木虫籠(きむすこ)とは?構造や魅力を紹介!目隠しフェンスにもなる?

木虫籠(きむすこ)とは?構造や魅力を紹介!目隠しフェンスにもなる?

木虫籠(きむすこ)は格子の一種で、家の中からは外が見えるのに、外からは家の中が見えません。この記事では木虫籠の構造や作り方を解説しながら、なぜ見え方が家の外と中で違うのか解説します。小京都と呼ばれる金沢の茶屋街の暮らしを想像しながら木虫籠の魅力に迫りましょう。

記事の目次

  1. 1.木虫籠(きむすこ)とは
  2. 2.木虫籠の特徴と魅力
  3. 3.木虫籠の構造と原理
  4. 4.木虫籠の技術が生かされたフェンス
  5. 5.金沢の茶屋町を訪れたら木虫籠を探してみよう

木虫籠(きむすこ)とは

木虫籠は、「きむすこ」や「きむしこ」と呼ばれる金沢の町屋特有の格子のことをいいます。格子の意味は「木材を周期的に並べた区切りや仕切り」です。町屋の格子は通りを歩く人からの視線を遮ったり、公共の場とプライベートな場を区切ったりするものとして使われてきました。京都の町屋街などでは、格子の構造でその店がどんな商売をしているのかがわかります。

木虫籠の意味と由来

木虫籠の意味は文字どおり「虫籠」のような格子です。木虫籠は細い格子を組み合わせた構造ですが、ホタルや鈴虫をいれて楽しんだ虫籠(むしかご)の構造によく似ています。細く繊細な木を組み合わせ、内と外の空間を区切るものという意味でどちらも「籠」という字があてがわれたのでしょう。木虫籠にはインドのベンガル地方の赤色顔料が用いられていたことから、「弁柄(紅殻)格子」(べんがらごうし)とも呼ばれます。

木虫籠を見るなら金沢「ひがし茶屋街」へ

本物の木虫籠が見たいのであれば、金沢の「ひがし茶屋街」を訪れましょう。ひがし茶屋街は「重要伝統的建造物群保存地区」にも指定されており、茶屋街で登録を受けたのは京都に続いて2例目です。ひがし茶屋街のなかでも昔ながらの木虫籠が残された町屋はわずかといわれています。木虫籠を探しながら街歩きを楽しみましょう。

木虫籠の特徴と魅力

特徴と魅力①おしゃれで洗練された格子

木虫籠は家や店の中にいる人の気配を感じさせながらも、ゆるやかに空間を仕切るおしゃれな格子として近年改めて注目されています。木虫籠特有の朱色は色あせても美しく、夜の明かりに照らされるしっとりと趣のあるおしゃれな表情は観光客に人気です。

特徴と魅力②プライバシー保護と防犯を両立

木虫籠は、「外から」の視線は遮り、「中から」は外が見えるようになっています。外の通りから家の中が丸見えではプライバシーは保護されません。また、外からの視線をすべて遮ってしまうと防犯性や快適性が下がってしまいます。プライバシー保護と防犯性という両立しづらい問題を、合理的な構造と美しいデザインで見事解決した格子が木虫籠なのです。

芸妓がお客の浮気を見張っていた

木虫籠には、芸妓がお客を見張るための役目もありました。茶屋街は芸妓とお客の街でもあります。木虫籠の内側では、芸妓が支度しながら自分のお客がほかの店へ浮気してしまわないように見張っていました。木虫籠がいかに外が見えやすく、中が見えにくい構造であるかが想像できるでしょう。芸妓とお客を隔てるものに「木虫籠」と名付けたことにも、夜の街の艶やかさを感じさせますね。

ボタニ子

ボタニ子

ところで外からは中が見えないのに、中からは外が見えるのはなぜなんでしょう。

ボタ爺

ボタ爺

その疑問を解決するには木虫籠の構造と原理を知ることが必要じゃの!

木虫籠の構造と原理

構造【等脚台形の竪子】

出典:筆者作成

木虫籠の構造は、竪子(たてご)と呼ばれる細い木の板が縦に等間隔で並んでできています。正面から見れば細い長方形が並んだ格子に見えますが、木虫籠の竪子は断面が長方形ではなく等脚台形です。等脚台形を用いたことが木虫籠の作り方の特徴です。台形の竪子を並べることで家の中からは台形の短辺からなる格子に、家の外からは台形の長辺からなる格子となります。

寸法【一間幅に70本以上】

木虫籠に使われる竪子の正式な寸法は、短辺6mm、長辺15mm、高さ8mmの台形が基本です。竪子と竪子の間隔は6mmで、ほかの格子を思い浮かべてもかなり狭い間隔であることが想像できるでしょう。一間幅(1.8m)に70本以上の竪子が並ぶ計算です。狭い間隔で竪子を並べることで、外からの視線を物理的に遮り、光量調節の役割も担います。

原理【光の量を調節する】

出典:著者作成

中と外で見える景色が変わる木虫籠の原理は「光の調節」です。格子の断面を台形にすると、画像のように格子の間を抜ける光の量が内と外で変わります。人は、暗い場所から明るい場所を見ると光がまっすぐ目に届きすぎて、うまく見えません。木虫籠の台形の構造は、外からの光をうまく分散させ、やわらかに人の目に届けるので家の中から外の景色が見えます。

木虫籠の技術が生かされたフェンス

古民家や町屋に取り付けられた昔からの木虫籠というのは、減少の一途をたどっており、金沢の茶屋街でも数えるほどしか残されていません。しかし、おしゃれで合理的な構造を持つ木虫籠は現代建築でも目隠しフェンスとして活用されています。ガルバリウム鋼板といった現代家屋に人気の素材との相性もよく、これから要注目の建材でしょう。古民家カフェなどにも取り入れられていますよ。

【リクシル】Gスクリーン木虫籠タイプ

Gスクリーン木虫籠(きむすこ)タイプ

参考価格: 131,674円

出典: 楽天
楽天131,674円

さまざまな建築部材を取り扱う大手メーカーリクシルからも、木虫籠の構造を取り入れたフェンスが販売されています。ゆるやかに空間を仕切り、視界を邪魔しない現代の木虫籠としてカラーバリエーションも豊富に展開中です。

おすすめ度★★★☆☆
カラーバリエーション柿渋、クリエベール、クリエラスク、クリエモカ、クリエダーク
ボタニ子

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目隠しフェンスは圧迫感がなく、おしゃれなものを選びたいですね。人気の目隠しフェンスについての記事はこちらからどうぞ。

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金沢の茶屋町を訪れたら木虫籠を探してみよう

木虫籠の誕生には茶屋街の人間模様が深くかかわっており、当時の人々の暮らしぶりが想像できますね。昔ながらの木虫籠は数を減らしていますが、形を変えながら現代の暮らしに新しく取り込まれていることからも、いかに木虫籠が合理的な構造であるかがうかがえるでしょう。ゆるやかに空間を区切りながらプライバシーを守る木虫籠は、現代の暮らしにこそ求められているものかもしれませんね。

ricebridgarden
ライター

ricebridgarden

庭いじり、家庭菜園、DIYが大好きな主婦です。庭にキジがきたり、近くにはムササビもいるような田舎に暮らしています。3歳の娘と一緒に庭づくりを楽しんでいます。

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