つるバラの概要
つるバラは「クライミング・ローズ」とも呼ばれている、枝を長く伸ばして成長していくバラの総称です。ワイヤーや支柱などを使用して、自分好みの形に誘引できるため、ガーデニングや庭造りにも人気があります。
基本情報
園芸部類 | 花木・低木 |
形態 | つる植物 |
樹高・草丈 | 1m〜6m(つるの長さ) |
花の色 | ピンク、赤、白、オレンジ、黄、紫、複色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 落葉性、開花時期が長い、香りがある、ガーデニング |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
特徴
バラは「木立ち性」「半つる性」「つる性」大きく3つの種類に分けられます。名前に「つる」と入っていますが、アサガオやトマトのように、自らほかの支えに巻きついたりはしません。そのため、ワイヤーや紐などを使用して、枝が伸びる方向を導く「誘引」をする必要があります。
つるバラの誘引準備
つるバラを育てる場合、誘引する前につるバラが成長しやすいよう、用土を作ったり、元肥を混ぜ込んだりして環境を整えておく必要があります。また花がら摘みや、季節ごとの剪定するのも重要です。新芽の成長を促したり、花芽をたくさんつけたりする役目があります。植え付け後にも、しっかりと手入れをしてから誘引してください。
用土
つるバラを健康的に成長させるためには、用土をしっかりと耕してから植え付けましょう。苗木の大きさにもよりますが、植え穴を30cmほど掘り、腐葉土や堆肥をたっぷりとすき込んでおきます。地面の用土が粘土質の場合は、川砂を混ぜ込んでおいても構いません。
肥料
つるバラは有機質に富んだ肥沃な環境を好むため、油かすや鶏糞などの肥料を、元肥として用土に混ぜ込んでおくのがおすすめです。また寒肥として有機質肥料や緩効性の化成肥料を与えると、新芽の成長を促します。花後にもお礼肥として、緩効性の固形肥料や置き肥を施しましょう。
花がら摘み
5月中旬〜6月下旬
花がら摘みは「咲きがら切り」とも呼ばれます。5月〜6月の開花時期にあわせて、花後に花茎から切り落としていく作業です。春に成長し始めた若い枝は、半分程度の長さまで切り戻すと、たくさん花芽をつけます。花がらを放置するとカビが発生しやすくなるため、こまめに花がら摘みを行い、株を清潔に保ちましょう。
夏剪定(弱剪定)
8月下旬〜9月上旬
8月下旬〜9月上旬にかけて、梅雨時期に病害虫被害を受けてしまった部分や、真夏の暑さで弱っている部分を剪定していく「弱剪定」を行います。樹形を大幅に崩さず、傷んでいる部分のみを剪定するのがポイントです。この時期に強剪定を行うと、樹勢が弱って枯れる原因となるので注意しましょう。
冬剪定(強剪定)
1月上旬〜2月下旬
つるバラが休眠期に入る1月上旬〜2月下旬に、株を半分程度まで切り詰める「強剪定」を行います。強剪定では、全ての枝にまんべんなくハサミを入れるのがポイントです。剪定に使用するハサミやナイフは、しっかりと消毒してから作業しましょう。
上手に剪定するコツは?
強剪定をする場合は、中心部分を高く、外側が低くなるように仕立てるときれいに仕上がります。また内側に向かって伸びている枝は、全て切り取っておきましょう。外側をしっかりと剪定しておくと、内側まで日光が届き、葉の光合成が促されます。
誘引
12月下旬〜1月上旬
つるバラの誘引は、12月下旬にするのがおすすめです。あまり遅い時期に誘引すると、枝が伸び始めてしまい、自分の思い描く場所へ誘引できなくなります。そのため、遅くても1月上旬までには誘引を終わらせておきましょう。
つるバラの誘引方法
品種によって異なりますが、つるバラは1m〜6mほどまでつるを伸ばして成長していきます。ワイヤーやペンチなどの資材を利用して、しっかりと誘引しながら樹形を美しく整えていきましょう。つるバラは誘引しないと枝が折れ曲り、株元から枯れ込んでくるので注意が必要です。コツを押さえて上手に仕立ててくださいね。
つるバラの誘引方法➀フェンス
つるバラをフェンスに誘引する場合は、目のサイズが5cm〜10cmほどのフェンスを使用しましょう。フェンスの幅や高さは、つるバラの品種や、フェンスを置く場所に見合うサイズを購入してください。株元から伸びている枝を左右に分けるようにして、ワイヤーで固定していきます。
フェンスの上に枝が飛び出した場合は?
つるバラの枝を横へ横へと誘導していかないと、フェンスの上まで飛び出してしまい、美しく仕立てられません。枝が柔らかいうちに優しく折り曲げながら、フェンスの上部に添わせるようにワイヤーで固定していきましょう。
つるバラの誘引方法➁アーチ
つるバラをアーチ状に誘引する場合は、バラのサイズにあわせてアーチ選びをするのが重要です。大輪のバラを咲かせる品種に小ぶりなアーチを選んでしまうと、葉や花が混みあってしまい、見た目が悪くなります。また、人間が通れるようなサイズのアーチを選ぶのも重要です。アーチのサイズだけでなく、葉が茂りひと回り大きくなるのを想定して資材選びをしましょう。
つるバラの誘引方法③オベリスク
つるバラをオベリスクに誘引していく場合は、まずしっかりとオベリスクを固定しておきましょう。鉢植えの場合は、鉢ごと倒れてしまわないように、重みのある鉢を使用してください。株元から、枝をくるくると巻きつけるように誘引するのがコツです。右回りと左回りで、交互に巻きつけるときれいに仕立てられます。
地植えでオベリスクを使用する場合は?
地植えの場合は、ホームセンターで販売されているコンクリート製の土台や、モルタルなどの資材を使用して、オベリスクを地面に固定してください。
つるバラの誘引方法➃トレリス
トレリスは、つる性の植物を這わせるために作られた資材のため、ガーデニング初心者でも気軽に誘引できるのが魅力です。トレリスは既製品だけでなく、ワイヤーメッシュや木材を使用すれば簡単に手作りできます。庭のイメージにあったトレリスを手作りして、つるバラを誘引していくのもおすすめです。
つるバラの誘引方法⑤壁面
つるバラを壁面に誘引する場合は、枝をくくりつけるための針金やフックを壁に固定する必要があります。壁に穴を開けたくない場合は、壁と同系色のフェンスやネットを使用して、壁面近くに誘引していきましょう。日当たりの悪い北側に植え付けてしまうと、つるバラの成長が滞ってしまい、うまく育たない場合があるので注意してください。
つるバラの代表品種・種類
つるバラはたくさんの園芸品種が販売されており、八重咲きや半八重咲き、一重咲きなど咲き姿もさまざまです。フェンスや壁面に誘引するのに適した、つるバラの品種をみていきましょう。
キング・ローズ
キングローズ
参考価格: 2,675円
キングローズは多花性のため、開花時期になると一気に開花するのが特徴です。やや大きめの品種で、5cm〜6cmほどの花を咲かせます。耐寒性が強くトゲが少ないので、日頃の手入れや剪定、誘引などをする場合も扱いやすい品種です。
花色 | 濃ピンク |
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樹高 | 1m〜3m |
フロレンティーナ
フロレンティーナ
参考価格: 4,291円
フロレンティーナは、真っ赤な花を咲かせるバラの代表品種です。枝が太くしっかりしており、誘引する場合はゆったりと余裕をもって仕立てるときれいに仕上がります。花もちがよく、次々と花を咲かせてくれるため、長く開花を楽しめるのが魅力です。
花色 | 赤 |
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樹高 | 1m〜2.5m |
アイスバーグ
アイスバーグ
参考価格: 1,290円
アイスバーグは純白の花を咲かせる品種で、花壇に涼しげな印象を与えてくれます。半八重咲きで、ややうつむき気味に花を咲かせるため、アーチやオベリスクに誘引して、下から花を楽しむのがおすすめです。
花色 | 白 |
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樹高 | 1m〜1.5m |
モッコウバラ
モッコウバラ
参考価格: 2,091円
モッコウバラは、白色やクリーム色の花を咲かせる一重咲きの品種です。中国が原産で病害虫被害を受けにくく、初心者でも気軽に育てられます。初夏〜夏にかけて、枝をどんどん伸ばすので、こまめに誘引しながら管理していきましょう。
花色 | 白、黄、クリーム色 |
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樹高 | 2m〜5m |
出典:写真AC