家庭菜園での緑肥の効果的な使い方
緑肥作物には土壌中の微生物の増加、塩類の除去(クリーニングクロップ)、病害虫の抑制、雑草抑制などの効果があります。作物の種類によってはさらに違った効果も期待されるため、うまく使い分けるのが家庭菜園を成功させるコツです。
効果的な緑肥の使い分け
前作での養分流出や病害虫の増加などを改善したい場合、どの緑肥作物で土壌を蘇らせるかについては、緑肥の使用を検討する際に誰もが悩むポイントといえます。自分の菜園にほしい効果を見極めて、緑肥作物を選びましょう。
効果別緑肥作物
保水力を高めたい | ソルゴー、エンバク、ライムギ |
保肥力を高めたい | ソルゴー、エンバク、ライムギ |
微生物を増やしたい | 全ての緑肥 |
塩類濃度を下げたい | 全ての緑肥 |
センチュウ害を減らしたい | クロタラリア、マリーゴールド、 ソルゴー、エビスグサ |
窒素を供給したい | ヘアリーベッチ、クローバー、 クロタラリア、エビスグサ |
景観をよくしたい | 緑肥ヒマワリ、クリムソンクローバー、マリーゴールド |
ボタニ子
緑肥作物の種まき
緑肥で覆いたい土壌を15cmほどの深さまで耕し、平らにならします。ムラにならないように、手まきの場合は複数回に分けてまきましょう。すこし密植気味に植えると初期生育が順調になります。刈り取る際の裁断もすき込みも容易になり、分解が早まります。まき終わったら1~2cmほど土で覆い、クワなどでしっかり押さえましょう。
緑肥の刈り取りとすき込み
刈り取りは穂が出る前
緑肥作物の刈り取りの適期は、イネ科の作物なら穂が出る直前、マメ科の作物なら景観美化に使わない場合は開花の直前がベストです。このタイミングで刈り取ることで、有機物の肥料効果も高くなります。刈り取りが遅れて穂が出た作物は分解されにくいため、土へのすき込みはやめたほうがよいでしょう。刈り取るときは、根元を刈る前に上のほうからなるべく細かく裁断します。柄の長い植木ばさみなどを使うと便利です。
すき込みはスコップやクワで
緑肥は細かく裁断した後にすき込みますが、マメ科は枯れてからすき込んでも大丈夫です。家庭菜園でのすき込みは多くの場合手作業になるため、クワやスコップで行います。すき込むことが大変な場合は、すき込む代わりに畝のマルチングに使ってもよいでしょう。そのまま畝の上で腐植させれば、ひと手間省けます。
ボタニ子
すき込みが難しかったら、畑のすみに埋めてもかまいません!1~2カ月経てばいい土が作れますよ!
家庭菜園で緑肥を使う際の注意点
刈り取り期を逃さないこと
緑肥を刈り取るタイミングはとても大切です。緑肥は根と草葉の量を多くするほど効果が高まるため、十分に育ててから刈り取りましょう。うっかりして穂が出てしまうと、草葉が硬くなり刈り取るのに手間がかかります。そのうえ、土壌で分解されるのにも時間を要します。後作の種まき期に合わせて生育途中で刈り取ってしまう場合もありますが、そのときは敷き草や敷きわらなどとして使いましょう。
すき込み後は分解期間が必要
すき込んですぐの栽培はNG
緑肥作物をすき込んですぐに野菜などを栽培すると、生育力を抑制されることがあります。これは有機物を分解する際におこる酸素不足や、未熟有機物をエサにしているピシウム菌の増殖などが原因と考えられています。
期間をあけて後作をする
微生物が緑肥作物を分解する期間をあけてから後作を行いましょう。3~4週間ほどが必要とされていますが、寒い時期は分解に時間もかかるため、それより長くあけるのがおすすめです。栽培計画を立てるときは、この期間も考慮して緑肥の種まき時期を決める必要があります。
速効性はない
緑肥は自然の営みを利用して土壌改善をしていくため、効き目には時間が必要です。速効性がほしい場合は、肥料や薬剤を併用していくと効果的です。複数年にわたる家庭菜園の作付計画を立て、長期に利用することで緑肥作物の効果を感じられるでしょう。
緑肥を効果的に使って家庭菜園を豊かにしよう
「収穫しないのに作物をつくるなんて労力の無駄」と思う方もいるかもしれません。しかし、緑肥によって土壌の地力が上がれば農薬の回数も減り、肥料代も節約できます。なにより自然の力で土が豊かになりおいしい野菜が育てられたら、地球環境にも貢献しているという充実感も得られるでしょう。家庭菜園を楽しむなら、ぜひ緑肥にチャレンジしてみてください。
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種まき期と目的を考慮して、緑肥作物を選んでみましょう!