はじめに
みなさんは魔玉(まぎょく)という多肉植物を知っていますか?初めて見た人は本当に植物かと目を疑うかもしれません。そんな個性的な魔玉ですが実は愛好家が多く、人気が高まっている多肉植物なんです。今回は魅力あふれる魔玉の特徴と育て方をご紹介します。
魔玉ってどんな植物?
魔玉の基本情報
品種名 | 魔玉(まぎょく) |
科名 | ハマミズナ科 |
属名 | ラピダリア属 |
原産国 | 南アフリカ |
開花期 | 秋 |
生育型 | 冬型 |
ハマミズナ科ラピダリア属の多肉植物
サボテンと同じ多肉植物には分類されますが、サボテンがサボテン科なのに対し、魔玉はハマミズナ科です。さらにラピダリア属は魔玉が一種類だけです。同じハマミズナ科の仲間とまとめてメセンと呼ばれることもあります。正式名称はメセンブリアンテマムといい、メセンはその略称です。
サボテンと対照的な見た目
メセンには「女仙」という漢字があてられています。これは同じ多肉植物であるサボテン(仙人掌)がごつごつして男性的なのに対し、メセンはなめらかで模様があり、女性的であることが理由とされています。たしかにサボテンと比べると、魔玉の表面はすべすべとして丸みをおびています。
魔玉の特徴
葉と茎は合体している
魔玉は成長の仕方がとても特徴的です。魔玉の葉と茎はもともと合体していて、小さな固まり(玉)になっています。成長するとその先端が割れ、対の葉となり広がっていきます。魔玉はメセンの玉型とも呼ばれるのですが、成長のしかたを知るとなぜ玉型と呼ばれるかわかりますね。
一年に一度脱皮する
一年に一度、脱皮をするのも特徴のひとつです。休眠期に入ると古い葉は乾燥し薄い皮のようになります。その後休眠期が終わり生長期になると、中央の割れ目から突き破るようにして新芽が顔をだすのです。毎年それを繰り返すことによって葉が互い違いに大きく育っていきます。
「石」に擬態している
原産地の南アフリカは岩砂漠地帯が多く、周りには岩や石ばかりです。その環境で動物から身を守るには目立たなくなる必要があったため、周りの石に擬態し現在のような見た目になったといわれています。魔玉のクリームっぽい灰色の葉は、本物の石と並べても遠目からでは見分けがつきません。
ボタニ子
属名のラピダリアもラテン語で「石」を意味するラピダリが語源になっているの!
人気の理由
とても鮮やかな花を咲かせる
魔玉が人気の理由はその花の美しさではないでしょうか。普段は石に擬態しているだけあって華やかさとは無縁にも思える見た目ですが、秋に咲かせる花は一変してとても鮮やかな黄色です。中には黄色と赤のグラデーションの花を咲かせるものもあります。それまで育ててきた成果を感じられる瞬間でもあり、ますます愛情が深まりますよね。
魔玉の仲間
リトープス
約2000種類あるといわれるメセンの中でも有名なのがリトープス属のリトープスです。平べったく丸みのある形をしていて、表面の模様や色は個体によってさまざまです。その姿から「生きた宝石」と呼ばれることもあります。花言葉は「こよなき魅力」で、多くの人を魅了し続ける人気の多肉植物です。
フォーカリア
次に紹介するのはフォーカリア属のフォーカリアです。交配しやすいという特徴があり、怒涛、四海波、荒波といった和名の品種もたくさんあります。肉厚な葉には牙のような突起があり、口を大きく開けた動物のようなユニークな姿をしています。魔玉やリトープスにはない鋭さとかっこよさが人気の種類です。
寄せ植えにはあまり適さない
たくさん種類がある多肉植物。せっかく育てるなら寄せ植えにも挑戦してみたくなりますよね。ただ今回紹介したリトープスなどは、その特殊な育成サイクルのため、寄せ植えにあまり適していません。しかしメセンの冬型同士という組み合わせであれば、一緒に植えても管理しやすいので挑戦してみてもいいかもしれませんね。
出典:写真AC