食虫植物ハエトリソウの概要
ハエトリソウは、北米原産の食虫植物です。ハエトリソウの種類はいくつかありますが、ディオネア属はこのハエトリソウ1種類だけです。ホームセンターや店舗などで購入できます。北米には日本と同じように四季があるため、育て方のコツをつかめば、ハエトリソウは枯れることなく花を咲かせる、育てやすい食虫植物です。
基本情報
学名 | dionaea muscipula |
科属 | モウセンゴケ科ディオネア属 |
形態 | 常緑性多年草 |
原産国 | 北米 |
草丈 | 10cm~20cm |
開花時期 | 5月~6月 |
花色 | 白 |
耐寒性 | 強い |
耐陰性 | 弱い |
耐暑性 | やや弱い |
英名 | venus flytrap |
別名 | ハエトリグサ、ハエジゴク |
食虫植物ハエトリソウにエサは必要?
エサはなくても育てられる!
基本的にハエトリソウに餌を与えなくても育ちます。もともと、栄養分の少ない湿地が自生地で、葉で光合成を行い栄養分を作り出しています。しかし、それでもハエやアリなどの虫が葉にとまると葉を閉じて捕食するのは、肥料の代わりとしているからです。まったく餌が必要ないというよりは、無理に餌を与えなくても栽培ができる、育てやすい食虫植物です。
エサの種類①ムシ
ハエトリソウの餌は基本的には虫です。コバエやアリなど、ハエトリソウの葉よりも小さいもの、あるいは羽や足がちょっとはみ出るくらいの大きさがよいでしょう。ハエトリソウの葉は閉じるにも、虫を消化するにもたいへんなパワーが必要です。あまりにも大きい虫ではエネルギー切れを起こし、葉が枯れることがあります。
ボタニ子
ボタ爺
ハエトリソウの餌の消化時間は、1週間~10日もかかるらしいぞ。それは体力を使うの。
エサの種類②チーズやゆで卵
ハエトリソウが消化して栄養にしているのは、タンパク質です。「虫がどうしても苦手だけど、餌を与えてみたい」という場合は、チーズやゆで卵も向いています。ただし、ハエトリソウが餌に気がついて葉を閉じるには、葉の中にある「感覚毛」に30秒以内に2回以上触れなければなりません。チーズやゆで卵を与える際は、ピンセットなどで刺激してみましょう。
エサを与えても葉が開くのは?
感覚毛を刺激して葉を閉じたとしても、生餌でない場合は葉が開いてしまうことが多いようです。葉が閉じてからタンパク質の消化液が出るまで、葉の脇からハリやつまようじなどで優しく感覚毛を刺激すると、生餌と勘違いして餌として消化してくれます。
ボタニ子
ハエトリソウの感覚毛は、30秒に2回以上の刺激で閉じるの。1回じゃだめなのには理由があるのよ。
ボタ爺
葉を閉じるのにすごくパワーがいるから、間違って閉じないようにすることと、葉を閉じるのに必要な分泌液が関係あるんだの。
ボタニ子
1回目の刺激で分泌液が半分くらい出て、2回目で葉が閉まるのに必要な量になるの。ジャスモン酸グルコシドっていうのよ。
食虫植物ハエトリソウの栽培スケジュール
ハエトリソウの季節ごとの世話
春~初夏は腰水を始める
ハエトリソウは日当たりがよい場所が育てやすいです。耐陰性が強くないため、室内の日が当たる場所でも枯れる場合があります。春~初夏、秋は日当たりがよく、雨が当たらない屋外で育てましょう。休眠期を終えて成長を始めるので、腰水をして水分を十分に与えてください。春はハエトリソウの葉から少し想像がつかないくらい、可憐な白い花が咲きます。
ボタニ子
雨が葉の感覚毛に触って、閉じたり開いたりを繰り返すと株が疲れてしまって、枯れる原因になるのよ。だから雨の当たらない場所で管理してね。
夏は遮光布で日差しを遮る
ハエトリソウの耐暑性はやや弱く、近年の日本の猛暑には耐えられません。日中の強い日差しで、鉢の中の用土が高温で蒸され、根がダメージを受けます。夏の暑い日は、鉢を日陰に移動するか、遮光布で50%くらい遮光して風通しのよい涼しい場所で育ててください。涼しい午前中だけ日に当てるとよいでしょう。
冬は腰水をはずして植え替え
ハエトリソウは耐寒性が強く、5℃~0℃くらいで休眠期に入ります。腰水ははずしましょう。霜が多少降りるくらいでは枯れません。凍りそうであれば、その日だけ室内に移すようにします。冬にしっかり低温にあてることが育て方のコツです。次の春に強い株に育つので基本的に屋外で越冬させます。休眠期に植え替えや株分けをしましょう。
ハエトリソウは間違えて葉を閉じてしまうと、開きなおすのに約3日もかかるの。体力を使うから、いたずらはやめましょうね。