場所に移動するか、球根を掘り上げて発泡スチロールなどの容器に入れて保存するのが望ましいです。
育て方②用土
カンナは乾燥に強く、根が水に浸かっていてもぐんぐん成長します。そんなカンナは水はけと通気性がよい土を好みます。ホームセンターや園芸店で販売されている草花用培養土を使えば、大きな問題もなく栽培できます。自分で配合したい場合は、水はけをよくするために赤玉土(小粒)と腐葉土を6:4の割合で混ぜて使いましょう。
育て方③植え付け
鉢植えの場合
植え付けは4月下旬~5月に行います。カンナの球根は意外に大きくなるため、8〜10号鉢に1つだけ植えましょう。深さ5cmくらいの穴に球根の芽を上に向け、寝かせるように置きます。プランターで育てるときは葉が重ならないように、球根と球根の間は30〜40cm空けて植えましょう。
庭植えの場合
庭植えの場合は植木鉢のように移動できないため、日当たりがよい場所を選んで植えるのが基本です。プランターの場合と同様に、成長後の見栄えを考慮して球根と球根の間は30〜40cm空けて植えましょう。芽が10cm以上伸びたら周りの土を寄せて、5cmほど土をかぶせましょう。土寄せをすることで株周りが温かくなり、より早く育ちます。
育て方④水やり
鉢植えの場合は、表面の土が乾いたら鉢底から水が流れるくらいに水を与えましょう。真夏は土が乾きやすいため、こまめにチェックすると安心です。庭植えの場合は、頻繁な水やりは不要です。降雨のにでも育ちますが、雨がほとんど降らない場合は水やりをしましょう。
育て方⑤肥料
植え付け時には用土に元肥を混ぜ込んでおきます。効果が長く持続し、ゆっくりと効く粒状の肥料を使用しましょう。芽が出てからは1カ月に1回を目安に、三要素等量肥料(チッ素、リン酸、カリの効果が平均して続く肥料)を置き肥として株元にまきます。
育て方⑥花がら摘み
丈夫なカンナは多少放任でも育ちますが、開花後は花がらを摘み取りましょう。そのままにしておくと、種を作ろうとして養分がそちらに奪われてしまい、次に咲いていく花に養分が回りきらないことがあります。また、花がらを放置しておくと見栄えが悪くなるだけでなく、病害虫を招く可能性も高まってしまいます。
ボタニ子
花がらを摘むときは、花の付け根を持って下に折るようにすると簡単に取れるよ。
育て方⑦増やし方
カンナを増やすには、種から苗を育て、苗をうえる方法と、分球(大きくなった球根の節で分けること)をして増やす方法があります。分球をする時期は4〜5月がよいでしょう。大きく育った球根には一番大きい球根(親根)に、ミニチュアのような球根がくっついています。その小さい球根の節を丁寧に剥がせば、分球が完了します。
真夏はカンナ栽培を楽しもう!
花だけでなく葉も魅力的なカンナは、丈夫なことから栽培初心者でもチャレンジしやすい植物です。品種も豊富で、好みの花色や葉に出会えますよ。好みのカンナを見つけて、夏の庭を彩るように栽培を楽しんでみましょう。
出典:写真AC