ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)とは?植物としての特徴と育て方を解説!

ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)とは?植物としての特徴と育て方を解説!

ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)は、真夏に長い花茎を伸ばし鮮やかなオレンジ色の花を咲かせる球根植物です。とても丈夫で育つ場所や土質を選ばず、野生化して群生しているところもあります。ヒメヒオウギズイセンの植物としての特徴や育て方を紹介します。

記事の目次

  1. 1.ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)とは
  2. 2.ヒメヒオウギズイセンの特徴
  3. 3.ヒメヒオウギズイセンの育て方
  4. 4.ヒメヒオウギズイセンの品種
  5. 5.まとめ

ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)とは

出典:写真AC

ヒメヒオウギズイセンとは6月〜8月に鮮やかなオレンジ色の花を咲かせる球根植物です。とても丈夫で日当たりが悪くても土地を選ばず、肥料がなくても増えるため、野生化して群生しているところも多くあります。

基本情報

Photo by cricketsblog

名称 ヒメヒオウギズイセン
別名 クロコスミア、モントブレチア
学名 Crocosmia
分類 アヤメ科クロコスミア属 球根植物 多年草
原産地 南アフリカ

ヒメヒオウギズイセンは、明治時代中期に園芸用として日本に渡来しました。ヒメヒオウギズイセンはヨーロッパで作られたヒオウギズイセンとヒメトウショウブの交配種の球根植物です。庭植えや公園などで利用されます。植えっぱなしの簡単な管理でもよく増えるため、多年草のように育てられます。

名前の由来

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ヒメヒオウギズイセンは漢字で「姫檜扇水仙」と書きます。一般的に植物に名付けられる「姫」とは小さいという意味です。「檜扇」とは昔、宮中で用いられた檜で作られた扇のことです。「ヒオウギ」の名前は、葉の形がこの檜扇に似ていることに由来するといわれていますよ。また水仙の花に似ていることや球根植物であることから「水仙」の名前がつきましたが、水仙とは分類の違う植物です。

間違えやすい名前の植物

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インターネットなどで「ヒメヒオウギズイセン」を検索すると、同じような名前で種類の違う植物や、違う植物なのに「ヒメヒオウギズイセン」として出てきます。間違えないように、それぞれどのような植物なのか、特徴とともに見ていきましょう。

檜扇水仙(ヒオウギスイセン)

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名称 ヒオウギズイセン(檜扇水仙) ヒオウギ(檜扇) 
分類 アヤメ科 常緑多年草
原産地 日本 東アジア

ヒオウギズイセンは「ヒオウギ(檜扇)」とも呼ばれる日本原産の植物です。ヒメヒオウギズイセンと同じオレンジ色の花を夏の7月〜8月に咲かせます。黄色や白い花のものもあります。花に斑点の模様があるものがヒオウギズイセンです。5mmくらいの黒い種子が花後にでき、これを「ヌバ玉」と呼びます。この「ヌバ玉」は、和歌では夜や黒、月にかかる枕詞でもあります。

上はヒオウギズイセンです。ヒメヒオウギズイセンとヒオウギズイセンはどちらにも「檜扇」とつきますが、より檜扇らしい葉の形状をしているのはヒオウギズイセンです。葉は重なって育ち扇状になります。その形状を生かして生花の素材として使われます。

上の画像はヒメヒオウギズイセンです。葉の形状は細長く剣状です。

姫檜扇(ヒメヒオウギ)

出典:写真AC

名称 ヒメヒオウギ(ヒメヒオウギアヤメ)
分類 アヤメ科フリージア属 球根植物 多年草
原産地 南アフリカ

ヒメヒオウギは南アフリカ原産のフリージア属の植物です。名前に「ヒオウギ」と付きますがヒオウギ属ではありません。花色は濃いピンクや白で6枚の花弁のうち、3枚の付け根のところに濃い色が入ります。「ヒメヒオウギアヤメ」と呼ばれることもあります。

ヒメヒオウギズイセンの特徴

出典:写真AC

葉の特徴

ヒメヒオウギズイセンの葉は濃い緑色で、長さが30cm〜80cmくらい、幅が1cm〜2cmの細長い剣状です。中央に太い中央脈があるのが特徴です。

花の特徴

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花茎が先のほうで3~5本くらいに分枝し、たくさんの花をつけて根元に近いほうから順番に鮮やかなオレンジ色の花を咲かせます。花びらは6枚に見えますが、根元のほうでラッパのようにくっついていて独立していません。雄しべは3本、雌しべは1本ですが先端は3つに裂けています。

花の香り

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ヒメヒオウギズイセンの別名「クロコスミア」とはギリシア語で「サフランの香り」を意味します。乾燥させた花をお湯に浸すとサフランに似た香りがするとして、この名前で呼ばれます。

クロコスミアベリー

花屋で販売されている「クロコスミアベリー」とはヒメヒオウギズイセンの花の終わった後の実をつけた花茎です。フラワーアレンジメントで使用されます。

球根の特徴

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ヒメヒオウギズイセンの球根(球茎)は、地下茎の先端に付きます。1cm〜3cmくらいと小さめです。地下茎の先端に1年に1個ずつ球根は増え、その球根が3年〜4年は残るため多年草のように育てられます。

増えすぎの弊害

ヒメヒオウギズイセンは土質を選ばず、丈夫に育つため、全世界で野生化しています。佐賀県では移入規制種(外来種)の指定を受けており、栽培する、種子をまくなどの栽培が条例で禁止されています。自宅で育てる場合には、自治体の情報を確認するとよいでしょう。

ヒメヒオウギズイセンの育て方

出典:写真AC

育て方①栽培環境

ヒメヒオウギズイセンは日当たりと風通しのよい場所で育てましょう。しかし、とても丈夫な植物のため、多少日当たりの悪い大木の下でも花付きが悪くなるくらいで枯れることはありません。耐寒性は弱いのですが、凍らなければ屋外で冬越しできます。

育て方②用土・植え付け

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ヒメヒオウギズイセンは特に土質にこだわらなくても問題ありません。しかし、より元気に育てるなら市販されている草花用の配合土で育ててください。庭植えするならば、掘り返した土に腐葉土を少し混ぜて使うのもよいでしょう。水はけのよい状態にするのがポイントです。植え付けは球根の間隔15cm、深さは10cmくらいで植えましょう。鉢植えの場合は深さ5cmくらいで植えます。

育て方③水やり

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庭植えの水やりは、自然に任せておきます。夏場に乾燥するようなら水やりをします。また暑い日が続く場合は、夕方葉水を与えるようにしましょう。鉢植えの場合は乾燥したら、その都度水やりします。真夏には葉水を与えてください。

育て方④肥料

庭植えの場合は、特に必要ではありません。与えると葉ばかりが茂ることもあります。ヒメオウギズイセンが弱っていて肥料を与えたい場合は、少量の緩効性肥料を貼るに根元に置きます。鉢植えの場合も、春に緩効性の固形肥料を与えてくださいね。

育て方⑤増やし方

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庭植えの増やし方

ヒメヒオウギズイセンは地下茎を伸ばし、その先端に球根(球茎)をつくります。植えたままにしておいても、毎年増えて群生していくため、庭植えの場合はどんどん増やせます。別の場所に移植する増やし方をする場合は2月か3月に掘り上げ、地下茎にできた大きめの球根を分球して植え付けてください。

鉢植えの増やし方

ヒメヒオウギズイセンの鉢植えは株が混んでくると、花が咲かなくなり、全体的に生育が悪くなります。そんなときは、株分けして増やしましょう。休眠期、鉢から掘り上げて球根を間引くか、大きい球根を選び、別の鉢に植えつけます。生育が旺盛のため、鉢植えは1年〜2年ごとに株分けして植え直します。

ヒメヒオウギズイセンの品種

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ヒオウギズイセンには園芸品種が多数あります。クロコスミアやモントブレチアと呼ばれていますよ。どの品種も丈夫で管理のしやすい美しい花です。同じ仲間ですが、それぞれ違う特徴が見られます。

クロコスミアエミリーマッケンジー

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クロコスミアエミリーマッケンジーは、オレンジ色の花の中心部に赤いリング状の模様が入る品種です。開花時期は6月〜7月で草丈が40cm〜60cmくらいに育ちます。

クロコスミアルシファー

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真っ赤な花が鮮やかなクロコスミアルシファーは草丈が80cmくらいに育つ大型の品種です。ヒメヒオウギズイセンと同様に丈夫で育てやすくよく増えます。開花時期は6月〜7月です。

クロコスミアソルファタラ

クロコスミアソルファタラは花色が濃い黄色です。開花時期は7月〜8月で草丈が40cm〜50cmくらいに育ちます。葉の一部の葉色がややくすんでいて銅葉になります。

まとめ

Photo by houroumono

ヒメヒオウギズイセンはとても丈夫な球根植物です。ガーデニング初心者にも簡単に育てられ、日当たりの悪い半日陰や乾燥気味の土地でもどんどん増えて群生します。水やりや施肥など管理の行き届かない場所でも鮮やかなオレンジの花を咲かせて楽しませてくれます。ヒメヒオウギズイセンを庭やプランターで育ててみましょう。

green baggage
ライター

green baggage

マンションのベランダでミニ盆栽を20数年育てています。日本の春夏秋冬のイメージが地球温暖化で変わってきていると実感しています。そんな状況を乗り越え一緒に年月を過ごしてきた盆栽たちは人生の伴走者と思えます!

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