灌木(潅木)とは?
「灌木」の読み方とその意味
実はこれ、「かんぼく」と読みます。初めて聞いた!と思った人も多いですよね。灌木(潅木)とは生長しても3m程度にしかならない木を定義する言葉です。庭木にするのにちょうどいいサイズ感の木ということにもなります。灌木(潅木)の中でも1mに満たないものを低木と呼んで区別することもあります。ちなみに、「かんぼく」の「かん」の字には灌または潅を使いますが、どちらも同じ読み方、そして同じ意味です。ここでは、灌のほうに統一して進めていきます。
雑木の庭づくりに欠かせない灌木・小灌木
最近流行りつつある雑木の庭や森のような庭作りを目指す際によく用いられるのがこの灌木なのです。日当たり抜群で芝生と色とりどりの花苗を植えた庭ももちろん素敵ですが、灌木林を上手に利用した木陰のある庭もまた、自然をそのまま切り取ったようでとても落ち着くものです。
灌木の種類
灌木にはどんな種類があるのでしょうか。灌木は公園や生垣などで普段目にしているもの。背の低い木である灌木を常用することで街の景観を損なわず、また植え替えが不要という管理のしやすさから、いろいろな場所で利用されています。まずは街中でもよく見かける灌木を紹介します。
落葉灌木と常緑灌木
灌木は、大きく分けて葉が落ちて次の春に新しく芽吹く落葉樹と、一年中緑の葉をつけたままの常緑樹の二種類があります。夏に葉を茂らせ日陰をつくり冬は貴重な日差しを届ける落葉樹は、ウッドデッキ脇や庭のシンボルツリーに利用されることが多く、常緑樹は生垣や目隠しの用途に用いられるのが一般的です。
街でよく見かける落葉灌木の代表・ドウダンツツジ
生長しても2mから3mほどで樹高が止まり、害虫の被害も少ない扱いやすい灌木のひとつ。街でよく見かける落葉灌木の代表といっていいでしょう。春の鈴なりの小さな白い花も秋の深紅の紅葉も見ごたえがあります。日陰では花付きが悪くなり紅葉も鮮やかにならないので、植える場所の日当たりには気をつけます。
街でよく見かける常緑灌木の代表・アベリア
公園の区画を区切るように植えられたり、街路樹に用いられることの多いアベリア。街でよく見かける常緑灌木の代表といえます。こびとのとんがり帽子のような形の花からは、近づくと甘い香りが漂っているのがわかります。春から夏にかけて花期が楽しめ、特に花の少ない盛夏には蜜を求めて蝶や蜂などが集まります。半常緑でありながら寒さに強く、花だけでなく斑の入った葉もきれいなので、公園や街路樹のほか庭木にも使われるなど、用途はいろいろです。
旬の季節別・庭におすすめの灌木を紹介
カーテンを開けると広がるプライベートな自然。庭で季節を感じる生活しませんか。次は、そんな夢を叶える灌木を紹介していきます。
春におすすめの灌木①ユキヤナギ
桜と一緒に春を告げる雪柳
桜の花が咲く4月上旬、桜の木の足元に無数の小さな白い花をたくわえて揺れる木を見たことはないですか?細くたおやかな枝にいっぱいの花を咲かせ、春が来た喜びを体全体であらわしているように見えるこの灌木は雪柳といいます。刈り込みにも強く、次の春にも地際から細い枝を何本も出し立ち上がり、豊富に花を咲かせます。(落葉)
春におすすめの灌木②ヤマブキ
明るい黄色に心もはずむ山吹
万葉集にも登場し、古くから親しまれてきた灌木のひとつである山吹。その明るい黄色は春の訪れにわき立つ心をより躍らせてくれます。一般的な黄色のほか、白色の花をつける品種や八重咲の品種もあります。(落葉)
梅雨の季節におすすめの灌木①アジサイ
くもり空のした彩を添える紫陽花
梅雨時期の代表的な花といえば紫陽花。日本的なその風情からは想像がつきませんが、原産は東南アジアや北米です。奈良時代にはもうすでに日本での栽培が始められ万葉集にも詠まれていたので、日本人がその楚々とした姿を愛でた歴史は長いのです。近年ではヤマアジサイを想像させるガクアジサイも人気で、今後ますますたくさんの品種が出てくることが期待されています。(落葉)
梅雨の季節におすすめの灌木②クチナシ
甘い香りを放つクチナシ
6月から7月ごろ滑らかな質感の白い花を咲かせ、木陰から密かに芳香を漂わすクチナシ。夏の到来を前に梅雨の間の塞ぐ気持ちを香りがなぐさめてくれます。語源は果実が熟しても開かない「口無し」から。その実を利用して布を染めたり、料理の色付けをしたりと香り以外も楽しむことができます。(常緑)
夏におすすめの灌木①ムクゲ
真夏に大輪の花を咲かせるムクゲ
夏の日差しにも負けず、炎天下に咲き誇るムクゲの花。大輪のその花は直径10cmから15cmにもなります。朝に開き夕方にしぼむ一日花ですが、次の日まで咲いている種類もあり、盛夏の庭にひときわ目を引く存在です。色は白、ピンク、紫、中心が赤紫など。一重咲が一般的ですが、八重咲もあり、種類も豊富です。(落葉)
夏におすすめの灌木②ランタナ
夏の間じゅう小さな花が次々と咲くランタナ
小さな花がいくつも集まって丸くひとかたまりに咲きます。夏の初めには黄色だった花色が日が経つにつれ赤い色味に変化していくのを日々眺めるのもまた楽しいもの。葉は黄緑のもの、濃い緑、斑入りとあり、何品種か植えると庭が華やぎます。(常緑)
夏~秋におすすめの灌木①ブルーベリー
見てよし食べてよしのブルーベリー
庭でとれたブルーベリーでジャムやタルトが作れたら素敵ですよね。あまり知られてはないのですが、甘酸っぱくておいしい実以外にも魅力がいっぱいなのです。春に咲く小さな白い花がとてもかわいらしいだけでなく、実を楽しんだあとの秋の紅葉は燃えるように赤く見事です。病害虫にも強く、乾燥に注意しさえすれば育てるのは意外と難しくありません。実付きをよくするためには、違う種類の苗をいくつか植え付けます。(落葉)
夏~秋におすすめの灌木②バラ
言わずと知れたガーデンの女王、バラ
老若男女のガーデナーを惹きつけて止まないガーデンの女王バラ。開花期が春・秋と2回ありますが、秋の花が咲き終えたあとには実がなるというお楽しみも。この実が、いわゆるローズヒップです。ローズヒップが採れるのはワイルドローズというバラの原種で、イヌバラやハマナスなどがそれにあたります。一般的な園芸種のバラの中には下痢をおこす可能性があったり無毒であっても実が固く食用に適さないものの多いので注意が必要です。でも、ローズヒップが採れなくても美しい花姿だけで十分ですけどね。(落葉)
冬におすすめの灌木①ピラカンサ
鮮やかなピラカンサの実
11月頃に果実が赤く熟し、翌年1月頃まで果実がついているピラカンサ。おなじみの赤色のほか、オレンジ色もあります。真冬の寒空の下、明るい色の実が心に元気をくれます。生け垣やトピアリーとしても利用されることが多いピラカンサですが、リースにまとめてもおしゃれです。ドアにつけたらクリスマスリースのできあがり。ただ、するどい大ぶりのとげがあるので作業するときは気をつけましょう。(常緑)
冬におすすめの灌木②ヒイラギナンテン・チャリティー
花の少ない冬の大型種、ヒイラギナンテンのチャリティー
その語源は、ヒイラギのようなとげのついた葉を持ち、姿がナンテンに似ていることから。花が少ない11月から1月、香りのよい濃い黄色の花を咲かせるのは交雑種のチャリティー。長さ30cmほどの花穂を冬空に向かって立ち上げます。(常緑)
出典:写真AC