「松」の剪定!剪定の種類(やり方)や適期を解説!失敗しないコツは?

「松」の剪定!剪定の種類(やり方)や適期を解説!失敗しないコツは?

日本の庭園にとって、きれいに剪定された松は切っても切れない存在でしょう。しかし、自宅の庭などで育てるとなると剪定に失敗するのではないかと、なかなか手を出し難い樹木でもあります。今回は松の手入れの仕方や剪定に適した季節など、剪定の基本を解説します。

記事の目次

  1. 1.松とは
  2. 2.松の樹形
  3. 3.松の剪定時期
  4. 4.春と秋の剪定(やり方)
  5. 5.松の剪定を失敗しないコツ
  6. 6.まとめ

松とは

出典:写真AC

松は南はインドネシアから北はロシア・カナダまで、北半球の多くの地域に自生しています。松属のなかでもモミ属やトウヒ属に比べ、樹形は自然環境の影響を受けやすいのが特徴です。枝は同じ高さから四方八方へ伸び、主軸や枝の先端に数個の冬芽を付け、冬芽は春から夏にかけて膨らみ目立つ存在へと成長します。

松の木の構成

松は幹である主軸と、横へ伸びる枝で構成されます。枝の先端に付く葉には、子葉(しよう)・初葉(しょよう)・鱗片葉(りんぺんよう)・尋常葉(じんじょうよう)の4種類があります。この中で目視できるのは、鱗片葉と尋常葉の2つです。また、松は雌雄同株で小さな球果形の雌花が枝の先に、雄花は枝の根元に小さいラグビーボール状で付きます。言わずと知れた松ぼっくりは果実ですが、大きさは長いものから短いものまでさまざまです。

松の種類

松の種類は、山に自生するものから海岸でよく見かけるものまでさまざまです。ほかにも庭木や盆栽として人気を集めている「五葉松」や、枝が下へと垂れる「天目松」という珍しい品種もあります。

赤松(アカマツ)

出典:写真AC

「赤松(アカマツ)」は北海道から屋久島まで、日本列島の広い範囲に自生しています。別名を「雌松(メマツ)」といい、樹皮が赤いことが特徴です。葉はやや細く柔らかさがあり、触れても黒松ほど痛くありません。この松の近辺には松茸が生えることでも知られています。

天目松(テンモクショウ)

天目松(テンモクショウ)は赤松の仲間ですが、枝が下へ垂れる性質を持っています。枝垂れ赤松(シダレ)とも呼ばれる貴重な品種です。樹形は垂れる枝を活かし、枝の切り方も弱めに行います。

黒松(クロマツ)

出典:写真AC

本州から沖縄に自生する「黒松(クロマツ)」は、主に日本の海岸線に自生しています。別名「雄松(オマツ)」といわれ、枝ぶりも太く樹高は40mになることもあるようです。針葉は1ヶ所から2本、長さは7cmから12cm、球果は4cmから7cmのものが秋になります。樹皮は灰黒色で厚みがあり、亀甲状に割れ目が入り剝がれるのが特徴です。

五葉松(ゴヨウマツ)

出典:写真AC

五葉松(ゴヨウマツ)は山に自生する松です。枝は水平に伸び、針状の葉は1ヶ所から5本出ます。樹皮は暗褐色をしており、庭木としても盆栽としても人気のある品種です。東日本では「姫小松(ヒメコマツ)」と呼ばれることもあり、剪定の仕方によっては「模様木(もようぎ)」という複雑な樹形が愉しめます。

松の樹形

出典:写真AC

松の樹形の仕立て方はさまざまです。庭植えならば「直幹(ちょくかん)」や「曲幹(きょくかん)」、そして上の写真のような門かぶりと呼ばれる「斜幹(しゃかん)」という仕立て方などがあります。さらに、盆栽ならではの趣向を凝らした樹形もあり、風流な姿を愛でられるでしょう。

樹形の種類

出典:写真AC

この松の樹形は直幹(ちょくかん)です。まっすぐに空へ向けて伸びる幹は整然としており、飾りのない美しさがあります。それだけにごまかしのきかない仕立て方ともいえるでしょう。

斜幹の松

出典:写真AC

斜幹の松は、幹がまっすぐに直立しておらず、左右どちらかに傾いた樹形が特徴です。長く張り出した枝は「差し枝」といい、樹高が低く差し枝を長く仕立てた松は「流枝(なげし)松」と呼ばれます。門かぶりの松として用いられることでも有名です。

文人木の松

出典:写真AC

文人木(ぶんじんき)は江戸時代から文人墨客に好まれた樹形です。多くの盆栽ファンを惹き付ける理由は、か細い幹と数の少ない枝の儚さのためでしょうか。個性豊かな樹形の中でも、赤松の文人木は特に趣があります。

懸崖の松

出典:写真AC

「懸崖(けんがい)の松」は、幹が鉢の縁から大きく垂れ下がり、根よりも低い姿となります。漢字が示すように、険しい崖にしがみついて垂れ下がるような様は、自然の雄々しさを感じさせるでしょう。

次のページ

松の剪定時期

関連記事

Article Ranking