取り木でツツジを増やす方法
ツツジは種類や樹形によって、取り木法の向き・不向きが変わります。株立ち性かつ常緑性のツツジは盛り土法による取り木が一番簡単ですし、大きく育って単幹仕立て(一本立ち)になった株は環状剥皮法が有効です。
ツツジは品種によって取り木に向かない種類も!
- 常緑性のツツジ(オオムラサキ、クルメツツジ、サツキツツジ等)は、細い根がたくさん出やすいため取り木向きです。一方、落葉性種(レンゲツツジ、ミツバツツジ等)は難しく、エゾムラサキツツジも発根しにくいと言われています。
取り木に適した時期
取り木を行う時期は樹木の成長期前半が最適です。ツツジに関しては「梅雨時」が特によい時期だと言われます。地域によっても異なるので、ツツジの成長具合を観察し、タイミングを見極めましょう。
環状剥皮法と盛り土法の仕方
株立ち種は盛り土法が使えます。根元に盛り土をするだけなので簡単ですね。環状剥皮法の場合、一般的には園芸種の特徴がよく出た枝を選んで苗を作ります。紅白の咲き分け種の場合は白い花か、色の混ざった花のついた枝を使うのがよいと言われています。
切り離し・鉢上げに最適な期間
ツツジを環状剥皮すると、30~90日程度の期間が経過した後に発根します。しかし、中には秋になっても根が出ない場合もあるようです。秋に根が出ていなくても、焦らず来年の春頃まで待ちましょう。切り離し・鉢上げは、充分に発根するまで待ったうえで行うのが大切です。
ボタ爺
ツツジの根は細いうえ、網状に浅く張る植物じゃ。定植の際は倒れないよう支柱を立てるなど工夫するのがおすすめじゃよ。
取り木で梅の木を増やす方法
梅の木は取り木のほか、挿し木、接ぎ木(切り継ぎ)、実生でも増やせる樹木です。梅には300以上の品種がありますが、実生ではその木の特徴が出にくいと言われています。そのため、梅の木では、取り木や挿し木による繁殖がメインになります。
取り木に適した時期
梅の木は成長・開花時期が早いので、取り木は1~2月頃のまだ寒い時期に行いましょう。梅は枝ぶりがしっかりているため、環状剥皮法が適しています。根源体が多く含まれる節部を使いましょう。傷をつける場合には、節の5mm下くらいが目安です。
切り離し・鉢上げに最適な期間
梅の木は、落葉してから発芽するまでの期間に切り離し・鉢上げを行います。具体的には、晩秋(10~11月)と晩冬(1~2月)頃がよいでしょう。取り木苗を定植した後は水をたっぷり与え、根の乾燥も防ぐことが大切です。
取り木でキウイを増やす方法
キウイはツル性なので若い枝を簡単に曲げられるため圧条法が利用できます。枝を土に触れさせておくだけなのでとても手軽ですね。
取り木に適した時期
キウイのような熱帯性の樹木は一般的に、生育期前半の5~6月頃に作業をします。取り木に使うのは新梢よりも2年目の枝がおすすめです。
切り離し・鉢上げに最適な期間
発根したキウイの苗の切り離し・鉢上げに適した期間は11~3月です。水持ちと水捌けさえよければ土の種類を選ばず育てやすいでしょう。植え付け後はたっぷりと水をやり、時間の経過とともに根が乾燥しないよう気をつければ元気に育ちますよ。
取り木でアボカドを増やす方法
アボカドは室内で育てている方も多く、日照不足で徒長してしまっているものもあるでしょう。そのような場合でも、取り木法を使えば丈を詰めることができますよ。
取り木に適した時期
アボカドの取り木に適した時期は5~6月です。失敗を防ぐため、まずは日に当てて、元気のよい株を作ってから行いましょう。
アボカドの生産が盛んな南米地域などでも、親木の遺伝子を確実に引き継がせるために取り木(環状剥皮法)や接ぎ木法がよく用いられています。
切り離し・鉢上げに最適な期間
アボカドの切り離し・鉢上げは8~9月の期間内に行います。アボカドの取り木苗は割と発根しやすく、30~40日程度が経過すると根が出てきます。浅く網状に細かい根を張る植物なので、定植時は倒れないよう支柱などで支えましょう。
ボタ爺
熱帯性植物は温度が高いと発根しやすいから、剥皮部分をアルミや黒いポリフィルムで覆っているケースもよくみるかもしれんな。この場合、根っこが見えにくくなるのが欠点じゃなぁ……。
取り木の際に起こりがちなトラブルと対処の仕方
トラブル①根が出ない
なかなか根が出ないときは、ミズゴケと削り口がしっかり密着していないことが原因かもしれません。一度ポリフィルムを取って、緩んでいないか確認しましょう。もし緩んでいるようなら巻きなおせば、根が出ない問題が解消できるかもしれません。
ボタ爺
切り口が完全に乾いてしまうと失敗する可能性が高くなるぞ。ミズゴケの状態は常にチェックするのが大切じゃ。
トラブル②せっかく出た根が腐る
鉢上げ・植え付けをする際は、根が腐る原因になりやすいため、取り木後で使ったミズゴケを極力取り除くようにしましょう。ただし無理やり取って根を傷つけてしまうのはNGです。根の細い樹木の場合はミズゴケが残ってしまっても構いません。
化成肥料はしっかり根付いてから
- 取り木苗がしっかりと根付くまでは化成肥料を与えないようにしましょう。肥料に負けて根が腐ることがあります。どうしても施肥したい場合は、葉への液肥散布などが適切です。
トラブル③取り木苗の葉が枯れてきた
取り木した枝や苗の葉が枯れてきた場合は、早めに枯れこんだ葉を摘み取り、新しい芽が出て木が回復してくるのを待ちます。それでも枯れこみが止まらない場合は、残念ながら失敗してしまったのかもしれません。
まとめ
とても簡単な割に知名度の低い「取り木」。成功確率が高く、初心者にもおすすめできる繁殖方法です。優れた親木の遺伝子をそのまま受け継がせることができ、種からまくよりも早い時期に花や実が楽しめます。お気に入りの木を増やす際は、取り木を考えてみてはいかがでしょうか。
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オオムラサキ