漢方薬として大和当帰
生薬としての調整法
薬用として栽培された根は秋に掘り取り、翌年の2月まで乾燥させます。2月の晴天の日に70~80℃のお湯でもみ洗いをし、根の間の土や小石を落とし、形を整え、再び乾燥して仕上げます。
生薬としての利用
根に血液循環促進、充血による痛みの緩和、補血などの効果が期待され薬用植物として栽培されており、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、四物湯(しもつとう)などの漢方方剤に使われます。中国の漢方で使われるトウキはカラトウキと呼ばれ、日本の当帰とは成分、香りなどがわずかに異なる別種です。
当帰芍薬散、四物湯
構成生薬のうち、当帰・川芎(せんきゅう)の組み合わせで冷え、貧血、生理不順などに作用する。
生薬としての働き
大和当帰の根は、生理不順、貧血、足腰の冷え、自律神経の乱れ、更年期障害などを改善するといわれ、婦人薬の主薬として配合されています。漢方の考え方における健康に欠かせない要素「血」。大和当帰はその血を補う補血作用があるとされています。
大和当帰の栽培
食用の葉の栽培
食用の大和当帰の栽培は、奈良をはじめ各地で盛んになりつつあります。生薬として根の栽培には2~3年を要するため、食用の葉の栽培方法とは異なります。栽培や加工に大変手間ヒマのかかる大和当帰ですが、健康的な食が見直される今、生産拡大が見込まれ、大和当帰がもっと身近な野菜になることが期待されます。
害虫駆除
大和当帰の栽培には害虫対策が欠かせません。定植後から10月まで、たえずキアゲハやクロモンシロハマキなどの害虫がつきます。無農薬で育てるため害虫をみつけたらひとつずつ丁寧に取り除かなければ、葉が食い荒らされてしまいます。
まとめ
根は生薬として、葉は食用として、花は観賞用として、さまざまに楽しめる大和当帰。害虫対策が必要ですが育ててみてはいかがでしょうか。食用としても、入浴剤としても女性の味方になってくれる植物です。
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出典:筆者撮影