サワフタギとは
サワフタギはハイノキ科に属する川沿いなどに自生する樹木です。日本では沖縄を除いて見かけることができ、中国や朝鮮半島にも分布しています。「沢蓋木」という名前の由来は、枝を横に伸ばし、沢に蓋をするような木であるためとされています。
サワフタギの基本情報
科名/属名 | ハイノキ科/ハイノキ属 |
学名 | Symplocos chinensis |
別名 | ルリミノウシコロシ(瑠璃実の牛殺し) ニシゴリ(錦織) |
分類 | 落葉低木 |
樹高 | 3m |
サワフタギは湿った環境を好み、沢や川の近くなどの湿った場所に自生している落葉低木です。「ニシゴリ(錦織)」という別名があるように、サワフタギの属するハイノキと同様にサワフタギの灰汁は紫の染料に利用されています。
サワフタギの特徴
サワフタギは名前の由来になるようないくつかの特徴があります。花から実までサワフタギの特徴についてご紹介します。
特徴①サワフタギの花
花の色 | 白 |
開花時期 | 5~6月 |
サワフタギは雄雌同株で、5月頃になると白くかわいらしい花をたくさん咲かせます。中心の雌しべのまわりに雄しべがふさふさとしているのが特徴です。「緊張感」という花言葉がありますが、由来ははっきりとしていません。サワフタギは自家不和合性があるため、1本の木では受粉できず実をつけにくいです。
ボタ爺
特徴②サワフタギの葉
サワフタギは交互に葉をつけ、葉の縁には細かい切れ込みがあります。サワフタギはシロシタホタルガという虫が害虫として葉につき、餌食になることが多いです。もしも葉に食べたあとがある場合はシロシタホタルガがいるかもしれません。上の写真の虫がシロシタホタルガです。
秋には葉が紅葉する
サワフタギの葉は9月頃より緑色から黄緑色へと紅葉します。紅葉期間は短く、黄緑色から赤黒く変化し、11月頃には葉が落ちます。
特徴③サワフタギの樹皮と冬芽
サワフタギの樹皮は灰褐色で、縦に裂け目があります。そして細かくひび割れ剥がるのが特徴です。サワフタギはいくつか品種がありますが、品種によって樹皮にも違いがあります。上の写真はサワフタギの冬芽で、大きさは2mmほどです。
ボタ爺
品種による樹皮の違いは、クロミノサワフタギの樹皮は縦ではなく、横に裂け目があります。
特徴④サワフタギの実
実の色 | 青~藍色 |
実をつける時期 | 8月下旬~9月 |
摘果時期 | 11月 |
サワフタギは秋が近づくと鮮やかな青色の実をつけるのが特徴的です。別名の「ルリミノウシコロシ(瑠璃実の牛殺し)」は、実が瑠璃色であることから名付けられたとされています。「ウシコロシ」は牛の鼻輪作りに使われていたカマツカという植物の別名でもあり、サワフタギも牛の鼻輪作りに使われていたなどの説があります。
ボタニ子
サワフタギの葉が「ウシコロシ」の別名を持つカマツカの葉と似ているからという説もあるそうです。
サワフタギの実は食べられる
サワフタギの実は鳥に食べられるように、11月頃に摘果して人も食べることができます。熟した実の色は藍色から黒っぽい色です。実の味は甘さはなく、無味からはじまりセロリのような青っぽい味がします。苦みはありません。
サワフタギの特徴
- 湿った場所に生育している
- 5月頃に白い花をつけるが、1株では受粉しにくい
- 葉はシロシタホタルガの好物
- 9月頃に藍色の実をつけ、食べられる
ボタニ子
次のページは、サワフタギの育て方・増やし方についてです。
自家不和合性とは、同じ株同士では受粉しても受精できない性質のことをいいます。