カントウタンポポってどんなタンポポ?生息地は関東?他の品種違いは?

カントウタンポポってどんなタンポポ?生息地は関東?他の品種違いは?

カントウタンポポは、関東地方の野原に咲く在来タンポポです。近年、外来のセイヨウタンポポの勢いにおされ見かけることが少なくなり、絶滅危惧種に指定されています。そこでカントウタンポポの花や種子の特徴と、ほかの品種との違いや見分け方を知り春の息吹を楽しみましょう。

記事の目次

  1. 1.カントウタンポポとは
  2. 2.カントウタンポポの特徴
  3. 3.カントウタンポポとほかの在来種との違い
  4. 4.カントウタンポポは絶滅危惧種?
  5. 5.カントウタンポポを見つけよう

カントウタンポポとは

Photo byn-k

カントウタンポポは、関東地方の野原や道ばたなどに咲く草花です。春の代表的な花で、在来のタンポポの中でも古くから親しまれている品種です。近年は外来のセイヨウタンポポの繁殖が増えたため、自生地を追われ絶滅危惧種になっています。しかし、昔から続く農村部に行くと愛らしい黄色い花が見られます。

基本情報

学名 Taraxacum platycarpum Dahlst
科名・属名 キク科・タンポポ属
和名 カントウタンポポ(関東蒲公英)
英名 Japanese dandelion
別名 アズマタンポポ

生息地

カントウタンポポは、関東地方や中部地方に分布する日本原産のタンポポです。農家の方が季節ごとに丁寧に草刈りをして、よく手入れされている農道やあぜ道などで見かけます。農村部でも新しく作られた道路沿いや、除草剤がまかれた場所では育ちません。昆虫が住むような自然豊かな草地に自生します。

カントウタンポポの特徴

出典:写真AC

カントウタンポポは、関東地方を中心に生息し、日当たりのよい道ばたや草原などに生える多年草です。春にかわいらしい黄色い花を咲かせますが、ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポの生育が盛んになり見かけることが少なくなっています。セイヨウタンポポは総苞弁(そうほうへん)が反り返っているのが特徴です。カントウタンポポの特徴を覚え、見分けられるようになりましょう。

ボタニ子

ボタニ子

カントウタンポポは、春にしか咲きません。春以外の季節に咲いているのはセイヨウタンポポです。

特徴①花

カントウタンポポの開花時期は3~5月です。高さ15~30cmの花茎の先に、直径3.5~4cm程度の黄色い頭花(とうか)を咲かせます。頭花は舌状花(ぜつじょうか)だけで成り立っており、花茎は分枝せず真っすぐ伸びます。緑色の総苞片は、外片・内片ともに直立し反り返りません。外片が内片の半分しかなく、上部に小さな角があるのが特徴です。

舌状花とは?

舌状花とは、花弁の先端が広がり舌のような形状になっている花を指します。たくさん「花びら」がある一つの花のように見えますが、100個以上の花の塊です。小さな舌状花一つひとつが花であり、それがタンポポの頭の部分に集まっているため「頭花」と呼びます。小さな花が集まり、一つの大きな花に見せることで昆虫の目をひく役割を果たします。ヒマワリやコスモスも舌状花の仲間です。

ボタニ子

ボタニ子

セイヨウタンポポとの見分け方は、総苞片の違いです。反り返らず頭花をしっかり支えているのがカントウタンポポです。

特徴②葉・茎

葉はギザギザの深い切込みが入っており、地際からロゼット状に生やして茂らせます。夏の間は葉を枯らして活動量をおさえ、秋頃になって葉を増やして冬を越します。茎は花を咲かせるための花茎で、葉をつけません。花が咲き終わると茎の成長も止まります。葉と茎は、切ると白い乳液を出すのが特徴です。乳液には細菌やカビの侵入を防ぎ、傷口を修復する作用があるといわれています。

特徴③種子

花後は、茎を通して葉や根の養分が送られ2週間ほどでフワフワした白い綿毛になります。カントウタンポポは、ほかの株の花粉がつかないと受粉せず種子が実らない性質があります。小さな花の集合体であるタンポポは、昆虫によって受粉が行われますが、すべての花にほかの株の花粉がつくわけではありません。この綿毛をつまんで持ち上げてみると、実った種子と実っていない種子があるのがわかります。

ボタニ子

ボタニ子

タンポポの綿毛を「冠毛」といいます。カントウタンポポは、種子が少なく1粒が大きく重いため、あまり遠くに飛びません。

外来タンポポは受粉なしで繁殖できる

Photo byPeggychoucair

セイヨウタンポポなどの外来タンポポは、受粉しなくても種子が作れるため、昆虫がいないような環境でも繁殖できるのが特徴です。種子の量が在来タンポポの2倍以上もあり、それぞれが小さく軽いため風に乗って遠くに飛んでいけます。どんどん生育範囲を広げ全国各地で見かけるようになりました。また一年中発芽し、季節を問わず花を咲かせる生命力の強さも特徴です。

特徴④根

根は、ゴボウのように太くたくましい形をしています。約1m地中深くに根をはる直根性です。タンポポは種だけではなく根からも再生できるため、ほかの植物が生きていけないような厳しい環境でも根を伸ばして育ちます。また古くから漢方薬としても利用されています。

カントウタンポポとほかの在来種との違い

日本の在来タンポポは、カントウタンポポを含めて20種類以上も存在しています。3月下旬から咲き始め、5月下旬に枯れてしまう点が同じです。どれも似たような黄色い花を咲かせるため、一目見ただけでは見分けられません。「総苞片の形」が見分け方のポイントです。それぞれのわずかな違い知り、じっくり観察してみるとおもしろいでしょう。

エゾタンポポ(蝦夷蒲公英)

エゾタンポポは、北海道のヨコスト湿原の海岸辺りで見かける品種です。北海道~中部地方以北や日本海側に多く生息しています。頭花が直径4cm程度あり少し大きめです。総苞片が反り返らず、外片に突起がなく卵形をしています。赤みのある花茎が15~40cmと長く伸びるのが特徴です。

シナノタンポポ(信濃蒲公英)

シナノタンポポは、長野県や山梨県など中部地方に分布している品種です。盆地や丘陵で多く見かけます。カントウタンポポの亜種に位置し、総苞片が大きくふっくらしています。また外片が幅の広い卵形で小さな突起がないのが特徴です。

トウカイタンポポ(東海蒲公英)

トウカイタンポポは、駿河湾周辺の東海地方を中心に分布する品種です。静岡県~千葉県以西の太平洋沿岸で見かけます。葉の幅が広いため「ヒロハタンポポ(広葉蒲公英)」の別名があります。頭花が大きく総苞片が細長いこと、また外片と内片ともに角状の突起があるのが特徴です。

カンサイタンポポ(関西蒲公英)

カンサイタンポポは、近畿地方~沖縄県にかけて分布する品種です。花茎が5~20cmと低く、頭花が小さく小花の数が少ないのが特徴です。カントウタンポポと比べると総苞片がほっそりしていて角状の突起がありません。夜の温度が低いと日が当たっても開花しない場合があります。

シロバナタンポポ(白花蒲公英)

シロバナタンポポは、関東地方~九州地方にかけて分布する品種です。特に中国・四国地方に多く、人家の近くでよく見かけます。花茎の先に周りは白色で、中央部は黄色い頭花をつけます。葉や総苞片が淡い緑色で、外片がやや反り返り突起があるのが特徴です。

カントウタンポポは絶滅危惧種?

出典:写真AC

カントウタンポポは、外来タンポポによって自生地を追われ見かけることが少なくなった絶滅危惧種です。在来タンポポは春にしか咲かないこと、またほかの株の花粉をもらわなければ種子が作れないことが、外来タンポポに比べて繁殖の機会が少ない原因です。都市開発によって里山の環境が崩れ昆虫が減っていることも、カントウタンポポが減っている原因の一つといえるでしょう。

ボタニ子

ボタニ子

20種類以上ある在来タンポポのうち、7種類が絶滅危惧種に指定されています。

カントウタンポポを見つけよう

Photo by T.Kiya

カントウタンポポは、昔から環境の変わらない草地やあぜ道、雑木林などで見かけます。造成地など外部から土を運んできたような場所や、人や車が頻繁に行き来する場所ではあまり見かけません。のんびりした日本の原風景を彩るタンポポです。セイヨウタンポポの勢いに押されがちですが、春になったらひっそり咲くカントウタンポポを見つけに出かけましょう。

sacchi
ライター

sacchi

たくさんの植物に囲まれて育ちました。香りや味、手触りなど植物の様子を細かく伝えられるように頑張ります。

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