ユズリハってどんな植物?名前の由来や育て方、樹木の用途をご紹介!

ユズリハってどんな植物?名前の由来や育て方、樹木の用途をご紹介!

ユズリハは縁起のよい木とされ、古くから日本で庭木や記念樹として利用されてきた木です。その枝は会合や祝いの席に用いられるだけでなく、贈り物としても人気があります。そんなユズリハの用途や育て方やユズリハという名前の語源もご紹介します。

記事の目次

  1. 1.ユズリハってどんな植物?
  2. 2.ユズリハの特徴
  3. 3.ユズリハの育て方
  4. 4.ユズリハの用途
  5. 5.まとめ

ユズリハってどんな植物?

Photo by Shigeyama

ユズリハは日本が原産国の一つとされる常緑高木で、古くは万葉集にも登場します。成長はゆっくりで長い時間をかけて大木になります。そのさまざまな性質から縁起のよい木とされ、庭木としても人気です。その一方でアルカロイド系の毒性の物質を含み、家畜が葉を誤食して呼吸困難を起こした例もあるので注意が必要です。

基本情報

Photo by Shigeyama

ユズリハ科
ユズリハ属
原産国 中国、韓国、日本
分布 中国中部や韓国などの暖地の山地
日本では本州は福島より西、四国、九州、沖縄の太平洋側の沿岸近くに多い
開花期 5月~7月
花言葉 世代交代、若返り、譲渡、新生など

主な品種

エゾユズリハ 本州中部から北海道、南千島に分布
樹高は2mほど
ヒメユズリハ 九州南部より南に分布
葉が小さく上向きで、樹高は低め
アオジクユズリハ 葉の柄の部分が緑色
フイリユズリハ 葉に黄緑色などの斑(ふ)が入っている
シロフクメン 斑入りの園芸種

名前の由来

出典:写真AC

ユズリハの名前の由来には大きく分けて2つの説があります。1つはユズリハの葉は、新しい葉が全て成長した状態になってから古い葉が落ちることから「譲る葉」と呼ばれ、「譲葉(ユズリハ)」になったという説です。もう1つもやはり葉が語源で、葉の中央の太い葉脈(主脈)が太く、その形が弓に似ているということから「弓弦葉(ユヅルハ)」と呼ばれ、ユズリハになったという説です。

ユズリハの特徴

出典:写真AC

ユズリハは丈夫でゆっくり成長する特徴があります。潮風や大気汚染に負けずに長い時間をかけて大きくなります。もともと丈夫な木で、木材としても重厚で耐久性がありますが、現在はほとんど使われていません。古くは縄文時代に石斧の柄として使われたこともわかっています。ユズリハはよほどのことがない限り傷まない丈夫な木ですが、大きく育っていくため、庭木の扱いにある程度慣れている人向けです。

特徴①樹形

Photo by Shigeyama

ユズリハの樹形は常緑低木~常緑高木です。ユズリハの成長は遅めなので時間をかけて低木から高木へと成長していきます。品種にもよりますが観賞用として価値がでてくるには10年以上かかります。ユズリハの幹はまっすぐに伸び、最初は小さくてもやがて立派なシンボルツリーに成長するのです。

特徴②樹高

Photo by Shigeyama

ユズリハの樹高は5m~15mです。幼木のうちはあまり手がかかりません。ユズリハが観賞用として立派に育つには、空間と時間が必要です。庭木にするなら大きく成長したときのことを考え、スペースに余裕のあるところへ植え付けしましょう。ユズリハは大きくなるにつれて管理が難しくなっていきますが、ある程度の高さになったら、無理せずにプロに依頼することをおすすめします。

特徴③幹

出典:写真AC

ユズリハの幹はまっすぐに成長します。樹皮の色は灰褐色で、ぽつぽつと模様が入り、樹皮の内側はクリーム色をしています。民間療法ではこの樹皮と葉を煎じたものを家畜の寄生虫駆除や寄生虫による皮膚病治療に利用した記録があります。ユズリハは葉と同様に樹皮にも毒性があるので取り扱いには注意が必要です。

特徴④葉

出典:写真AC

ユズリハの葉は先のとがった楕円形をしていて、長さは大きいもので20cm、幅は7cmほどです。葉には厚みと光沢があります。葉の裏は白っぽく、柄は赤いので紅白で縁起がいいとされています。ユズリハの葉は枝先から螺旋状につき、初夏に新しい葉が出始め、新しい葉が出そろうと夏~秋に古い葉が落葉します。ユズリハの葉には毒性があるので気を付けましょう。

特徴⑤花

Photo by Shigeyama

ユズリハは雌株と雄株が別にあり、雌株には雌花が、雄株には雄花が咲きます。この花は小さく、目立ちません。ユズリハの花は葉が世代交代する季節である4月~5月頃に昨年伸びた葉の付け根あたりでひっそりと咲いています。雄花にも雌花にも花弁がなく、紫色のおしべの色が見えたり、小さながくが見えたりする程度です。

特徴⑥実

出典:写真AC

ユズリハは夏になると直系1cmほどの小さな実をつけます。この実は秋までの間に熟していき、ブドウやブルーベリーのような青紫色になります。ユズリハの実は小鳥が好んで食べますが、この実にも毒性があるので、口に入れないようにしてください。

ユズリハの育て方

出典:写真AC

ユズリハは成長の遅い木で、観賞できるようになるには10年以上かかります。そのため、自分で苗を買ってきて育てるにはかなりの根気が必要です。幼木のうちはあまり手がかかりません。

育て方①植え付け

Photo byGoumbik

ユズリハの植え付けの時期は秋~春です。寒冷地では1番寒い時期は避けましょう。ユズリハは乾燥に弱いので植え付ける場所に堆肥や腐葉土などの有機質を混ぜ込んで乾燥しないようにしましょう。日陰にも強く、建物の北側でも育ちますが、枝が間延びしがちです。適度な日当たりと風通しのよい場所を選びましょう。また、冬の乾いた風は苦手なので当たらないようにしてください。

育て方②水やりと肥料

Photo by suneko

庭植のユズリハは雨が降る場所であれば特に水やりは必要ありません。乾きやすい土地や雨が当たらない場所であれば、土が乾いたらたっぷり与えましょう。ユズリハへの追肥は2月~3月頃に鶏糞や堆肥の有機質肥料を与えてください。土地がやせていると、落葉の季節ではないときに落葉することがあります。また、窒素分が多いと枝つきがまばらになるので注意が必要です。

育て方④剪定

Photo byblickpixel

ユズリハの剪定はあまり必要ありません。花や実の見ごろが過ぎて、伸びすぎている枝や他の枝の日当たりや風通しのじゃまになるような枝があったら切り詰める程度で大丈夫です。太い枝を切ったときは切り口に癒合剤(ゆごうざい)を塗っておくと殺菌作用が期待でき、乾燥を防いでくれます。

育て方⑤病害虫

Photo byLoveYouAll

ユズリハの木は全体に有毒成分を含んでいるため、ほとんど虫はつきません。そのため、消毒もあまり必要ないのですが、こぶ病やさび病にかかることがあります。こぶ病は湿度が高すぎると起きやすく、木の幹や枝にこぶができます。さび病は肥料の量を間違えると発生するカビの一種です。どちらも発生したらその場所を取り除いて処分しましょう。枝を切った箇所には癒合剤を塗るのがおすすめです。

ユズリハの用途

Photo by Shigeyama

防火樹として

ユズリハは縁起のよい木とされ、庭木や記念樹として利用されますが、少し変わったものとして防火樹としても利用されます。防火樹とは、火災が起こった際に火災の拡大や延焼を防ぐ目的で植えられている樹のことです。常緑樹は防火力が高いといわれ、中でも葉に厚みのあるものが好まれます。ユズリハは常緑樹で葉に厚みがあるので防火樹に適しています。

縁起物として

ユズリハは縁起のよい植物としても知られています。そのため、正月飾りなどに使われることもあります。また、代々伝わって行くことを象徴して会社や家族などの会合にも使われます。贈り物としても、新旧の葉がきれいに入れ替わることから心機一転の意味合いで、再スタートを切る人や、卒業する人、花言葉にある「若返り」から、いつまでも若々しくいて欲しい人などに贈られることも。

まとめ

出典:写真AC

ユズリハは昔から日本人に親しまれ、愛されてきた木の一つです。その葉は親が子を見守りながら後を譲るかのように落ちます。花言葉には「世代交代」「譲渡」とあり、家が代々栄え、親から子へ無事に代替わりが行われるようにと願いを込めて庭木として植えられてきました。大きくなるまで時間はかかりますが、確かな想いを継承するユズリハをぜひ植えてみて下さい。

ヒメユズリハとは?樹木としての特徴や病害虫対策など管理方法をご紹介!のイメージ
ヒメユズリハとは?樹木としての特徴や病害虫対策など管理方法をご紹介!
ヒメユズリハは日本が原産の常緑性広葉樹で、公園や学校などさまざまな場所に植えられている植物です。新芽に葉を譲るように、古い葉が落ちていく性質から「世代交換の縁起木」とも呼ばれています。そんなヒメユズリハの特徴や、病害虫対策などの管理方法をご説明します。
シンボルツリーに人気の常緑樹10選!庭木の定番から意外なオススメまで!のイメージ
シンボルツリーに人気の常緑樹10選!庭木の定番から意外なオススメまで!
常緑樹は葉を落とさないので目隠しになることから、プライバシーを守りたい方に、おすすめの庭木といわれています。大きく育つ木も多いため、シンボルツリーとして植えることも多いです。今回はシンボルツリーにおすすめな常緑樹をまとめて紹介します。
Yukari
ライター

Yukari

バラや山野草も育てています。最近少しハーブ寄りです。自家製ハーブで化粧水やらポプリやらを作っている時の魔女っ子気分が大好きです。

関連記事

Article Ranking