家庭菜園で使える緑肥は?おすすめの種類や効果的な使い方を解説!

家庭菜園で使える緑肥は?おすすめの種類や効果的な使い方を解説!

作物を育てて畑にすき込むことで土壌の地力を高め、病害虫にも強い土を作る方法を緑肥といいます。家庭菜園で緑肥を利用すれば、薬剤や肥料の軽減や、自然環境保護の意識向上にも有効です。この記事では、家庭菜園におすすめの緑肥作物の種類や効果的な使い方などを紹介します。

記事の目次

  1. 1.家庭菜園で役立つ緑肥
  2. 2.家庭菜園でおすすめの緑肥作物の種類
  3. 3.家庭菜園での緑肥の効果的な使い方
  4. 4.家庭菜園で緑肥を使う際の注意点
  5. 5.緑肥を効果的に使って家庭菜園を豊かにしよう

家庭菜園で役立つ緑肥

Photo bykrzys16

栽培作物をそのまま土にすき込むことにより、その後に育てる野菜などの栽培にさまざまなよい効果を生みだすことを緑肥といいます。緑肥としての効果を期待して使われる植物は、緑肥作物と呼ばれます。緑肥は土づくりに極めて効果的ですが、効用はそれだけではありません。病害虫の抑制効果や雑草抑制効果なども期待され、有機栽培はもちろん、一般的な家庭菜園でも取り入れられるようになってきました。

肥料や農薬の代わりになるってことかな?効果をもっと知りたいな!

緑肥の効果

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野菜などの作物を栽培すると、土壌は養分のバランスが崩れたり病害虫が増えたりします。このように乱れた土壌を、後作にとってよい土壌に改善するのが緑肥作物です。緑肥作物を栽培し土壌中にすき込むと、有機物が分解され、土壌はよい状態に蘇ります。そのほか連作障害の回避や土壌や肥料分の流失防御など、緑肥の種類によってさまざまな効果が期待できます。

緑肥の主な効果

  • 土壌の微生物が多様化する
  • 窒素養分を供給する
  • 塩類濃度を下げる
  • 連作障害を防止する
  • センチュウ害を防止する
ボタニ子

ボタニ子

使う緑肥作物によって、表れる効果に違いがありますよ。次からは緑肥作物の種類と効果を見ていきましょう!

自分が栽培する野菜に合った緑肥作物を探してみたいな!

家庭菜園でおすすめの緑肥作物の種類

マメ科の緑肥作物の種類

Photo by coniferconifer

マメ科の植物には「窒素固定細菌」と呼ばれる根粒菌が共生しています。窒素固定細菌は、空気中の窒素を摂り込んで栄養分に変えてくれるため、マメ科植物をすき込むことで土壌に窒素を供給できます。

マメ科①ヘアリーベッチ

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ヘアリーベッチは被覆性が高く生育が旺盛なため、手早く雑草の抑制ができます。これによって除草剤を減らしたり、耕起作業を軽減したりする効果も期待されています。さらに、空気中の窒素を固定するため、すき込むことで土壌の地力を高めてくれる作物です。耐寒性が高く低温でも伸長性にすぐれており、秋冬まきに向いています。

種まき適期 10月中旬~下旬
すき込み期 4月中旬~5月上旬

マメ科②クリムソンクローバー

Photo bycareercoachbethany

クリムソンクローバーはストロベリーキャンドルとも呼ばれる、いちごのような花がかわいらしい植物です。緑肥としてだけではなく、景観美化を目的に栽培されていることも多くあります。窒素を固定するため土壌の地力を向上させるほか、ダイズシストセンチュウの被害の抑制を期待される緑肥です。

種まき期 10月中旬〜下旬
すき込み期 4月中旬〜5月上旬

マメ科③クロタラリア

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クロタラリアは、菜の花のような黄色い花が咲く有毒植物です。センチュウの抑制効果が高く、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、ナミイシュクセンチュウ、ダイズシストセンチュウなどに効き目があるとされています。特にサトイモや果菜類などのセンチュウ抑制に適しています。生育旺盛で暑さにも強いことが特徴です。

種まき期 5月~7月下旬
すき込み期 種まき後60~80日後

ボタニ子

ボタニ子

クロタラリアについてもっと知りたい方はこちらの記事をお読みください!

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マメ科④エビスグサ

出典:写真AC

エビスグサはハブ茶の原料にもなっている薬草です。種子は生薬名をケツメイシ(決明子)といい、利尿作用などが謳われる生薬として利用されています。キタネグサレ、ナミイシュク、ユミハリなどのセンチュウの抑制に効果が期待されており、特に大根の前作や、レタスや人参のセンチュウ対策に適している緑肥です。

種まき期 6~8月
すき込み期 8~10月

イネ科の緑肥作物の種類

Photo byPeggychoucair

イネ科の作物には土壌に深く伸びる太い根と、地表面に張りめぐらせる細かい根があります。これらの根が微生物の活動を活発にして土壌の団粒化を促進し、通気性や水きれも改善されるのが特徴です。有機物の量も増え、豊かな土壌に改善してくれます。また、天敵を呼び込んで抱え込む効果もあり、野菜とうまく組み合わせることで害虫を抑制する働きも期待されています。

イネ科➀ライムギ

Photo byFoundry

ライムギは耐寒性が高く、晩秋以降の種まきに大変適しています。防風や防寒、害虫の飛来除けにも効果が期待されます。刈り込む量が多く大変な場合は、敷きわらとして使ってもよいでしょう。害虫対策としてキタネコブセンチュウの抑制にも効果的です。

種まき期 3~5月、9~11月
すき込み期 後作の1カ月前

イネ科②エンバク

Photo byHans

エンバクはオートミールとして食用されるイネ科の作物です。緑肥としてはキスジノミハムシの忌避に効果的ですが、キタネグサレセンチュウを抑制する働きもあります。初期生育が早く雑草繁殖を防止する効果があるほか、多量の有機物が入り込み、豊かな土壌づくりに役立ちます。エンバクの緑肥としての効果を多く得るためには、穂が出ないうちにすき込むことが大切です。

種まき期 8月下旬~10月下旬
すき込み期 種まき後50~60日後

イネ科③ソルゴー

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ソルゴーは、根が土壌の深くまで張るため、透水性と排水性の向上が期待できる作物です。ナスの天敵のすみかとして有効であることから、ソルゴーはナス畝の周囲でよく栽培されています。また、サツマイモネコブセンチュウやキタネコブセンチュウを抑制する働きも期待されます。

種まき期 5~8月
すき込み期 後作の1カ月前

ボタニ子

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イネ科④オオムギ

オオムギはリビングマルチとして使えるため、刈り取りの必要がありません。初期生育が早く、畝の通路に植えることで雑草を素早く予防します。夏は地温を下げるため、栽培作物の生育向上にもつながります。ダイズやネギ、ナス、オクラ、キュウリなどの畝の間に適していますが、中でもネギにくるアザミウマの除去に効果的とされている作物です。

種まき期 4~7月
すき込み期 刈り取らないため必要なし

ボタニ子

ボタニ子

リビングマルチとは、植物でマルチングすることです。雑草の抑制や害虫密度を抑制することに効果的です!

キク科の緑肥作物の種類

Photo bycongerdesign

キク科の緑肥は窒素やリンの供給、センチュウの繁殖を抑制することなどに効果的とされています。また花の美しさを生かして、休耕期の景観美化に活用しているところも多く見られます。

キク科➀マリーゴールド

Photo byBru-nO

マリーゴールドはかわいらしいオレンジ色の花が魅力的ですが、コンパニオンプランツやセンチュウ対抗植物としても知られています。生育期間中に根から分泌される物質によって、ネコブセンチュウやネグサレセンチュウなどの密度の抑制が期待されています。土壌の40cmほどの深さまで効果があるとされ、センチュウ対抗植物のなかでもおすすめの植物です。また、美しい花は景観美化としても適しています。

種まき期 5~7月
すき込み期 種まき後90日前後

ボタニ子

ボタニ子

マリーゴールドの虫除け効果を詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ!

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キク科②ヒマワリ

フリー写真素材ぱくたそ

ヒマワリは土壌の地力を高めると同時に、景観美化にも適しています。初期生育が旺盛で土壌を広く覆うため、雑草の繁殖も抑えられます。また土壌中の菌根菌を増やし、後作のリン酸の吸収を高めることにも効果的とされる作物です。

種まき期 5月上旬〜8月中旬
すき込み期 種まき後80日程度

ボタニ子

ボタニ子

次のページで緑肥の使い方を見ていきましょう!

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家庭菜園での緑肥の効果的な使い方

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