ヒペリカムってどんな植物?
ギリシャ語で“hyper”は「上」、“eikon”は「像」を意味します。ギリシャではヒペリカムを魔除けとして使っていました。太陽のような黄色い花、赤い実が印象的なヒペリカムは花束などにもよく使われます。まずは眺めているだけで元気をくれそうな、ヒペリカムの特徴や開花時期を見ていきましょう。
ヒペリカムの特徴
ヒペリカムはオトギリソウ科の半落葉性の常緑低木で、中央アジアから地中海沿岸が原産です。樹高は高くて1mほど、横幅は30~60cm程度に成長します。暑さや寒さに強く、加えて病気や虫の害も少なく育てやすい植物です。葉は硬く扱いやすいため、アレンジメントにも好んで使われています。
開花~結実時期
ヒペリカムの開花時期は5~7月です。開花期には次々と花を咲かせます。枝先につく黄色い花の花びらは5枚、大きさは径3~7cmほどで、中心には放射状に数十本のおしべがならびます。花が枯れるにしたがって実は色づきはじめ、10月~11月にかけて赤くなった実が見られるでしょう。
赤い実は食べられる?
ヒペリカムの赤い実を眺めていると「おいしそう!」と思う人もいるでしょう。この赤い実は、有毒だという説や食べたという話もあるようですが、実際はよい香りがするものの、決しておいしいものではありません。観賞用として楽しむにとどめておきましょう。
ヒペリカムの育て方
ヒペリカムは育て方が簡単で、地植え、鉢植えともに初心者でもチャレンジできます。黄色いビタミンカラーで前向きな力と元気を与えてくれそうなヒペリカムをぜひ育ててみてください。
育て方①植え付け
ヒペリカムは種や苗から育てられますが、苗を植え付けるのが一般的です。苗の植え付け時期は3~4月または9~10月、鉢や地面に植え付けます。あまり土の質を選ばないため、市販されている草花用の培養土を使用できます。
育て方②環境や置き場所
ヒペリカムを元気に育てるためには、水はけがよい土壌、半日陰の環境が適しています。太陽の光を好みますが、真夏の直射日光や強烈な西日は少々苦手です。日当たりが多少悪くても育ちますが、花や実のつき方は悪くなるでしょう。鉢植えなら季節によって置き場を移動してみてはいかがでしょうか。
冬に適した環境は?
寒さに強いヒペリカムは、関東より西の地方ならば戸外で冬を越せます。しかし、冬の寒い時期にマイナス5℃以下になる地域では注意が必要です。土が凍りつくと枯れてしまうため、室内に移動するなどの対策をします。
育て方③水やり
ヒペリカムは基本的に水を好む植物です。地植えの場合は雨水のみで生育しますが、夏場など乾燥が激しいようなら朝夕などの涼しい時間に水やりをします。鉢植えなら、土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。土が湿った状態のまま水やりをすると根腐れの原因になるため注意が必要です。
育て方④肥料
基本的に多くは必要としませんが、花や実つきをよくするために肥料を与えます。鉢植えなら生育期の春と秋に緩効性肥料や液体肥料を少量与えるだけで十分です。地植えには緩効性肥料を置き肥します。こちらも時期は春と秋です。肥料の与えすぎは肥料やけの原因になるため控えめにしましょう。
育て方⑤植え替え
生育旺盛なヒペリカムは根詰まりを起こしやすいため、定期的な植え替えが必要です。年に1度のペースで植え替えを行います。時期は夏(7~8月)と冬(12~2月)を除けば、いつでも大丈夫です。春に植え替えると、秋の終わりごろ根がしっかりはり、株の充実につながります。
育て方⑥害虫
カイガラムシはヒペリカムにつきやすい害虫です。成虫になると硬い殻で体が覆われるため、薬剤の効果が落ちます。幼虫のうちに発見して早期に駆除しましょう。大量に発生して手に負えないようなら、1つの方法として枝を切り落とすことも考えてみてください。
育て方⑦病気
雨の時期にヒペリカムに発生しやすのはさび病です。株の体力が落ちてしまうとかかりやすい病気で、茶褐色の斑点が茎葉に広がり、最終的には枯れてしまいます。症状のある葉を成長に支障のないように取り除いてあげましょう。
育て方のポイント
ヒペリカムの育て方のポイントをまとめてみましょう。
ヒペリカムの育て方のポイント
- 日当たりのよい場所を好むが、直射日光はNG。真夏の置き場所は要注意
- 半日陰でも育つが、花や実のつきが悪くなる
- 病気予防のためにも、過度の水やりはしない
出典:写真AC