バイモとは
バイモは、中国が原産のユリ科の植物です。中央アジア~地中海沿岸部を中心に多く分布しており、日本でも自生する姿が見られますが、そのほとんどは絶滅危惧種に指定されています。原産国の中国では、乾燥させたバイモの茎が咳止めに効果があるとされ、薬用植物として栽培されています。
基本情報
科目 | ユリ科バイモ属 |
形態 | 多年草 |
草丈 | 30~60cm |
花の色 | 淡い緑色、赤色 |
耐暑性 | やや弱い |
耐寒性 | やや弱い |
学名 | Fritillaria thunbergii |
別名 | アミガサユリ、バイモユリ |
原産国 | 中国 |
特徴
バイモは3月頃に、真っ直ぐに伸びた茎の先にベルの形に似た花を咲かせます。花の大きさは4cmほどで、色は赤色または淡い緑色をしていて網模様が特徴的です。葉は細長い針のような形状をしており、先端がくるりと内側に巻いています。
ボタニ子
名前の由来
バイモは中国語の読み方に由来し、漢字では「貝母」と書きます。これはバイモの根が、母貝が子貝を抱いている姿に似ているからといわれています。また、別名の「アミガサユリ」は、花に網模様ができることからつけられました。学名の「Fritillaria」は、ラテン語で筒の意味があり、花が筒状に見えることが由来です。
花言葉
バイモの花言葉は「謙虚」「努力」「才能」「威厳」「人を喜ばせる」「凛とした姿」です。花言葉の「謙虚」は、バイモの花が下を向いて咲く姿に由来しています。また、「努力」や「才能」の花言葉は、バイモの根が薬として用いられることが由来です。
バイモの育て方
バイモは、環境の変化に弱くとても繊細な植物なので、育て方のポイントをおさえて丁寧に管理してください。とくに夏の暑さが苦手なので、夏越しを成功させることがカギになります。バイモは地植え・鉢植えどちらでも栽培できますが、初心者には環境にあわせて移動させやすい鉢植えがおすすめですよ。
栽培カレンダー
バイモは夏に休眠期を迎え、秋が近づくと再び成長をはじめます。植え付けや植え替えは、成長をはじめる秋に行いましょう。
育て方①栽培環境
バイモは、日当たりがよい場所で栽培管理してください。しかし、夏の暑さが苦手なので、夏は明るい日陰に移動させましょう。また、湿気に弱くジメジメしていると株が腐る可能性があります。風通しがよいことも大切です。
育て方②用土
用土は、鹿沼土または赤玉土に、腐葉土と川砂を混ぜて水はけのよい土を作ります。配合の割合は4:3:3がよいでしょう。鉢植えには、山野草または球根植物用の培養土が便利です。
育て方③植え付け
バイモは栄養状態がよい土質を好みます。植え付ける2週間ほど前に堆肥を混ぜて、土作りをしてください。地植えの場合は10cmほど間隔をあけて植え付けていきます。鉢植えは2~3cmの深さに球根を植え付けましょう。鉢に入れる球根の量は、6号サイズに5球が目安です。
ボタニ子
植え付けは9月または10月に行いましょう!
育て方④水やり
バイモは、春~夏にかけて水切れしないように気をつけて管理します。春と秋は朝に1回ですが、気温が上がりやすい夏は、朝と夕の2回水やりを行うとよいでしょう。しかし、バイモは多湿を嫌うので、水のやりすぎには注意が必要です。冬は多くの水は必要ありません。1週間に1回を目安に、土の表面が完全に乾いてから水やりをしてください。
育て方⑤肥料
肥料は、花後に緩効性化成肥料を少量与えます。鉢植えには液体肥料もおすすめです。液体肥料は、1か月に2回を目安に、葉が枯れるまで与えてください。
育て方⑥病気対策
バイモは病気に強い性質を持っていますが、水はけが悪いと根腐れや球根が腐る可能性があります。栽培環境には注意してください。土の水分量が多くなる梅雨時期は、軒下に移動させるなど雨よけの対策をしましょう。
育て方⑦害虫対策
バイモは、アブラムシやナメクジがつきやすいです。発見次第、薬剤などで退治してください。アブラムシは春~秋にかけて、ナメクジはジメジメしている環境で発生しやすい傾向があります。風通しが悪くないかなど、栽培環境を見直すことも大切です。
バイモの管理ポイント
ポイント①植え替え
バイモは地植え・鉢植えともに植えっぱなしにしておくと、生育不良を起こす可能性があるため、2年に1回植え替えをしてください。植え替えは、休眠期~目覚める秋頃がベストタイミングです。植え替えと同時に、株分けするのもよいですね。
ポイント②夏越し
バイモは暑さが苦手です。鉢植えの場合、夏の間は涼しい日陰に移動させて管理してください。室内に取り込むのもおすすめです。室内で管理する場合は、エアコンの風が直接当たらないように置き場所に気をつけてください。地植えの場合は、球根を掘り出して涼しい場所で保管するとよいでしょう。鉢植えは球根を掘り出さなくても大丈夫ですよ。
球根の保存方法
掘り出した球根は、ついている土を払い落としてから、バーミキュライトまたはピートモスと一緒に袋に入れて冷暗所で保存します。球根を掘り出す時期は、花後に黄色くなり枯れはじめた頃を目安にするとよいですよ。
ポイント③冬越し
バイモは冬の寒さには強いですが、霜や雪にあたると枯れる可能性があります。軒下に移動させるなど、霜よけの対策をするとよいでしょう。また、土が凍ってしまうことでも枯れる場合があります。株元をマルチングで保護するのも効果的ですよ。
ポイント④増やし方
株分け
バイモは株分けで増やせます。植え替えのときに、株分けをするのがおすすめです。親株についている小さな株を丁寧に取り分けたら、バーミキュライトまたはピートモスと一緒に袋に入れて冷暗所で保存しておき、秋になったら土に植え付けてください。
バイモの種類
中央アジアを中心に多く分布しているバイモは、世界中の数をあわせると、およそ130種類といわれています。そのうちのいくつかは日本でも見られますが、中には絶滅危惧種に指定されているものもあります。バイモを見つけても、抜き取らずに見守ってくださいね。
種類①クロユリ
クロユリは、千島列島やサハリンを中心に自生しています。北国に生息しているものはエゾクロユリ、本州の高山地帯で見られるものはミヤマクロユリといわれ、染色体の数に違いがあるとされています。花の色が黒く見えることが、名前の由来です。
種類②ヨウラクユリ
ヨウラクユリは、黄色または赤褐色の花色が特徴的な種類です。うつむいて咲く姿が、仏具の「瓔珞(ようらく)」に似ていることから名づけられました。ほかにも「オウカンユリ」などの別名を持っています。暑さに弱いため、北海道などの寒冷地での栽培におすすめです。
種類③ホソバナコバイモ
ホソナガコバイモは、花の形がやや細長く淡いクリーム色をしており、斑模様が薄いのが特徴です。本州や中国地方、九州の高山部で自生していますが数が少ないため、準絶滅危惧種に指定されています。
種類④カイコバイモ
カイコバイモは、やや丸いベルの形が特徴的です。茎は黒紫色で、花は淡いクリーム色に薄く紫の網模様がついています。日本では富士山の周辺など、関東のごく限られた場所でのみ見られるので、希少価値が高く絶滅危惧種に指定されています。
まとめ
バイモは夏の暑さをうまく乗り切ることが、長く栽培を楽しむコツです。違う種類のバイモを植えて、色の違いを比べてみるのもよいですね。高温多湿になりやすい日本の夏が苦手なためやや栽培が難しいですが、適切に管理して美しい花を咲かせてみましょう。
品種によって模様の入り方や色合いに違いがあります。ぜひ、違いを楽しんでみてくださいね。