パクチーとは?
パクチーとは、鮮やかな緑色のギザギザとした葉や茎を食べる香味野菜です。地中海東沿岸原産でヨーロッパやアジア、オセアニアとさまざまな地域で栽培されてきました。主にスープや炒めものに風味をつけるハーブとして使われており、サラダのようにメイン食材として使うのは、日本独自の食べ方です。
パクチーの和名はカメムシ草?
パクチーは別名「カメムシ草」と呼ばれることがあります。もともとの和名は、ポルトガル語が語源の「コエンドロ」が正式です。しかし、現在ではギリシア語の「korisannon」が語源となった、カメムシ草のほうが一般的になっています。やはり、パクチーとカメムシを結びつける方は少なくないようですね。
ボタニ子
ボタ爺
英語ではコリアンダー、中国語では香菜(シェンツァイ)と呼ばれておるよ。
パクチーとカメムシの臭いはなぜ似ている?
和名の由来とされるほどカメムシと関係の深いパクチーですが、実は両者は同じ臭い成分が含まれていると科学的に証明されています。パクチーとカメムシには、どちらにもアルデヒドの一種である「E-2ヘキセナール」という臭いが含まれています。この「E-2ヘキセナール」が、パクチーとカメムシの臭いが似ている理由です。
パクチーを苦手な人が多いワケ
パクチーの独特の臭いやクセの強い風味を苦手と感じるのは、好みだけの問題ではありません。アメリカではパクチーの好き嫌いは、遺伝子によって決まっているという研究結果が発表されています。「OR6A2」という嗅覚遺伝子にパクチーの臭い成分が過敏に反応してしまう人は、より臭いを強く感じるのです。結果、パクチーが食べ辛い理由になっているのではといわれています。
ボタニ子
パクチーの臭い成分「アルデヒド」は香水や石鹸にも含まれてるよ!
ボタ爺
食品以外にも含まれている臭い成分だから、人によって拒否反応が出るんじゃな。
パクチーが苦手な人の克服法
パクチーの人気が高まっているなか、「どうしてもパクチーが食べられるようになりたい!」と考えている方もいますね。臭いや風味を抑えたり、似ている食材で慣らしたりすれば、パクチーを克服できる可能性がありますよ。
カメムシ臭を抑える方法①パクチーをアレンジして食べる
生のパクチーをそのまま食べるのがキツイという方は、刻んだりほかの調味料を加えたりして、アレンジしたものからチャレンジしてみてください。パクチーの臭いが大幅に感じられにくくなるため、格段に食べやすくなるでしょう。
乾燥パクチー
乾燥パクチーとは、細かく刻んだパクチーをパリパリになるまで乾燥させたものです。乾燥させることで、生のパクチーの青臭さや味もひかえめになります。料理の仕上げにサッと振りかけるだけで、手軽にパクチーを味わえるでしょう。パクチーの風味を強く感じたい方は、ぬるま湯で戻して使用すると香りを引き立たせることができます。
パクチーオイル
パクチーに塩を入れて、ニンニクや鷹の爪などといっしょにオイル漬けにしたものがパクチーオイルです。肉や魚料理に足したり、パスタに加えたりしてパクチーの風味を楽しめます。生のままでは長期保存が難しいパクチーも、オイルにすれば数週間食べられるため、パクチーがたくさんあるときにも便利なアレンジですね。
パクチーペースト
パクチーペーストは刻んだパクチーにアーモンドやナッツ類を加え、フードプロセッサーですり潰したあと、オイルと混ぜたものです。食感がなくなるほど細かくすることでグッと食べやすくなり、使い道の幅も広がります。鳥のからあげや冷やっこにトッピングするとおいしいですよ。
パクチードレッシング
パクチードレッシングは刻んだパクチーとオリーブオイルをベースとしたもので、さまざまな種類があります。いつもの野菜サラダにかけると、パクチーの香りがフワッと広がり、おいしくいただけますよ。臭いが苦手な方は、ごまやチーズといった、ほかに香りが強い食品が含まれているドレッシングから試してみてください。
カメムシ臭を抑える方法②パクチーを調理して食べる
生のパクチーは臭いが強いため、苦手な方には食べにくいものです。しかし、熱を加えたり味つけしたりすると、風味が抑えられて食べやすくなりますよ。臭いが気になる方は、パクチーを調理したものから挑戦してみましょう。
パクチー餃子
パクチーを小さく刻んで調理すると、臭いだけでなく食感も感じにくくなるため、苦手な方でも克服しやすくなります。そこで、ニラやキャベツの代わりにパクチーを混ぜ込む、パクチー餃子を試してみましょう。肉汁とともにパクチーの風味があわさり、爽やかに味わえる餃子に仕上がりますよ。ポン酢やナンプラー、チリソースなどタレもお好みで選べます。
パクチーおにぎり
生のパクチーにチャレンジしたい方におすすめのレシピが、パクチーおにぎりです。刻んだパクチーをごはんと混ぜて握るおにぎりで、パクチー好きの方にも人気のレシピですよ。臭いが気になる方はパクチーを少なめにするか、ごはんに麺つゆで濃く味つけしたり、梅干しを加えたりすると食べやすくなるでしょう。
カメムシ臭を抑える方法③パクチーに近い食材に慣れる
パクチーを克服するために、似た風味をもつ食材から慣れてみましょう。
- セリ
- ウド
- セロリの葉
- みつば
- ニンジンの葉
- パセリ
どれもパクチーとまったく同じというわけではありませんが、クセのある風味と香りをもっています。パクチーと似ている食材から少しずつ試していけば、パクチーも食べられるようになるかもしれません。
パクチーの食べ過ぎに注意
パクチーを好む方はついつい大量に食べてしまいますが、食べ過ぎるとさまざまな症状を引き起こすことがあります。パクチーを食べ過ぎてはいけない理由や、どれくらいが適量なのか解説しましょう。
腹痛や気分が悪くなることも
パクチーは体内の有害物質を排出してくれる、食物繊維やカリウムといった解毒作用成分が豊富です。しかし、一度に多く食べ過ぎてしまうと、腸が刺激され、腹痛や下痢の原因になることもあります。また、パクチーがもつ香りや風味によって、頭が痛くなる、気分が悪くなるといった症状が現れることもあるため、注意してくださいね。
日焼けや肌ダメージの原因に
パクチーにはかんきつ類やハーブの仲間に多く見られる、「ソラレン」という物質が含まれています。このソラレンには、紫外線を吸収しやすくなるという特性があります。パクチーを摂取した後は、日光を浴びるとメラニン色素が生成されやすくなり、肌ダメージが大きくなるため注意が必要です。
一食分の目安は?
パクチーは一食につき、約10gが摂取量の目安です。10g以上になるとパクチーに含まれるカリウムが、かえって腎臓に負担をかけてしまいます。ドレッシングや料理のトッピングにパクチーを使う分には目安量を超えることはないでしょう。ただし、サラダや炒め物などにすると、あっという間にオーバーしてしまうので気をつけてください。
ひと工夫すればクセのあるパクチーも食べやすくなる!
カメムシ草という呼び方があるほど、カメムシに近い臭いがするとパクチーは、やはり苦手な方も多い香草です。しかし、加熱したりアレンジしたりすれば、臭いや風味が抑えられて、ある程度食べやすくなりますよ。適量なら栄養価も高く、料理のアクセントになる食材なので、ぜひ、毎日の食卓に取り入れてみてくださいね。
パクチーという名前はタイ語由来の呼び方なんだって!