動物の名前が入る植物とは?
植物の名前には、犬や狐など身近な動物の名前が使われているものがあります。「なぜ植物なのに動物の名前が入っているの?」と疑問に思ったことはありませんか。この記事では、動物の名前が入った植物を21選紹介します。由来を知れば、植物に対して違った見方ができるかもしれません。植物を観察するときの参考にしてくださいね。
動物の名前が入る植物<犬>4選
植物の名前で犬と付くものは、たくさんあります。動物としての犬は、警察犬や盲導犬などの仕事を与えられ、愛玩犬としても古くから人間のよき友、パートナーでした。しかし、植物の名前で「犬」と付くものは、否が訛ったもので「役に立たない」という意味を表しています。
①イヌタデ
学名 | Persicaria longiseta |
分類 | タデ科イヌタデ属 |
名前 | 犬蓼(イヌタデ) |
分布 | 道端 |
花期 | 4月~11月 |
イヌタデの花は、別名あかまんまとも呼ばれ、紅紫色の花を咲かせます。この花には、花びらがありません。花びらにみえるのは「がく」です。がくが5つに裂けているため、花びらのように見えます。また、つぼみから果実までがすべて同じような色合いをしています。そのため、ほぼ1年中の季節で花が咲いているように見えます。花言葉は「あなたのお役に立ちたい」です。
名前の由来
イヌタデの名前の由来は「役にたたないタデ」です。タデ科の植物でヤナギダテというものがあります。このヤナギタデは香辛料として利用されていました。一方のイヌタデは辛みがなく香辛料に使えません。ゆえに「ヤナギタデに比べると役に立たないタデ」で「犬蓼」となりました。
②イヌツゲ
学名 | Ilex crenata |
分類 | モチノキ科モチノキ属 |
名前 | 犬黄楊(イヌツゲ) |
分布 | 山野 |
花期 | 4月~5月 |
イヌツゲは、庭木や生垣などでよく見られる常緑低木です。萌芽力が強い特徴があるため、刈込みにもよく耐えます。花期は4月~5月、目立たないクリーム色の花を咲かせるのが特徴です。花には雄花と雌花があり、雄花のほうがまとまって花をつけるため、雌花よりは目立ちます。モチノキ科のなかでは、珍しく黒い果実をつけるのも特徴です。花言葉は「魅惑」です。
名前の由来
イヌツゲによく似た樹木で、「ツゲ」というものがあります。ツゲは成長が早く強度もあるため、印鑑や将棋の駒の材料として使われているのです。しかし、イヌツゲはこのツゲよりも材が劣るため、「下等」という意味を込められて「犬」の名前がつけられました。
③イヌザクラ
学名 | Prunus buergeriana |
分類 | バラ科サクラ属 |
名前 | 犬桜(イヌザクラ) |
分布 | 山野 |
花期 | 5月 |
イヌザクラはソメイヨシノと同じ桜の仲間ですが、ソメイヨシノとは違い、穂状の花を総苞花序につけます。葉の開花は、花と同時です。そのため、花を多くつけるものの小さな花で、あまり目立ちません。葉や樹皮も、サクラ類にはあまり似ていないといわれています。花言葉は「淡白」です。
名前の由来
イヌザクラは桜の仲間ですが、ソメイヨシノなどの桜と違って華やかさがありません。そのため、桜の仲間なのに桜に見えないことから、質が悪いとなり「犬桜」と名付けられたという由来があります。
④イヌムギ
学名 | Bromus catharticus |
分類 | イネ科スズメノチャヒキ属 |
名前 | 犬麦(イヌムギ) |
分布 | 道端 |
花期 | 5月~8月 |
イヌムギは、どこにでも見られるイネ科の雑草の1つで、先端の尖った穂をつけるのが特徴です。乾燥した場所に生える傾向があります。どこにでも生えている雑草ですが、外来種であり日本には明治時代頃に入ってきたとされています。
名前の由来
イヌムギは食用のムギと似た姿をしています。しかし、イヌムギは食用にはならず、そのことから「役に立たない麦」で「イヌムギ」という名前がつけられました。