タラノキを育てよう
既にお話した通り、タラノキは農家で栽培されています。中には大規模に栽培している地域もあるそうで、タラの芽が地域の特産品として販売されているところもあります。タラノキの幼木は種苗店やネットでも販売され、家庭で育てることも可能です。では、タラノキの育て方とはどのようなものでしょうか。
メダラが栽培種の中心
おもに栽培種として販売されているのは、写真に写っているとげが少ないメダラと呼ばれるものです。メダラは前章で紹介した見分け方でも間違ってしまうことが多く、プロの方によって山から持ち帰られ、人工栽培した後販売するケースが多いそうです。市中に出回っているメダラの殆どが、人工栽培の株分けと考えてよいでしょう。
種根を使って育てる
タラノキの育て方には、タランボ・メダラを問わず種根から栽培する育て方があります。育って一年目以上のタラノキから、種根と呼ばれる部分を7㎝ほど取り、庭や畑に植えます。種根の見分け方は、専門の方などからアドバイスを受けましょう。
育て方が簡単なタラノキ
タラノキは、春3~4月に植え付けの時期です。水やりは、気付いた時にやればよく、追い肥も最初の一年は必要ありません。育て方が非常に簡単で、初心者でも翌年には山菜の王様を堪能することができます。ただし2年目以降は、タラの芽を採取後に月一回の追い肥が必要です。
病気に強いが寒さに弱いタラノキ
一見すると病気に弱そうなタラノキですが、実は病気に対する抵抗力が強いのがタラノキの特徴のひとつです。害虫もつきにくく、気が付いた時に農薬を散布するだけで結構です。しかし、タラノキの大敵は寒さ。特にタラの芽が芽吹く2~3月は、栽培する農家が温度管理に最も気を使う時期だそうです。
タラの芽の採取法も育て方の一つ
1年苦心して育てたタラノキから、翌春にタラの芽が芽吹いた感激はひとしおです。「さぁタラの芽ゲットだぜ!」と行きたいところですが、実はタラの芽の採取法も育て方のひとつなのです。タラの芽は、タラノキの頂点の頂芽を収穫するのが基本です。側木に生える側芽は、1~2個取るのに留めます。全部採るとタラノキが枯れますので、ぜひとも注意したい点です。
タラノキの水耕栽培をする農家がある
北海道や新潟県の農家では、タラノキの水耕栽培が盛んです。とくに新潟県は「タラノキのふかし栽培」と呼ばれています。その出荷量は、全国のタラの芽収穫量の一割を占め、今や一大産地となっています。
自宅でも出来るタラノキの水耕栽培
意外にも、タラノキの水耕栽培は、自宅でもできるそうです。そのためには、切り口を防腐処理されたタラノキの穂木を、農家から分けて貰う必要があります。しかし、その後は水に浸してやれば、あとは何もする必要はありません。家の中で育てられるので、早ければ2月頃からタラの芽を収穫することができます。一回栽培を始めれば、毎年収穫が楽しめます。
急速に減る原種のタラノキ
農業関係者や山菜愛好家らの話によると、近年のグルメブームによりタラの芽の乱獲が進み、原種のタラノキが激減しているそうです。そのため、農家が栽培用に必要な種根の収穫ができなくなり、栽培にも大きな影響が出て来ています。水耕栽培など知恵を絞って乱獲を防ごうとする動きの一方で、原種絶滅という非常に危惧される出来事が進行しています。