水やりのやり方は簡単なようで難しい!
植物の水やりは小学生でもできる簡単な作業だと思われがちですが、やり方を間違えると水を吸収するのに重要な根を傷めてしまい、植物が枯れる場合があります。水やりのやり方は植物の種類や植えられた場所などにより異なるからです。それぞれの植物に合った頻度やタイミングを知り上手に水やりを実践しましょう。
どうして水やりは必要?
植物は大部分が水でできているため、水が不足するとしおれて枯れてしまいます。また、植物は根から吸収した水と二酸化炭素を原料に有機物を合成する(光合成)など、体内で行われるさまざまな生命現象すべてに水を必要とします。
水やりのやり方【基本編】
道具をおろそかにしないのが、上手に水やりをする基本です。植物の性質や場面に応じで、水やり道具を使い分けましょう。
水やりに使用する道具
ジョウロ
ジョウロは、代表的な水やりの道具です。鉢植えの植物の水やりに使われる場合が多く、ジョウロの先にハス口と呼ばれる部分があるものとないものがあります。ハス口が取りはずしできるものは、水の量や水の向きなどを調節できて便利です。
水道ホース
水道ホースは庭や畑など広い場所での水やりに欠かせない道具です。ホースの先に取り付けるホースノズルは手元で水を出したり止めたりできるものや、ジョウロのハス口程度や霧状に水流を調節できたりするタイプなどさまざまな種類があります。
霧吹き・水差し
霧吹きは種をまいた直後の水やりや、葉に直接水を吹きかけて植物の水分を補う場合に使う道具です。水差しは室内の観葉植物や多肉植物など小型の鉢植え植物の水やりに便利な道具です。どちらも素材やデザインが豊富で、観葉植物とともに置くなどしてインテリアとしても使えます。
ボタニ子
受け皿やバケツなどの道具も水やりに使いますよ。
水量の目安
一般的に、植物の水やりの水の量は「たっぷりと」と表現されます。水の量が少ないと全ての根に水が行きわたらず植物が枯れる原因になります。エアプランツなど空気中の水分を吸収して成長するような特殊な植物を除き、植物は一度にたくさんの水を土に与えましょう。
たっぷりの目安はどれくらい?
植木鉢の植物に水やりをしたときに、植木鉢のふちまで水がしっかり入るくらいの量の水を与え、土がその水を吸収した後に残りの水が植木鉢の底から流れ出るくらいの量を目安とします。たっぷりの水は根の老廃物や余分な肥料を洗い流したり、土の中に新鮮な空気を送ったりします。
ボタニ子
植物の根は土の中で酸素を吸収して呼吸しています。
水やりの方法
基本の水やり(根水)
水やりは、基本的に根元の土におこないます。葉や花の上から水をかけると、十分に土まで水がとどきません。ジョウロや水道ホースなどの道具を使いゆっくりと鉢の中にまんべんなく行き渡るように水を与えます。受け皿に水がたまったら、根が水浸しにならないように捨てるか雑巾などで吸い取りましょう。
ボタニ子
水の勢いが強すぎると土が水を吸収する間なく流れ出てしまいます。
葉水
植物は根だけでなく葉からも水分を吸収します。湿度の高い熱帯雨林原産の観葉植物など、葉水が必要な植物には根元の水やりとともに、葉や茎に霧吹きなどの道具を使い水を与えましょう。
ボタニ子
葉水は葉の汚れを落としたり害虫や病気の予防をしたりさまざまな効果があります。
ドブ漬け
ドブ漬けは、ためた水の中に植物の植木鉢部分を全部沈めて、根や土に水分を吸収させる水やりの方法です。おもに苔玉や土が硬くなり水を吸収しにくくなった盆栽などにおこないます。バケツなどの容器に盆栽の植木鉢と土がちょうど浸かる程度の水をためて、1時間ほど沈めておきます。
腰水
腰水は、バケツや受け皿などに3~4cm水を張り、植木鉢の下部分をつけて鉢の下から水を吸収させる方法です。湿地帯の植物など水を多く必要とする植物向きの水やりです。
水やりのやり方【一般的な植物】
パンジー、ペチュニア、紫陽花、バラ、ミニトマトなど一般的にホームセンターなどで簡単に購入できる草花や庭木、家庭菜園用の野菜への水やりのやり方の基本はどれも同じとされています。どれくらいの頻度やタイミングで水やりするのがよいのか、コツをおさえて上手に水やりをしましょう。
ボタニ子
水は水道水や一晩くみ置いて塩素のぬけた水道水を使いましょう。
ボタ爺
清潔な容器にためた雨水も使えるぞ。
頻度
一般的な植物の水やりは、年間通して土の表面が完全に乾いたときにおこないます。土の乾き具合が季節ごとに変わるため、水やり頻度の目安は変化します。
ボタニ子
植替え直後の植物はしっかり根付くまでの間、土を完全に乾かさないように水をやりましょう。
水やり頻度・春
春の水やり頻度の目安は、1日~2日に1回程度です。気温が低い間は成長がゆっくりな植物も多く、水やりの回数は少なめにします。気温が上がり植物の成長が早くなったり花が咲いたりする時期に、水やり回数を増やしましょう。地植えにした植物は降雨だけで育ちます。
ボタニ子
土の表面に鹿沼土をまいておくと土の乾き具合がわかりやすいですよ。
ボタ爺
鹿沼土は水分を含むと色が変わるぞ。
水やり頻度・夏
夏の水やり頻度の目安は、1日2回程度です。夏は気温が上がり日差しが強くなるため忘れずに水やりしましょう。地植えの植物は降雨のみでも育ちますが、日照りが続く場合や日差しが強い場所の植物には水やりが必要です。
ボタニ子
水やりは植物の水分補給だけでなく打ち水効果で気温を下げて植物を暑さから守ります。
水やり頻度・秋
秋の水やり頻度の目安は、1日~3日に1回程度です。気温が下がり土が乾きにくくなれば水やり回数を減らします。気温が高い日が続いて土がよく乾く場合は、夏と同じだけ水やりをして水切れを防ぎましょう。地植えの植物も高温でなければ降雨だけで育ちます。
水やり頻度・冬
冬の水やりの頻度の目安は、1週間に1回~2回程度です。冬は気温が下がり活発に成長する植物も少ないために、何度も水を与える必要がありません。空気が乾燥するために土の表面だけが乾燥しても、中は湿っている場合もあります。地植えの植物は降雨だけで育ちます。
ボタニ子
根に影響がない場所を小さく掘ってみると土の中の乾き具合がわかりやすいですよ。
タイミング
一般的な植物は、水を与えるのにちょうどよい時間帯があり、季節により少しずつ異なります。土の表面が乾いてしまっても、急がずに適切なタイミングで水を与えましょう。
水やりタイミング・春と秋
春と秋は、午前7時~昼12時の間に水を与えましょう。植物は朝の太陽の光をあびて勢いよく活動を始めるため、朝の時間帯がおすすめです。
水やりタイミング・夏
夏は午前中の7時~10時、午後の3時~6時の間、暗くなるまでに水をやりましょう。夏は植物がたくさん水を吸収して土が乾きがちです。気温が高い時間帯にぐったりして枯れそうな植物はあわてて水やりせずに、日陰の涼しい場所に移動させて少し後で水を与えましょう。
ボタニ子
気温が高い時間帯に水をやると植木鉢や土の中が高温になっているために根を傷めてしまいます。
ボタ爺
高温の植木鉢に水を入れると、根が茹でられたり蒸されたりするのじゃ。
水やりタイミング・冬
冬は午前8時~12時の間に水を与えましょう。夕方まで余分な水分が残らないようにします。朝、土の表面が凍結している場合は、お湯や水をかけると根を傷めてしまうため、土の状態をよく観察して水を与えましょう。
ボタニ子
植木鉢に余分な水分が残ると凍る可能性があります。
注意点
植物の中には、ネモフィラやガザニアなど乾燥を好む植物や湿気に弱い植物があります。乾燥を好む植物は土が完全に乾いてから水を与えるなど、頻度を調節しましょう。また、紫陽花など水切れに弱い植物は、特に夏場の水やりを忘れないように注意します。
ボタニ子
乾燥ぎみに育てるミニトマトやバラなどは、土の乾燥以外に葉が下に向き元気のない状態も水やりの目安になります。
出典:写真AC