こんにゃく芋の栽培④管理
植え付け後のこんにゃく芋は、敷きワラを敷いて管理しましょう。敷きワラを使うと急激な温度の変化が抑えられますし、適度に保湿しながら土の乾燥を防ぐため、病気や害虫を予防できます。そのうえで種芋の成長を促すには、肥料と収穫後の保存・貯蔵のやり方に注意が必要です。
肥料
種芋を大きく育てるには肥料を施すのではなく、土壌の改良が重要です。よい土には成長に必要な栄養が十分に含まれるので、植え付け後に積極的な追肥の必要がありません。ただし、栽培中期になると土壌の窒素が不足しがちになるので、追肥用の肥料は窒素成分の多いものを使いましょう。
収穫
こんにゃく芋の収穫は、10月中旬の天気のよい日に行います。これは収穫後に直射日光に半日あてて乾燥させるためで、貯蔵期間中の病気予防のためにも重要なポイントです。乾燥させた種芋は貯蔵に適した場所に移動させ、翌年の植え付けまで保存します。その際は貯蔵場所の温度管理に気をつけましょう。
こんにゃく芋の栽培⑤増やし方
こんにゃく芋の増やし方のコツは「種芋に効率よく生子をつけること」です。生子は種芋が成長するとその上につきます。そのため増やし方のポイントは「生子がつきやすいように種芋を大きく育てる」ことです。ちなみに種芋が小さいと生子はできないので、「大きな種芋を育てる=こんにゃく芋の上手な増やし方」といえます。
こんにゃく芋の栽培⑥病気対策
年数をかけて種芋を大きく育てるこんにゃく芋は、降雨が集中する初夏~夏にかけて病気が発生しやすいです。主な病気の原因菌はカビです。原因菌によっては感染力が強く、農薬の効果がでにくい病気もあります。特に風雨感染・土壌感染する病気には要注意です。
乾腐病(かんぷびょう)
発生の原因 | 糸状菌(カビの一種) |
症状 | 表面にひびが入る/内部がスポンジ状になる |
発生しやすい時期 | 生育後期~収穫、保存期間 |
農薬の効果は?
こんにゃく芋の乾腐病には、発症後でも使用できる農薬があります。乾腐病の原因は土壌及び植物に付着したカビ菌なので、消毒効果のある農薬がおすすめです。ただし散布する場合は畑全体に行う必要があるので、一般的に水和剤タイプの農薬を使います。
白絹病(しらきぬびょう)
発生の原因 | 地表面に付着する糸状菌(カビの一種) |
症状 | 根元に白い絹糸状のカビ核が発生/症状が深刻化すると株が倒伏 |
発生しやすい時期 | 7~8月 |
農薬の効果は?
カビ菌が原因の白絹病は、発生してから農薬を使っても効果はほとんどありません。そのため農薬は白絹病の予防に使います。ちなみに少量のこんにゃく芋栽培の場合は、農薬を使わなくても「土壌を入れ替える」「土壌の酸性度を調整する」などでも対応可能です。
腐敗病
発生の原因 | 細菌 |
症状 | 葉に褐色斑点/葉柄基部が腐ると株が倒伏/種芋の腐敗 |
発生しやすい時期 | 8~9月 |
農薬の効果は?
腐敗病は雨風・土壌感染をおこすため、同じ畑に感染したこんにゃく芋がいると畑全体に感染が広がります。しかも症状が発生してから農薬を使っても、ほとんど効果がありません。農薬を使う場合は、病気予防のために土壌消毒用の農薬がおすすめです。
病気と連作障害の関係
こんにゃく芋を栽培しても、連作障害は起こりません。こんにゃく芋に発生しやすい病気の多くは、菌の繁殖や土壌によって連作障害に似た症状をおこしますが、病気と連作障害に直接関係はありません。ただし、増やし方や種芋の品質と関係するので、適切な処置が必要です。
こんにゃく芋の栽培⑦害虫対策
こんにゃく芋に寄生する害虫は、アオムシ(チョウ目の幼虫)です。アオムシは体の成長に比例して食べる量も増えるため、食害がみられると種芋の生育にも影響します。アオムシは葉のみを食べますが、葉の光合成によって作られた栄養が種芋を成長させるので、発見したら早めに駆除しましょう。
セスジスズメ
発生しやすい時期 | 7~8月中旬/9~10月 |
主な被害 | 幼虫による葉の食害 |
ハスモンヨトウ
発生しやすい時期 | 8~9月 |
主な被害 | 幼虫による葉の食害 |
まとめ
こんにゃく芋の栽培は、土づくりから収穫後の管理まで細かなコツが必要です。増やし方も一般的なイモ類の増やし方と違いますし、食べられる大きさまで育てるには平均3年かかります。こんにゃく芋は収穫までの栽培期間が長いですが、その分ゆっくりと経験を積んでいけるところは、ほかの野菜作りにはない魅力です。
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