ウチョウラン(羽蝶蘭)の病気と害虫
多湿が苦手なため、雨が長く続くような梅雨時期にはとくに注意しましょう。湿度が高いとカビや細菌も発生しやすく、病気にかかりやすくなります。また、害虫が集団で発生してしまう場合もあるので、よく観察しながら育てると安心です。ウチョウランのかかりやすい病気や害虫被害をご紹介します。
軟腐病
軟腐病は土の細菌が原因で発生し、株元の傷口などから細菌が侵入して感染してしまう病気です。感染した部分は褐色に変色し、放っておくと腐敗が進んで悪臭を放つようになります。殺菌剤が効きにくいので感染してしまった部分は早めに取り除き、他の部分に感染してしまわないようにしましょう。
立枯病
立枯病は梅雨時期などに発生しやすい病気で、カビが原因で発生します。感染した部分は黄褐色や赤色に変色し、根元の部分から痩せ細り枯れてしまう病気です。ウチョウランを植え付けるときに株間をしっかりとあけたり、風通しのよい場所で育てたりすると予防ができます。
アブラムシ
4月〜6月と9月〜10月はアブラムシの繁殖期のため、集団で発生しやすくなります。葉や茎の汁を吸って成長するため、発見が遅れると枯れてしまう恐れがあるので注意が必要です。発見したらすぐに殺虫剤を散布して駆除してください。光るものが苦手な性質があるため、園芸用のシルバーテープなどを使って予防しましょう。
ウチョウラン(羽蝶蘭)の品種
花の色や大きさなどたくさんの品種があり、絶滅危惧種にも認定されている固有種や、葉が特徴的な品種などさまざまです。暑さに弱い品種を育てる場合は冷房のきいた部屋でしか夏越しができないので注意しましょう。そんなウチョウランの品種をいくつかご紹介します。
クロカミラン
「黒髪山」の固有種で、数がとても少ない品種です。ウチョウランの中でも茎が細くすっきりとした印象があります。控えめな薄紫色の花を咲かせ、草丈は15cm程度まで成長するのが特徴です。絶滅危惧種にも認定されており、貴重な花といわれています。
サツマチドリ
九州地方の岩場や草むらに生息する品種で、草丈は5cm〜20cmほどまで成長します。他のウチョウランに比べて葉にしっかりとした厚みがあり、やや大型の品種です。開花時期にはピンク色や薄紫色の花を咲かせ、赤紫色の斑点の入った品種もあります。
ヒナチドリ
「幻の花」とも呼ばれ、崖や岩陰など人間がたどり着くのが困難な場所に生えている品種です。日本の固有種でブナの大木や倒木に着生している場合もあります。耐暑性が弱く、自生しているものは夏でも涼しい場所でしか夏越しできません。そのためヒナチドリを育てるには、冷房のきいた涼しい部屋で夏越しさせてください。
まとめ
ウチョウランの栽培方法や手入れのコツ、増やし方や病気と害虫などについてご紹介しました。ランは上級者向けの植物というイメージがあるかもしれませんが、ウチョウランは直射日光と多湿に気をつければ育てられる植物です。栽培のポイントをおさえて、みずみずしくて美しいウチョウランをぜひ育ててみてくださいね。