ヒヤシンスの概要
ヒヤシンスはチューリップやパンジーと並び、春の花壇で活躍する球根花です。均整の取れた草姿、ボリューム感や強い香りで、花壇を華やかに彩ります。鑑賞の歴史は古く、昔から世界中で多くの品種が開発されてきました。
基本データ
花の名前 | ヒヤシンス(風信子、飛信子) |
別名 | ヤコウラン(夜香蘭) |
園芸分類・形態 | 球根・多年草 |
原産地 | ギリシャ、シリア、小アジア |
開花の時期 | 2月~4月 |
花の色 | 赤、ピンク、白、紫、黄色、青など |
特徴 | 香りがある、耐寒性が強い |
原産国
ヒヤシンスの原産国は、ギリシャやシリアを中心とした地中海沿岸~イランやトルクメニスタンのあたりです。園芸の歴史は非常に長く、古くから人々に愛されてきました。16世紀に活躍したオスマン帝国のムラト三世は、山に自生していたヒヤシンスを、なんと5万本以上もイスタンブールに集めさせたといわれています。ヨーロッパには16世紀前半、日本には江戸時代に渡来した花です。
名前の由来
ヒヤシンスという名前は、ギリシャ神話の美少年「ヒュアキントス」のエピソードが由来です。神話のエピソードから学名がつけられ、日本に伝わったときに「風信子」「飛信子」という漢字が当てられました。「風」は風に乗って香りが漂うことから、「飛」は「ひ」という読みがあるのが、それぞれの漢字が使われる理由です。英語では、「garden hyacinth(ガーデンヒヤシンス)」と呼ばれています。
ヒヤシンスの花言葉
全体に共通する花言葉
ヒヤシンス全体に共通する花言葉は、「スポーツ」「ゲーム」「悲しみを超えた愛」です。躍動感のあるフレーズは、しっとりと控えめなヒヤシンスの花姿からすると少し意外かもしれません。ほかの花ではあまり聞かれない、めずらしい花言葉の背景には、とある美少年を主人公としたギリシャ神話のエピソードがあります。「悲しみを超えた愛」という花言葉も、悲しい結末を迎えた彼からイメージされたものでしょう。
ヒュアキントスのエピソード
ヒュアキントスは、太陽神アポロンと、西風の神ゼピュロスの両方から愛される美少年です。ヒュアキントスはゼピュロスよりも、アポロンに心ひかれています。あるときヒュアキントスとアポロンは、円盤投げをして遊んでいました。それに嫉妬して意地悪な風を起こしたのが、風の神であるゼピュロスでした。軌道の変わった円盤に当たり、ヒュアキントスは死んでしまいます。流れた血から咲いたのが、紫色のヒヤシンスの花です。
色別の花言葉
色別の花言葉①赤色・紫色
あざやかな色で目をひく赤いヒヤシンスの花言葉は「嫉妬」、シックで大人っぽい紫色の花言葉は「悲しみ」です。これらも全体に共通する花言葉と同様、ヒュアキントスのエピソードが由来します。どちらもギフトには不向きな、怖い印象を与える花言葉ですね。特に紫色は原種であり、ヒヤシンスの中でもポピュラーな花色ですが、贈りものには避けたほうがよいでしょう。ガーデニングシーンでは、アクセントカラーとして活躍します。
色別の花言葉②白色・ピンク色
グリーンの葉とのコントラストもさわやかな白いヒヤシンスの花言葉は「控えめな愛らしさ」です。清楚なホワイトにぴったりの、優しい印象のフレーズです。一方、華やかで春らしいピンク色には、「しとやかなかわいらしさ」という花言葉がつきました。どちらも女性に贈るのにぴったりの、明るい雰囲気のメッセージです。
ボタニ子
どちらか1色でシンプルにまとめるのはもちろん、白とピンクを束ねたブーケや、小ぶりの寄せ植えもおすすめです!
色別の花言葉③青色・黄色
すっきりと涼しげな青いヒヤシンスは、「変わらぬ愛」という花言葉を持っています。恋人や配偶者へのギフトにふさわしい、情熱的なフレーズですね。青色に負けないくらい素敵な花言葉を持つのが、やわらかな色合いが魅力の黄色のヒヤシンスです。「あなたとならしあわせ」というメッセージは、相手への感謝やしあわせに思う気持ちが、ストレートに伝わりますね。どちらも色の濃淡で、雰囲気が大きく変わります。
ヒヤシンスの特徴
特徴①花のようす
ヒヤシンスは秋植えの球根花です。春になると次第に、太い茎をまっすぐ上に伸ばしていきます。草丈は20cm~50cmほどとあまり高くならないため、室内でも育てやすいのが魅力です。茎の先端を埋め尽くすように咲く小さな花は、ひとつひとつが星形をしています。花びらの一枚一枚が、くるんと反り返っているのもかわいらしいですよ。満開となった花茎は、大きな穂のようにも見えます。
特徴②香り
ヒヤシンスは、香りを持つことも特徴です。特にピンクや赤といった花色を持つ園芸品種は香りが強く、香りでも季節の移り変わりを知らせてくれます。さわやかで甘酸っぱい、まるで青葉のような香りは「グリーンノート」と呼ばれています。この香りの成分は、香水や入浴剤、アロマオイルなどの香料としても人気です。
花を贈るのが難しい相手には、ヒヤシンスの香りを使ったアロマグッズをプレゼントしても素敵です。
特徴③水耕栽培が可能
ヒヤシンスは花壇や鉢植えでの栽培はもちろん、土を使わない「水耕栽培」も可能です。ガラスのコップや深めの皿などと水、液体肥料があれば育てられます。だんだんと根が伸びていくようすを観察できることや、テーブルの上や玄関などの狭いスペースにも置けることがメリットです。デザイン性のあるものを容器に選べば、インテリアのひとつにもなりますよ。土を使って栽培するよりも、手間がかからないのも嬉しいですね。
ヒヤシンスの開花時期
ヒヤシンスの開花時期は2月~4月です。寒さの厳しい、雪の残るころから開花を始め、季節に先駆けて満開を迎えます。花壇がさみしくなる時期に開花するヒヤシンスは、冬のガーデニングの強い味方です。すっと伸びる花穂はスタイリッシュで、花壇の背景としても活躍します。かわいらしい小花やさわやかなグリーンノートが、まもなく訪れる本格的な春への気分を盛り上げてくれるでしょう。
ヒヤシンスの品種
品種①ブルーアイズ
淡い水色の花が美しい品種がブルーアイズです。草丈は40cm程度とやや大きめで、ふくよかな香りも楽しめます。透きとおるような花色は、早春にぴったりのさわやかさです。株元にすっと伸びている、グリーンの葉とのコントラストも美しいですね。
品種②オデッセウス
オデッセウスはやわらかなオレンジ色の花を咲かせる品種です。ひとつひとつの花が大きく、甘い香りがします。オレンジ系の花の中でも、オデッセウスのような色合いの花はめずらしいですよ。黄花種の「シティ・オブ・ハーレム」とあわせるとさらにさわやかな雰囲気が漂います。
品種③ピンクパール
ピンクパールは春らしいピンク色の園芸品種です。小さな花がまとまって咲くようすが、可憐な印象を与えます。花色はイキイキとした濃いピンクのものから、ふんわりとした優しいピンク色のものまで、バラエティーに富んでいますよ。
花言葉を添えてヒヤシンスを贈ろう
可憐な小花と甘酸っぱい香りが魅力的なヒヤシンスは、色によってさまざまな花言葉を持ちます。プレゼントとして贈るときには、相手の好みやイメージに加えて、花言葉も意識しましょう。くっきりとした赤や紫は印象的で素敵ですが、ネガティブなフレーズがついているため避けたほうが安心です。定番の青やふんわりとした黄色、ピンク色など、ポジティブな花言葉を持つ花色で、春らしいギフトに仕立てましょう。
出典:写真AC