フェンネルシードは人気のスパイス
フェンネルシードは、フェンネルと呼ばれるハーブの果実部分のことです。果実が種のような見た目をしている理由から「フェンネルシード」と呼ばれています。フェンネルシードは、地中海沿岸を原産地とし、ヨーロッパで料理に欠かせないスパイスとして長年愛されてきました。
基本情報
英語名 | フェンネル(Fennel) |
和名 | ウイキョウ(茴香)、小茴香(しょうういきょう) |
学名 | Foeniculum vulgare Mill. |
植物分類 | セリ科ウイキョウ属 |
原産地 | ヨーロッパ・地中海沿岸 |
フェンネルの植物としての特徴
特徴①草丈・形状
フェンネルの背丈は1~2mほどです。地面に近い茎の部分は鱗茎(りんけい)とよばれ、セロリのような見た目をしています。この茎が左右に広がるように伸びていき、その先端に人参の葉のような糸状に細い葉を茂らせます。
特徴②花の形・色
フェンネルは7~8月に、伸びた茎の先端に黄色い小花をたくさん咲かせます。この花が終わり、秋を迎えるころに結実し、それがフェンネルシードとなります。
特徴③果実の形
フェンネルの果実(フェンネルシード)は、大きさは7~8mmほどの楕円形をしており、熟すと茶褐色になります。小さな花ひとつひとつにそれぞれ果実ができます。
果実以外も食べられる
フェンネルは果実にあたる「フェンネルシード」の他にも、茎や葉も食べられます。根本付近の茎の部分は、「フィノッキオ (finocchio) 」と呼ばれ、スープやサラダに使います。日本の野菜でいえば、玉ねぎのような使い方でしょう。葉もサラダや料理の飾りつけに使われ、さまざまな食べ方をされています。
ボタニ子
フェンネルシードのスパイスとしての特徴
スパイスの特徴①香り
フェンネルシードの香りは、甘みとさわやかさを感じ、同じスパイス「アニス」に似ていると評されます。フェンネルシードとアニスの香りが似ている理由は、どちらも「アネトール」という成分を主成分にするためです。
アネトールは強い甘みを持つ
フェンネルシードの主成分であるアネトールは、香りの主成分だけでなく、強い甘みも持ち合わせています。アネトールの甘さは砂糖の13倍といわれています。フェンネルを食べるとほんのりと甘さを感じる理由は、このアネトールによるものでしょう。このアネトールは果実だけではなく、茎や茎にも含まれています。
魔法使いが愛用したハーブ
フェンネルは、その強い香りを理由にして「香煙(こうえん)」を出す使い方もされました。魔法使いがこの香煙を使って妖怪を呼び出したという伝説があります。いかにフェンネルが昔から使われてきた親しみある植物かがうかがえる話ですね。
スパイスの特徴②さまざまな食材と合う
フェンネルシードが人気のスパイスとして長年人々に愛されてきた理由の1つに、食材との相性のよさがあげられます。魚料理や、カレー、焼き菓子、ハーブティーなど幅広い使い方をされています。特に、魚料理の臭み消しとしての効果は抜群で、果実部位(フェンネルシード)だけではなく、茎や葉も料理に多用されます。中国のスパイスとして有名な「五香粉」の主原料の一つはフェンネルシードです。
フェンネルの効能
効能①口臭予防
「ソーンフ」は、インド料理で用いられるフェンネルシードを砂糖でコーティングしたものです。「ソーンフ」の使い方は主に、食後の口直しです。食べ方はとてもシンプルで、ナッツのように口に含んでポリポリと噛みます。フェンネルシードが「ソーンフ」に使われる理由は、フェンネルの香りと甘み、清涼感が口直しにぴったりだからでしょう。スパイシーなものを食べた後の口臭予防の効能が期待できます。
効能②食欲増進・消化促進
2つ目のフェンネルに期待できる効能が、食欲増進・消化促進です。甘くさわやかな香りが食欲をそそり、脂っこい肉や魚料理を食べた後も消化器官の負担を軽減する効能があるといわれています。
沖縄料理では「いーちょーばー(胃腸葉)」と呼ばれる
沖縄は、その地理的理由からアジアや大陸の文化を色濃く受け、独自の食文化を持つことで有名です。その沖縄でもフェンネルは整腸作用のある野菜として、さまざまな食べ方をされています。
効能③エストロゲン様の働き
「エストロゲン」は代表的な女性ホルモンです。大豆に含まれるイソフラボンは、加齢とともに減少したエストロゲンを補う働きがあるといわれています。この理由は、イソフラボンとエストロゲンが化学的に似た構造をしているためです。フェンネルに含まれるフィストエストロゲンも、エストロゲンと似た構造をしており、イソフラボンと同様の効能が期待されています。フェンネルの摂取が気になる妊娠中の方は、お医者さんに一言相談しておくと安心ですね。
フェンネルの特徴をさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧くださいね。