カカオニブとは
カカオニブはカカオ豆の加工品のひとつで、ココアやチョコレートといったほかのカカオ豆の加工品よりも自然な状態のカカオに近いものです。加工時にかかる熱や圧力などでの栄養素へのダメージが低く、カカオ本来の味や健康効果をダイレクトに摂れるスーパーフードとして近年人気を集めています。特に「ローカカオニブ」と呼ばれる低温で加工されたものは油分の酸化がなく、より体に優しいといわれています。
名前の由来
カカオニブの名前は原料である「カカオ豆」と種子の胚乳(はいにゅう)部分を表す「ニブ」に由来します。「カカオ豆の胚乳部分」という意味で「カカオニブ」です。
カカオの特徴
カカオニブは、カカオの種であるカカオ豆を加工したものです。カカオ豆の加工品はほかにもカカオパウダー、カカオペーストやカカオマスなどがあります。チョコレートはカカオマスにカカオバターや砂糖などを加えたものです。ここでは原料であるカカオについて紹介します。
カカオの基本情報
園芸部類 | 常緑樹 |
形態 | 樹木 |
樹高・草丈 | 5m~10m |
花の色 | 白(品種によって赤や黄を帯びる) |
耐寒性 | 無 |
耐暑性 | 強 |
特性・用途 | 鉢植え、記念樹、観葉植物など |
栽培の可否 | 日本では沖縄や小笠原諸島以外は温室管理 |
カカオの花や葉
カカオの花は基本的に白く、品種によっては赤や黄色を帯びます。植えてから4年ほどで直径約3cmの花が灰褐色や灰緑色の幹に直接開花し、群生します。カカオの葉は先の尖った楕円形で、20cm~50cmほどの大きさです。常緑樹なので一年中緑色の大きくてくて丈夫な葉をつけます。
カカオの実
カカオの実は幹に直接つき、先の尖った楕円形でラグビーボールのような形をしています。カカオの花の結実率は低く、全体の1割程度しか実にならないといわれています。長さは15cm~30cm、直径は8cm~10cmです。カカオポッドとも呼ばれるその実の中に20個~30個の種子を含み、この種子がカカオ豆です。
カカオニブの効果・効能
スーパーフードであるカカオニブにはたくさんの心身によいとされる成分が含まれており、それぞれに効果・効能が期待できます。ここではカカオニブを摂取することによって期待できる効果・効能と、それに関わる栄養成分について紹介します。
腸内環境の改善
カカオニブには、腸内細菌を増殖させたり、便の量を増やしたりする食物繊維が豊富に含まれています。そのため、腸内環境を整え、便通をよくする効果が期待できるのです。また、食物繊維と似た働きをするカカオプロテインや、不溶性食物繊維のリグリン酸も含まれています。
代謝をサポート
カカオニブには、カルシウムとともに骨や歯の形成に関わり、体内酵素を活性化させるマグネシウムが多く含まれています。マグネシウムが代謝をサポートし、神経伝達をスムーズにすることによって運動機能の向上の効果も期待できます。
メンタルを整える
カカオニブにはメンタル面に作用するという成分が含まれています。中でもアナンダミドは豚肉や牛肉の脂肪分にも含まれる物質で、摂取すると幸福感を得られるとされる成分です。また、テオブロミンはカカオ特有の苦みや香りの成分でリラックス効果があるといわれています。ほかにもパントテン酸はストレスの軽減に役立ち、フェニルエチルアミンは集中力を高める効果や抗うつ効果が期待できます。
抗酸化作用
カカオニブの人気の理由のひとつに、カカオポリフェノールを多く含むという点があります。カカオポリフェノールは強い抗酸化作用を持ち、摂取することで活性酸素によって引き起こされるさまざまな体調のトラブルを抑え、肌や血管などの老化対策になるといわれています。
その他の効果
カカオニブには、ほかにも健康維持を助ける成分が多く含まれています。ビタミン群も多く含まれており、コラーゲンの生成、動脈硬化の予防、血液循環の改善など多くの効果が期待できるでしょう。血液の循環がよくなると、筋肉疲労や頭痛の改善にもつながります。血圧を下げる効果があるとされるオメガ3系脂肪酸、緑茶に入っていることで有名なカテキンも含まれ、口臭予防や口内環境の改善にも一役買ってくれるでしょう。
カカオニブの食べ方
カカオニブはチョコレートの原料であるカカオ豆を発酵、乾燥させて砕いたものなので、簡単にいうと味は甘くないチョコレートです。苦味が好きならそのままで、苦手な人は甘みのあるものと組み合わせると食べやすいでしょう。
食べ方①そのまま食べる
カカオニブの食べ方で、とてもシンプルで簡単な方法です。カカオの香りが好きな人や、甘いものが苦手な人におすすめです。そのまま食べるとカカオ本来の香りや苦みが楽しめます。
食べ方②トッピングとして
カカオニブ自体には甘味がありません。苦みや酸味が強いので、アイスクリームやヨーグルト、スムージーのトッピング、チョコレートケーキや生クリーム系のスイーツに添えると乳製品のまろやかさが苦みを緩和してくれます。またナッツのような食感もアクセントになり、フルーツグラノーラや、甘いもの以外ならサラダやパスタのトッピングにもなります。
食べ方③スムージーなどのドリンクの材料として
カカオニブは、スムージーの材料として取り入れられます。チョコレートやストロベリー系、バナナのスムージーと相性がよいです。ほかの材料と一緒にミキサーにかけてスムージーを作りましょう。
食べ方④焼き菓子に
カカオニブをさらに細かく砕いて生地に混ぜ、焼き菓子を作れます。香ばしさや食感の楽しめるお菓子に仕上がります。甘味のない生地で作る場合は、蜂蜜やドライフルーツを一緒に入れると苦みが和らぐのでおすすめです。
食べ方⑤はちみつ漬けに
ほかのナッツやドライフルーツと一緒に、カカオニブをはちみつに漬けます。パンに塗ったり、ヨーグルトやアイスクリームにかけて食べましょう。香ばしさとはちみつの甘さがバランスよく感じられますよ。
食べ方⑥挽いて使う
カカオニブを挽いて粉状にして使う方法もあります。ローストビーフにかけたり、ピーナッツバターやジャムと混ぜて使ったり、ミルクティーや生クリーム系のスイーツにかけたりするとおいしく食べられます。挽いた状態のカカオニブを配合した調味料も市販されており、自分で挽く手間がかからないので便利です。
カカオニブの効果を引き出すコツと注意点
効果を実感できる食べ方
カカオニブに含まれる栄養素の中には熱に弱いものがあります。特にオメガ3系脂肪酸という成分は加熱に弱い性質があるので、カカオニブの効果を効率よく得るためには加熱し過ぎないのがコツです。またカカオニブには糖分が入っていませんが、油分が多いため、10gで60kcalとハイカロリーです。食べすぎると太ってしまうことがあるので、1日ティースプーン3杯程度の適量を守りましょう。
カカオニブを食べるときの注意点
カカオニブは、チョコレートよりもカフェインやテオブロミンを多く含みます。カフェインは食べすぎると下痢や吐き気を起こしたり、興奮や不安を感じたりします。また胎児の成長に支障をきたす恐れがあるので、妊娠中は特に注意してください。テオブロミンには気管支を広げる効果があるので、同じ作用の薬を摂取している人は注意が必要です。乳幼児やカカオやニッケルにアレルギーがある人も摂取しないでください。
自分好みの使い方を見つけよう
カカオニブは栄養価も高く、心身の健康状態を保つサポートをしてくれるスーパーフードです。さまざまな食べ物や食べ方にあい、使い方も幅広くあります。効果・効能のほか、味や香りでも楽しませてくれるでしょう。適量を守って、ぜひお気に入りの使い方をみつけてください。
提供:写真AC