菊芋茶を健康に役立てよう
菊芋茶は、健康的な生活を送る手助けをしてくれるお茶です。「菊芋」と呼ばれる野菜に含まれている成分が美容と健康に効果的といわれ人気を集めています。しかし、あまり一般的に知られた野菜ではないため、どのような味がするお茶なのか想像がつかない方も多いかもしれません。菊芋茶は飲むタイミングによって体への効果が変わります。正しい飲み方を知り、食生活に取り入れてみましょう。
菊芋茶とはどのようなお茶?
菊芋茶は、菊芋から作るお茶です。菊芋は、キク科ヒマワリ属に分類される多年草で肥大した根を食べます。江戸時代末期に北アメリカから家畜の飼料として導入され「豚いも」とも呼ばれていました。菊芋の開花時期は9~10月、花径10cmほどの菊のような黄色い花を咲かせます。滋養のある野菜として山形県、長野県、岡山県、熊本県などを中心に栽培されています。
原材料
菊芋茶の原材料は、菊芋の「塊茎(かいけい)」です。菊芋の塊茎は、土の中に作られる生姜のような形をした根の部分を指します。収穫時期は11~3月です。花が枯れた後に地中に塊茎ができるため、11月以降に掘り出されます。一度植え付けると毎年収穫できますが、繁殖力が強いため野生化しないように注意が必要です。生のものより、健康食品として乾燥したり粉末にしたりして加工販売されています。
塊茎とは?
塊茎は、地下茎の一部が養分を蓄えて肥大化したものです。じゃがいも、こんにゃく芋などが塊茎の代表的な仲間です。
菊芋の品種
菊芋の品種は、白色種と紫色種の2つです。全体に薄い黄褐色で芽の部分だけが紫色のタイプを「白色種」といい、全体に紫色をしているタイプを「紫色種」といいます。紫色種は「フランス菊芋」の別名でも呼ばれ、白色種よりもやや大きいのが特徴です。また外皮の色が違うだけではなく、含まれているポリフェノールやイヌリンの量が異なります。
菊芋茶の栄養と効果・効能
菊芋は、地中で成長するあいだにビタミンやミネラル、ポリフェノールなど人間の体に必要な栄養素をたっぷり蓄えているスーパーフードです。特に主成分である水溶性食物繊維「イヌリン」が、摂りすぎた糖を体内で掃除してくれるため、さまざまな効能が期待できるとされています。
効果・効能①便秘を解消する
イヌリンは、水分を含むとゲル状に変化する水溶性食物繊維です。菊芋茶を飲むと、イヌリンが腸内に運ばれ善玉菌を増やし悪玉菌を減らす働きをします。腸内の余分な汚れをすっきり吸収するため、便秘の解消が期待できるでしょう。また、腸内で膨らむ効果もあり、少量の食事でも満腹感が得られます。腸内環境が整えられ食べ過ぎも抑えられるため、ダイエットをしている方にもおすすめです。
効果・効能②血糖値の急上昇を抑える
菊芋の主成分であるイヌリンは、「天然のインスリン」といわれるほど、糖質の吸収を抑える働きがあるとされています。食後の血糖値上昇を緩やかにしてくれる効果が期待できるでしょう。菊芋は「芋」と名前につきますが、キク科の野菜で澱粉(でんぷん)をほとんど含んでいません。澱粉が少ないため、低カロリーで糖質制限におすすめの野菜といえます。
効果・効能③血圧の上昇を抑える
菊芋には、カリウムが豊富に含まれています。利尿作用があるカリウムは、むくみを解消する働きがあるほか、血圧の上昇を抑える働きがあるといわれています。血圧の高さを気にされている方や、日頃から塩分の多い食事されている方は、菊芋茶を少しずつ取り入れてみてはいかがでしょう。
効果・効能④免疫力が上がる
菊芋茶による腸内環境の改善は、免疫力が上がり新陳代謝の促進にも繋がるといわれています。免疫力がつくと風邪の予防やアレルギーの改善が期待できるでしょう。妊娠中や授乳中で市販薬が飲めない方も、菊芋茶を飲み続けることで風邪を未然に防ぐ効果が得られるとされています。
菊芋茶の副作用
菊芋茶は、飲み過ぎると胃に負担がかかり体調を崩す場合があります。菊芋茶に含まれているイヌリンは食物繊維の一種であり、適量であれば健康によいものです。しかし過剰に摂取すると下痢や腹痛、下痢によるミネラル欠乏症を引き起こすといわれています。効果を期待しすぎて副作用が出ては意味がありません。1日に飲む目安量は500~600mLです。食事前に少しずつ飲むとよいでしょう。
菊芋茶の効果的な飲み方
菊芋茶とは、乾燥させた菊芋を細かく砕いたお茶です。緑茶や紅茶のように葉を使ったお茶とは異なり、菊芋そのものを乾燥させて作られています。クセがなく、ほんのりした甘みがあり飲みやすいのが特徴です。菊芋は、生のままスーパーや八百屋など店頭で販売されることは、ほとんどありません。お茶にして販売されているものを、ルピシアなどお茶専門店や健康食品店から購入しましょう。
おいしい菊芋茶の淹れ方
菊芋茶は、ティーバッグ1袋を急須やティーポットに入れて熱湯を注いで作ります。10分ほど置くと黄金色のお茶ができます。菊芋茶の成分をしっかり摂りたい場合は、煮出して飲みましょう。やかんにティーバッグを入れて湯を沸かし、弱火で5分ほど煮出せばできあがりです。しばらく放置しても苦味やえぐ味がなく、おいしい状態を保てるのが菊芋茶の特徴です。
ボタニ子
ティーバッグの数や湯の量を調節して、自分好みの濃さを見つけましょう!
おすすめの飲み方
菊芋茶は、クセがなく飲みやすいお茶です。牛乳を混ぜてラテ風にしたり、ほかのお茶と混ぜたりしてアレンジしてもおいしく飲めます。どくだみ茶のような味と香りの強いお茶よりも、はと麦茶や玄米茶と混ぜるのがおすすめです。菊芋茶を少し薄めに煮出して好みのブレンドを楽しみましょう。
菊芋茶を飲むタイミング
菊芋茶を飲むタイミングは、食事前か食事中がおすすめです。食後に飲む場合は、食後30分以内に飲みましょう。食事前に食物繊維をしっかり摂取することで、食後の血糖値上昇が緩やかになり、腹持ちもよいため食べ過ぎを防げます。初めはコップ1杯(約200mL)を一日3回に分けて飲み、腸の様子をみて飲む量や回数を増やします。体が慣れてきたら、普段のお茶を菊芋茶に変えて飲み続けましょう。
家庭で作る菊芋茶
菊芋茶の作り方は簡単です。生の菊芋は、道の駅や自然食品店などで販売されていますが、流通量が少ないため家庭で菊芋茶を作る場合は、菊芋を栽培することから始めます。生命力が強く、放っておくとどんどん増えていくため、初めて栽培するときはプランター栽培がおすすめです。新鮮な菊芋を使ってお茶を作ってみましょう。
菊芋茶の作り方
菊芋茶は、生の菊芋を乾燥させて作ります。ほかの材料は必要ありません。薄く切った菊芋をしっかり天日干しすると甘味が増しておいしいお茶ができあがります。自家製の菊芋茶は、湿気が入らないように密封容器に入れて保存します。淹れた後は、冷蔵庫で冷やして早めに飲み切りましょう。
手順
- 菊芋をたわしでよく洗う
- 菊芋を皮ごと薄くスライスして水に約10分浸す
- 竹ざるに広げて2~3日そのまま天日干しにする
- 水分が抜けて乾燥したらフライパンで乾煎りする
- カラカラに乾燥した菊芋を急須に入れ熱湯を注ぐ
- 5分ほど置いてから飲む
菊芋茶を食生活に取り入れよう!
菊芋茶は、クセのない飲みやすい健康茶です。余分な糖質や脂質を排出する働きがあり、腸内環境を改善し体を内側から整えられます。ほかのお茶や牛乳とブレンドできる点も飽きずに飲み続けられるポイントです。体にやさしい菊芋茶を食生活に取り入れてみましょう。
出典:写真AC