多肉植物を紅葉させる準備はいつから?
多肉植物を紅葉させるには「紅葉期の前から準備をする」ということが重要です。具体的な例としては、紅葉期の少し前である夏に多肉植物に少し強い日差しを浴びさせたり、水やりを控えたりすることなどが挙げられます。多肉植物が紅葉する条件の一つ、「適度な刺激」を夏から与えることで、秋に始まる紅葉をさらに深めることが可能です。
多肉植物を紅葉させるポイント6つ!
秋から冬の時期にかけ、さまざまな形で紅葉をする多肉植物。葉が赤くなったり、爪が尖ったりするなど、品種により美しい姿を見せてくれます。そんな多肉植物の紅葉ですが、環境や日当たりの調整を上手く行えば、さらに綺麗な紅葉を見られる確率が上がります。日当たりや気温・水やり調整などのポイントをおさえ、多肉植物の紅葉を成功させましょう。
ポイント➀水やり
多肉植物が紅葉する条件の一つとして「水やりを控えめにする」ことが挙げられます。紅葉期の9月〜11月ごろは、水やりを1ヶ月もしくは2ヶ月に1回ほどに控えるとよいでしょう。多肉植物の水を少し不足している状態にすることで、紅葉が始まりやすくなります。
水の与えなさすぎは逆効果!
紅葉期にあまり水を与えないことは重要な条件の一つですが、水を全く与えないと多肉植物が弱ってしまいます。断水のように長期間水を与えないのではなく、あくまでも「控えめ」の域にとどめましょう。あまりにも水分が不足していると植物が弱り、逆に紅葉が始まらない可能性もあるため、適度なタイミングで水を与えることを心がけられるとよいですね。
ボタニ子
用土があまりにも乾燥している、葉が極端にしなびているなどといった場合、それは多肉植物が水を欲しているサインなんだ。
ボタ爺
そんな状態の株があったら、霧吹きやスプレーなどで優しく用土に水を与えるんじゃ。そうすることで、ひどい乾燥や水分不足を抑えられるぞ!
ポイント➁気温
気温が下がることも、多肉植物の紅葉が始まるための条件の一つです。一般的に紅葉が始まる温度は約8℃からとされ、紅葉がさらに深まるのは約5℃以下といわれています。ある程度多肉植物を屋外に出すことにより、多肉植物に刺激が加わり紅葉を始めさせることが可能です。寒さ対策で室内やビニール温室などへ多肉植物を移動させている場合は、株が寒さに触れていないため紅葉が深まらない可能性が高くなります。
氷点下になれば防寒対策を
ある程度の寒さに触れさせないと多肉の紅葉は始まりませんが、1月~2月など寒さの厳しい時期は枯れてしまう可能性もあります。そのまま屋外へ移動させるのではなく、不織布やビニール袋などでしっかりとした防寒対策をし、氷点下にならない程度の寒さを与えられるとよいでしょう。
ポイント➂日当たり
多肉植物が紅葉する条件に、日当たりのよさもあります。水やりを控えめにしたり寒さに触れさせたりするだけでなく、適度な日光や温かさを与えることでより多肉植物の紅葉が始まりやすくなります。日光の不足している多肉植物は色付きや紅葉の発色も悪くなりがちなので、日中はしっかりと日光浴をさせてください。
日当たりが悪い場合はライトの導入も
日中あまり日光が当たらない場所に住んでいたり天気の悪い日が続いていたりする場合は、植物育成用のライトもおすすめです。小型タイプや少しの電力でも動いてくれるライト、また長持ちするものなどさまざまなタイプが販売されているため、日当たりの気になる方は導入を検討してもよいでしょう。
ポイント➃肥料
多肉植物を紅葉させるには、肥料を事前に切っておくことが基本です。肥料を紅葉する時期になっても与え続けていると、紅葉しない可能性があります。多肉植物を紅葉させるには水の不足など多少のストレスを加えなければならないため、水やりと同じく肥料を与えるのは控えましょう。
肥料を与える時期を逆算
多肉植物が紅葉する時期までに肥料が抜けていればよいので、逆算して7月〜8月ごろの夏までは肥料を与えても問題ありません。速効性肥料は用土から抜けるのが早いので問題ありませんが、緩効性肥料は比較的長く用土の中に残り続けます。紅葉期の前にどうしても肥料を与えたい場合は、速効性肥料がおすすめです。
ボタニ子
早急に株を大きくしたい場合を除いて、基本的に多肉植物に肥料は必要ないよ!
ボタ爺
多肉植物を紅葉させるのに過度な栄養は必要ないから、うっかり肥料を与えないように注意じゃ!
ポイント➄室内での管理
寒さや害虫を心配して多肉植物を室内管理し続けていると、紅葉が始まりにくい傾向にあります。室内の気温も冬はエアコンやヒーターで高くなりがちなため、それも多肉植物を紅葉をさせたい場合は悪影響です。室内管理をしている場合は、多肉植物を紅葉させる条件の「日当たりのよさ」や「適度な寒さ」などを満たせるよう、できるだけ屋外に出すよう調整できるとよいでしょう。
突然の寒さは多肉植物にとって危険
寒暖差を利用して紅葉を深めたい場合、多肉植物を「寒さに慣れさせる」ことが必要です。しばらく室内管理していた多肉植物を外に出すと、突然の寒さで凍ってしまうことがよくあります。急激すぎる温度変化は多肉植物にとって危険なため、紅葉させたい株がある場合は、「防寒対策を少しずつ薄くしていく」「水やりを控えめにする」などで徐々に寒さに慣らしてください。
ボタニ子
多肉植物が凍ってしまったかどうかは、どうやって判断すればいいの?
ボタ爺
多肉植物が凍ったかどうかは、主に色や質感で見分けられるぞ。凍った多肉植物の色は透明感があって、黄色く透けていることが多いな。
ボタニ子
凍った多肉植物は触ったときにぶよぶよしていたね。色と合わせてチェックするようにしよう!
多肉植物を屋外に出す時間は、何時ごろが適切ですか?
日の出ていて寒さの和らぐ、13時〜15時ごろが適切です。日が落ちた後に多肉植物を屋外に移動させる場合、急な寒さでダメージを受けないよう不織布やビニール袋で防寒対策をしましょう。
ポイント➅寒暖差の利用
多肉植物を紅葉させるもう一つの条件に「寒暖差」が挙げられます。日中の15℃〜9℃ほどの比較的暖かい気温と、夜間の5℃〜氷点下の冷え込みの気温差で多肉植物に適度なストレスがかかり、紅葉が始まるきっかけとなります。この寒暖差による刺激がないと紅葉が始まりにくく、紅葉をしないケースもあるため、紅葉させたい方は寒暖差にも気を配れるとよいですね。
多肉植物が紅葉する仕組み
多肉植物は、寒さ・夏の暑さを経験するなど、いくつかのステップを踏んで紅葉していきます。紅葉の仕組みを知ることは多肉植物を紅葉させるうえで役に立つことも多いので、ぜひ覚えてみてください。
仕組み➀刺激が加わる
よい刺激と悪い刺激
多肉植物は、寒さや水の不足などの刺激が加わることで紅葉を始めます。しかし、一口に「刺激」といっても多肉植物にとってよい刺激と悪い刺激の2つがあります。例えばよい刺激は、適度な乾燥や控えめな水やりなど、多肉植物に強すぎる負荷をかけないものです。反対に悪い刺激には、風通しの悪さや極端に高い湿度などが挙げられます。ひとくくりに「刺激」といっても、多肉を極端に弱らせるようは刺激を与えないようにしましょう。
仕組み➁葉緑素が分解される
葉緑素は低温に弱いという特性があり、寒い時期にはよく分解される傾向にあります。特に寒さの深まる11月〜2月ごろには活発に分解され、それにつれて紅葉が深まっていきます。多肉植物はまず葉緑素が分解されないと紅葉が始まらないため、葉緑素が分解するのは紅葉にとって非常に重要なステップです。
ボタ爺
葉緑素は光合成をする役割を持つ、植物にとって必要不可欠な色素じゃぞ!
ボタニ子
別名クロロフィルとも呼ばれているね。葉緑素は紅葉の仕組みを理解する際に重要なワードだから、覚えておいて損はないよ!
仕組み➂アントシアニンの合成
多肉植物の中にあった葉緑素が分解されると、かわりにアントシアニンが合成されます。葉緑素が緑の色素ならば、アントシアニンは赤の色素であり、葉緑素が分解されると徐々に植物の葉の中で合成されていきます。多肉植物が赤に染まるのはこのアントシアニンの働きであり、紅葉には欠かせない物質の一つです。
出典:写真AC