ハスについて
ハスの基本情報
属性 | ハス科ハス属 |
学名 | Nelumbo nucifera |
形態 | 水生植物 |
草丈 | 50~100cm |
開花時期 | 7月~9月 |
花色 | ピンク・白・黄 |
ハスは1億4000万年前から存在する夏の花
ハスは、日本、中国、インドなどの温帯から熱帯地域に分布して、池や沼に生息する水生植物です。ハスの歴史は古く、約1億4000万年前の古代から存在していたと言われています。ハスの開花時期は夏の7月~9月ですが、もっとも見頃の時期は7月中旬~8月中旬です。ハスの花は寿命が短くて、開花すると4~5日で散ってしまいます。
ハスの花が咲く時間は早朝
ハスの花が咲く時間は、早朝の7時頃からゆっくりと咲き始め、9時頃には満開になります。朝に咲いた花は午後にはしぼんでしまうので、ハスが咲く時間に合わせて午前中に見に行くことをおすすめします。
ハスと仏教
ハスと仏教は深いつながりがある
お盆になると、仏壇に飾ったりお墓に持っていくための仏花として、ハスの花が店先で売られます。また、仏具や宗教画にはハスの花をモチーフにした図柄がよく使われています。このようにハスと仏教は昔からとても深いつながりがあったことが分かりますね。
ハスは聖者の花といわれる
インドではハスの花を「聖者の花」と呼び、昔から仏教と深いつながりがあって大切にされてきました。また、ハスは泥水の中でも美しい花を咲かせるので、泥水のような苦しみの中でも、汚れる事のない清らかな心を象徴する花とされています。
仏様が座る蓮華座はハスの花
仏像が座る台座を蓮華座といいます。この蓮華座はハスの花がかたどられています。ハスがお釈迦様や仏様の身近にあって神聖な花とされるのは、花姿が神秘的で宗教的な雰囲気を持っているからですね。
ハスの特徴
花の特徴
ハスの花はとても大きくて20~30cmもあります。20枚ほどの大きな花びらが中央にある黄色い花托(かたく)を囲むように咲き開きます。花托(かたく)の周りにはたくさんの雄しべがあって、受粉すると花托(かたく)の中に実ができます。この花托(かたく)は成長すると蜂の巣のような形になるので、別名「蜂巣(はちす)」とも呼ばれています。
一見グロテスクな果托(かたく)
ハスの花托(かたく)は、花びらが落ちて実がなると果托(かたく)という名前になります。黄色い花托はとても美しいのですが、果托と呼ばれるようになる頃には少しグロテスクな風貌ですね。
実の特徴
ハスの実は外皮をむいて生で食べることができます。実には甘みと苦みがあって、トウモロコシに近い食感があります。また中国や台湾ではハスの実を餡(あん)にして、月餅や最中などのお菓子にも使われています。
茎の特徴
ハスの茎は中がストローのように空洞になっています。また、葉と茎がつながる部分にも小さな穴が開いています。たまにハスの葉にたまった水がプクプクと泡立っていることがありますが、これは茎を通って上がってきた空気が葉の表面に出てきているからです。
象鼻杯(ぞうびはい)
このハスの茎や葉を使ったもので、象鼻杯(ぞうびはい)という習慣があります。象鼻杯とは、ハスの葉に注いだお酒を下から茎を吸って飲んでもらうというおもてなしです。ハスの茎を通って出てくるお酒は、ほんのりとハスの香りがして優雅な味わいが楽しめます。ハスを持ち上げて茎の下からお酒を飲んでいる姿が、象が鼻を上げて水を飲む様子に似ているので象鼻杯という名前がつきました。
ハスの香りがする象鼻杯かぁ~、一度そんなお酒を飲んでみたいなぁ~!
葉の特徴
葉にはロータス効果がある
ハスの葉は円形で、大きさは20cmから大きいもので50cmほどになります。葉の大きな特徴は表面に水をはじく性質の突起物が無数にあって、葉の上に落ちた水が広がらず丸い水滴になります。これをロータス効果(英語でハスのことをロータスという)といって、塗料や繊維の撥水技術の研究開発に役立っています。
「蓮の葉商い」(はすのはあきない)
「蓮の葉商い」(はすのはあきない)という言葉は、かつては縁日などでハスの葉の上に季節の食べ物を載せて売っていたことがあるので、季節物を売る商人のことを指していました。ところがその後、季節物は旬の時期だけであとは無くなってしまうので、品質が悪くても消えてしまって問題にならないようなまがい物を売る商人のことを、「蓮の葉商い」と呼ぶようになりました。
根の特徴
ハスは蓮根の花
ハスは水底の土の中に根を張って生息しています。この根は、実はじゃがいもなどと同じように地下茎がふくらんでできたものです。この地下茎がいわゆるレンコンで、蓮根の花がハスということです。このレンコンは食用にできるものとできないものがあります。観賞用のハスのレンコンは小さくて食用にはなりません。
ハスの種類
大賀ハス(オオガハス)
大賀ハス(オオガハス)は古代ハスとも言われ、2000年以上前の地層から見つかったハスの種で、大賀一郎博士が発芽に成功したことから、博士の名前を取って名付けられました。つまり現存する世界最古のハスの花ということになります。2000年前の人たちが見ていたハスが、私たちも現代で見ることができるというのは、歴史のロマンを感じますね。
黄花蓮(キバナハス)
黄花蓮(キバナハス)は名前の通り黄色い花を咲かせるハスです。アメリカに生息しているので、アメリカハスという別名もあります。背丈が2m近くまで伸びる大型のハスです。
金輪蓮(キンリンレン)
金輪蓮(キンリンレン)は白い花びらにピンクの縁取りがあるかわいいハスです。別名に「法華寺蓮(ホッケジハス)」という呼び名があって、奈良県にある法華寺にはこの金輪蓮がたくさん咲いています。
西円寺青蓮(サイエンジセイレン)
西円寺青蓮(サイエンジセイレン)は、ハスの中では珍しく八重咲のハスです。白い花びらが幾重にも重なり、一番外側の花びらが青みががっています。山口県の西円寺にこのハスがたくさん咲いているので、西円寺青蓮という名前がつきました。
清月蓮(セイゲツレン)
清月蓮(セイゲツレン)は花びらが純白のハスです。まさにお月様のような透き通る白は気品がありますね。
ハスは咲くとき音がするのか?
ハスの花が咲く瞬間って、ポン!って音がするって本当なの?
それで、その音を聞いた人には幸せになるって聞いたけど本当?
ハスが咲く音について
ハスが咲くときには音はしない
ハスの咲く音については、開花の瞬間にポンと大きな音がするという伝説があります。しかし実際にはハスはゆっくりと花びらを開くので、そのような音は聞こえません。ハスが開花するときの音を聞いた人は幸せになると言われるのは、神秘的なハスが開くことに、「運が開く」、「幸運になる」、という願いを重ねたからなのかもしれませんね。
ポンという音は空気の音
では、どうしてポンという音が聞こえると言われているのでしょうか?それは茎から上がってくる空気が葉の上にある水の中ではじける音なのかもしれません。ハスの花が咲く早朝は周りが静かなので、まるで花が咲く音のように大きな音に聞こえたのでしょう。
ハスと睡蓮の違いは?
ハスと睡蓮はよく似ているんだけど、見分け方がわからなくて…
ハスと睡蓮の違いをわかりやすく教えてほしいなぁ~。
花びらの形や花が咲く位置が違う
ハスの花びらは丸みを帯びていますが、睡蓮の花びらは細くてとがっています。またハスは水面から高く茎を伸ばして咲きますが、睡蓮は水面上または水面近くに花を咲かせます。
葉の形や葉の出る位置が違う
ハスの葉は丸くて切れ込みがありませんが、睡蓮の葉は深い切れ込みがあります。またハスの葉は長い茎で水面上に高く伸びますが、睡蓮の葉は水面に浮いた状態になります。また、ハスの葉はざらざらしていて撥水性がありますが、睡蓮の葉はつるつるしていて水をはじきません。
ハスの根は蓮根(レンコン)で睡蓮の根は球根
ハスの根は成長すると蓮根(レンコン)になって、食用になるものもありますが、睡蓮はレンコンはできず普通の球根です。
まとめ
このように、ハスの花は蓮根の花というだけではなく、宗教的にも歴史的にも奥行きの深いものを持つ神秘の花と言えます。ハスの咲く音伝説は、残念ながら開花時に音はしないことがわかりましたが、神がかり的な花の美しさには心ひかれるものがありますね。ぜひハスが見頃の季節には、ハスの咲く時間に合わせて早起きをして、美しい花を見に出掛けてみてください!
わぁぁ~!なんだかエイリアンみたいで怖い~!!